見習いスーツアクターは異世界でガチバトルさせられる

随想アルファ

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始まり。あいつとの再会へPrat6

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準爵視点その2

改良を重ね続ける僕専用の馬車は、余りにSF化してしまったが。
最新式のは、外観はカボチャの馬車だ。そう、おとぎ話の。
だけど、全くの別物になっているのがよく解る。
車輪はむき出しでは無くてサスペイションを兼ねた装甲版で覆われていて、操舵機能は四輪転舵を使っている。
これは外側に向けて車輪がはみ出す従来の構造とは逆に内側へきれるから舵角が得られないのをカバーする為。
そう、あのアメコミヒーローの試作ロケットカーの構造だ。

車台部分は樹木と金属のハイブリッドに特殊素材・・・魔物や魔獣・・・を加味して、更に随所に付与魔法で耐久や防御、ついでにステルスまで加えている。
音を静かにさせるのが目的だ。
光学迷彩でカメレオンやタコの様に周囲と同化させるのも付けたけどね。
これは賊からの対策。
特殊条件下でのみ発動する簡易タイプ(制限時間等)を商人や騎士団に納入している。
貴族はこれに特化したのを特別に受注されたけど何に使うんだか。
反乱防止で発動条件を野外に限定したけどね。
これの簡易型で冒険者仕様も造った。
魔石では発動しないで生体魔力感応式なのを。

客室部分は円筒をフレームに取り付けた形で、ドーナッツみたいなイメージだろう。
これは丁度巨大なベアリングそのもので馬車の加速や前後方向への加速度の受け流しを行える。
更に頂部と底部に支点が有り左右方向の急加速度を緩和させる。
この輪の中に納まっているのが客室で直接外を窺える窓は極端に少ない。
御者は馬との接続台に設けられた専用席に座り室内とは隔たれている。
会話はインターフォンとして機能するスピーカーとヘッドフォンを用いる。

実はこの馬車はでカニの魔法生物的な仕様になっている。
疑似AIとも言えるコントロールユニットにカニを設定しているからだが自走が可能でサスペイションアームはそのままカニの足の機能を再現させている。
最初は普通の自動車のコントロールだったが制御の基盤に生物を模した事から発展、水中機動を付与したのも決定的だった。
内部は対面式のベンチシートのみだが天井と前後の壁には外を映し出すモニターが備えられて各種観測機器からの情報を表示できる。
馬車では無く完全にSFの乗り物だった。


更に・・・、強度の有る外殻とで配流する場所の強度差を解消する時に重装甲の扉をオプションにし、最終的に銃座まで備えてしまった。

「戦車じゃん」

まだここでは顕現していないブツを生み出した瞬間だった。

それを軽く吹っ飛ばした崩れ物。
かなりの魔力を秘めている。

コイツの接敵は実は急だった。
大きな魔力の淀みが発生したのはモニターからの表示で判ったのだが、実体化の時間が掛かりそうだと通過してから対処する事にしたのは失敗だった。

実体化直後、すぐに攻撃魔法を放った。

ミルクとはインターフォンで情報の共有をしていたものの不意打ちだった。
ものすごい衝撃を受けて横転。
衝撃吸収自体が限界までに至ったのは初めてだ。
馬車の強度がまだ有効だったのは助かったが。

直撃が避けられないと判断したミルクは急制動を指示した直後、魔法の直撃を受けた。
予め付与されていたレジストは成功して破壊は免れたが。
馬車の耐久を信じて魔法の直撃を受けてゆっくりと倒れつつある御者台からミルクはジャンプした。
最もダメージを被るのはむき出しの御者だから。

さすがの身体能力と、全身金属鎧に書き込められた軽量化とダメージ軽減術式で軽やかで優雅な跳躍だな。

着地の場所に押し寄せるゴブリンを全く慌てる事無く切り伏せていく。
剣技に磨きが更に懸けているのがよく解る。
あの泣き虫でへっぴり腰の幼かった女の子が、こんなに成長するんだ。

二度目の人生は。やはりどうしても、今、生きている実感が乏しく感じる。
だから。
自分も他人事のように考えていくクセが僕には付いている。
今終わっても、この後で終わっても。
何時でも構わない。

それを押し留めてくれたのがミルクと、僕の胸に飛び込んで震えているメイド獣人のマミだ。

淀みの形成と実体化の指数が多きい事を二人にはいち早く教えていたものの、最終的な判断に誤りがあった。
ミルクに危険な立ち合いとマミに怖い思いをさせてしまった。

いざと成れば。
切り札がある。
使うのは憚れるが。
この二人を危険に曝すのならば。

躊躇はしない。

室内のモニターは一部機能不全を起こしているが無事でもある。
そこに映し出される光景。

大型のオークが振りかざす剣・・・いや大きいがあれは鉈だな・・・でたらめな大きさと重量を途方も無い膂力で振り回す。
ミルクの剣戟が遂に押切れられた。
それを見て、反射的にドアを開けて。
アイテムインベントリから、三式鎧のセットを持ち出す。

まだ、切り札を出さなくて済むだろう。

だけど。

予想していない事が。
いや、出来ない事が起きた。

オークとミルクの間に何処からか、中腰で男が現れた。
直後オークとの間に火花が飛び散る。

その姿格好に、本当に驚く。
ジャージなのだ。

考えられることは・・・。
転移者?
又は召喚者。

禁じられた術式を再び使った?
誰が?

まさか管理している元老院で何かあったのか?

ミルクも固まっている。

まずい・・・なによりレイスの方が行動を起こされると厄介だ。
いや・・・ゴブリンの数が増えていやがる。崩れた分を補充したのか。
やはり保有魔力がデカい。
三式を発動させよう。

その時にはミルクは硬直が解け、周囲に威圧を放ち始めた。
しかし、その後に更なる衝撃を僕たちは受ける事になった。
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