魔法至上主義の学園、俺だけ物理で殴る

皐月

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【第三章】学院戦技祭編

第27話「極限の一閃」

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学院戦技祭、準決勝――
アレン・アーゼルハインとジーク・ファーレンハイト。
学院最強の剣士と、“魔法を持たぬ剣士”の対決は、観客席を沈黙させるほどの緊張を生んでいた。

**

「……お前の剣、面白い」
ジークは薄く笑い、剣先を僅かに上げる。
その動きだけで、場の空気が張り詰める。
「俺と似ている。だが――お前はまだ、剣の全てを知らない」

アレンは深く息を吐き、剣を構え直した。
(剣の全て……この剣で、確かめるしかない)

「……望むところだ」

**

剣と剣が激突するたび、甲高い音が響く。
ジークの剣は一撃ごとに無駄を削ぎ落とし、ただ純粋な鋭さを追求していた。
アレンは全身の魔力を肉体に注ぎ込み、剣を振り続ける。

(速い……! けど……見える!)

ジークの剣は、灰の洞窟で戦ったどの魔物よりも速く、重い。
だが、アレンの体内を巡る魔力がその刃の軌跡を捉えていた。

**

「はあああっ!」

踏み込み、剣を振り抜く。
空気を裂くその音に、観客席から歓声が上がる。
だがジークは半歩だけ下がり、アレンの剣をいなし、逆に斬り込んできた。

「――見切った!」

アレンは必死に剣を受け止める。
全身に衝撃が走り、膝がわずかに沈む。
それでも、剣は折れない。

「……お前は、強いな」
ジークが低く呟く。
「だが、剣は理屈じゃない。“心”だ」

その声に、アレンの目がわずかに見開かれる。
(……心?)

**

次の瞬間。
ジークの剣が軌道を変えた。
無駄のない動き――だが、そこには確かな“意志”が宿っていた。

(これが……剣士の到達点……!)

アレンは全身を震わせ、剣を振るう。
自分の剣に込めたもの――それは、迷わぬ心。誰にも譲れない“生き様”そのもの。

「うおおおおっ……!」

剣がぶつかり合う。
その瞬間、世界が静止したように思えた。

**

観客席から見守るロイドが拳を握りしめる。
「……やれ、アレン! お前の剣は……誰の剣にも負けねぇ!」

アルフレッドの瞳がわずかに潤む。
「……剣は……その人の生き様だ。君がそれを示せば……誰にも屈しない」

シエラは赤い瞳を見開き、静かに呟いた。
「……君は……君の剣で、誰よりも美しい……!」

**

激突の末。
二人の剣が離れる。
ジークの剣がわずかに傾き、アレンの剣先が彼の喉元を掠めた。

「勝負あり!」

審判の声が響く。
その瞬間、観客席から轟音のような歓声が湧き上がる。
学院最強とまで謳われたジークを、アレンが打ち破った――。

**

息を切らしながら剣を収めるアレンに、ジークはわずかに笑みを見せる。
「……見事だ。お前の剣は、誰よりも真っすぐだった」

「……ありがとう」
アレンは深く礼をし、視線を合わせる。

「だが覚えておけ。お前の剣は、まだ進化する。……この学院にとって、それは“光”であり……同時に“災い”にもなる」

その言葉に、アレンは短く頷いた。
「……それでも、俺は進む。俺の剣で」

**

戦いが終わり、観客席に戻ったロイドが叫ぶ。
「お前……化け物だな! あんな奴まで斬っちまうなんてよ!」

「……俺は、ただ剣を振っただけだ」
アレンは小さく笑う。
その笑顔は、どこか儚く、そして強かった。

**

学院の塔の上では、理事長が目を細めていた。
「……アレン・アーゼルハイン。お前の剣……いよいよ“学院”すら揺るがす存在になり始めたな」

その背後では、ロゼ・グランフォードが無言のまま、冷たい瞳を光らせていた。
(この剣……制御不能ならば……必ず“排除”する)

**

夜。
学院の塔の屋上に立つアレンの背を、シエラが見つめていた。

「……君の剣は、誰よりも真っすぐ。……でも、その輝きは……私の心まで震わせる」

アレンは剣を収め、振り返る。
月光が二人を照らし、その瞳に映るのは、決して折れない意思だった。
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