9 / 19
4-2
しおりを挟む3日振りに赤い稲妻に会ってみて、やはりレントンは動揺していた。
ここ最近ずっと彼を組み敷く妄想をしてきたせいか、どう見ても目の前の赤い稲妻は女にしか見えない。
何なら妄想よりも、余程実物の方が女らしい。
細く白い顔に、ツンと上を向いた鼻先。
流石に眼光は鋭いけれども、切れ長なその目元はドキリとする。
そして、赤く柔らかそうな唇。
見れば見る程、女にしか見えない。
あの口で自分のナニを咥えたのか、と思ったところで再び首をもたげた欲望に、レントンは息を吐いて首を振った。
やはり自分は、男であるにもかかわらず、赤い稲妻に欲情するらしい。
何なら今、あの赤い唇に口付けてみたいし、あの白い肌に舌を這わせてみたい。
その欲求は隠しようがないもので。
しかし、彼はどうなのだろうか。
彼も、男が好きだという人間なのだろうか。
そもそも、先にナニに口付けてきたのは赤い稲妻なわけで。
ということは。
ストレートに男が好きなのかと聞けば、さも当然といった様子でそうだと答えられて、レントンは手で顔を覆ってしまった。
やはり。
彼は同性愛者なのだ。
けれども、ホッとしている自分が居るのも確かだ。
どうやら自分は、彼とそういうことをしたいと思っているらしい。
覚悟を決めて赤い稲妻の近くまで行く。
顎に手を掛けて上を向かせれば、少し戸惑ったような、驚いたような顔で見詰めてくる。
吸い寄せられるようにその唇に口付ければ、妄想そのままに柔らかく甘やかで、気付けばレントンは夢中になって赤い稲妻の唇を貪っていた。
互いに息を乱して口付け合い、顔を離せば、トロンと瞳を潤ませ上気した赤い稲妻が。
その顔を見た途端、レントンの中に、どうしようもない程の愛しさが込み上げてきた。
まったく!
なんでこいつは男のくせに、こんなに可愛いんだ!?
俺をどうするつもりなんだ!
思わず堪らなくなって抱きしめれば、コテンと力を抜いて体を預けてくる。
そんなことをされれば、ますます可愛いわけで。
その思いのままに何度も口付けを繰り返すうちに、レントンは自分の気持ちをハッキリと認識したのだった。
もう、赤い稲妻が男だろうがなんだろうが関係ない。
彼が可愛いと思うし、なんなら今すぐ押し倒して自分のものにしてしまいたい。
それに多分、彼も自分と同じ気持ちだ。
だったら。
しかし。
如何せん自分はその手の知識がない。
女相手ならまだしも、男となんて初めてだ。
それに、経験のない自分でも、男とのそれは色々と事前準備が必要だということぐらいは知っている。
でなければ、互いに大惨事だ。
それに、聞けば赤い稲妻も男と実際そういうことをするのは初めてだという。
だったらなおさら、初めて同士、キチンと調べてからコトに望まねばならない。
何とか理性を搔き集め、なんならンコ塗れになったところを想像してナニを落ち着けたレントンは、非常に名残惜しい思いでその日は赤い稲妻の下を離れたのだった。
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる