12 / 103
10.5『アレックス・ザイザール 1』
しおりを挟む……結婚かぁ。
爺やさんと婆やさん、どう見ても仲が悪そうに罵り合ってるけど、どことなく楽しそうな気がするんだよね。
もちろん離婚するのは嫌だけど、二人みたいにいつまでも仲良しでいたいな、リザと。
そう言えばさっきのリザ、いつもよりオシャレで可愛かったなぁ。
オフショルから覗く逞しい肩周りなんて僕、もう我慢できなくて飛び付いちゃいそうだったよ。
…………あれ?
なんだかはっきり覚えてないんだけど、僕どうしてたんだっけ?
リザのオフショル以外が思い出せないぞ?
こういう時は順番に思い出してみるのが良いんだよね。僕知ってる。
えっと、この何日かはいつもみたいに魔の棲む森で魔物の強さレベルの調査だったよね。
魔王を倒す前と比べると強くなってるけど、最近は魔王を倒した直後よりはちょっと弱くなってた。
魔王を倒したあと、アイトーロルに戻る時が一番大変だったもんなぁ。
たぶん魔王のバフの関係だと思うけど、魔王が死ぬ事で強くなるバフなのか実は死んでなかったのか、その辺りは分かんない。
だけど森で見た通り間違いなく魔王は生きてた。
生きてたのに、魔物がちょっと弱くなってるのが分かんないんだよね。
なんでだろ? ま、ちょっと考えたぐらいじゃ分かんないだろうからあんまり考えないけど。
えっとそれから……魔王と会って、慌てて魔の棲む森から戻って……、そう、けどなんだか嫌な予感がしたから王城を素通りして街へ行ったんだ。
そしたらオフショルのリザが居て……、飛び付きそうになって……、なんだっけ?
なんだか頭のてっぺんがズキズキするし、なんとなく胸の辺りが薄ら寒い気もするし。
アイトーロル王がアネロナ宛ての手紙を書き終わる迄には思い出したいんだけど――
あ~でもリザのおめかし可愛かったなぁ。
広場にある女神ファバリンのおっきい木の下で待ち合わせてさ、それで僕も大人っぽいカッコしてさ、早めに行ってリザが来るのを待つの。
約束の時間通りに来たリザはきっとこう言うよね。
『ごめんなさい、待たせたかしら?』
それにこう返すんだ。
『ううん、ちっとも。僕も今来たところだよ』
でニコッと微笑んで、『さっ、行こ』ってね。
そっと肘を張ってリザに差し出す僕、緑の頬をちょっとピンクに染めたリザが僕の腕を取って言うんだ。
『ええ。アレク、行きましょ』
――これ違う。思い出した――
腕を組んでたの僕じゃない。
トロルの男だ。
オフショルのリザと腕を組んだトロルの若い男。
……今はもう、魔王なんてどうでも良いや。
こんな事してる場合じゃないよ!
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる