捕らえた捕虜に屈辱をあたえるつもりがどうしてこうなった!?~チンペチが取り持つ数奇な縁~

碧 貴子

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 3日振りに赤い稲妻に会ってみて、やはりレントンは動揺していた。
 ここ最近ずっと彼を組み敷く妄想をしてきたせいか、どう見ても目の前の赤い稲妻は女にしか見えない。
 何なら妄想よりも、余程実物の方が女らしい。

 細く白い顔に、ツンと上を向いた鼻先。
 流石に眼光は鋭いけれども、切れ長なその目元はドキリとする。
 そして、赤く柔らかそうな唇。
 見れば見る程、女にしか見えない。
 あの口で自分のナニを咥えたのか、と思ったところで再び首をもたげた欲望に、レントンは息を吐いて首を振った。

 やはり自分は、男であるにもかかわらず、赤い稲妻に欲情するらしい。
 何なら今、あの赤い唇に口付けてみたいし、あの白い肌に舌を這わせてみたい。
 その欲求は隠しようがないもので。

 しかし、彼はどうなのだろうか。
 彼も、男が好きだという人間なのだろうか。
 そもそも、先にナニに口付けてきたのは赤い稲妻なわけで。
 ということは。

 ストレートに男が好きなのかと聞けば、さも当然といった様子でそうだと答えられて、レントンは手で顔を覆ってしまった。

 やはり。
 彼は同性愛者なのだ。
 けれども、ホッとしている自分が居るのも確かだ。
 どうやら自分は、彼とそういうことをしたいと思っているらしい。

 覚悟を決めて赤い稲妻の近くまで行く。
 顎に手を掛けて上を向かせれば、少し戸惑ったような、驚いたような顔で見詰めてくる。
 吸い寄せられるようにその唇に口付ければ、妄想そのままに柔らかく甘やかで、気付けばレントンは夢中になって赤い稲妻の唇を貪っていた。

 互いに息を乱して口付け合い、顔を離せば、トロンと瞳を潤ませ上気した赤い稲妻が。
 その顔を見た途端、レントンの中に、どうしようもない程の愛しさが込み上げてきた。

 まったく!
 なんでこいつは男のくせに、こんなに可愛いんだ!?
 俺をどうするつもりなんだ!

 思わず堪らなくなって抱きしめれば、コテンと力を抜いて体を預けてくる。
 そんなことをされれば、ますます可愛いわけで。
 その思いのままに何度も口付けを繰り返すうちに、レントンは自分の気持ちをハッキリと認識したのだった。

 もう、赤い稲妻が男だろうがなんだろうが関係ない。
 彼が可愛いと思うし、なんなら今すぐ押し倒して自分のものにしてしまいたい。
 それに多分、彼も自分と同じ気持ちだ。
 だったら。

 しかし。
 如何せん自分はその手の知識がない。
 女相手ならまだしも、男となんて初めてだ。
 それに、経験のない自分でも、男とのそれは色々と事前準備が必要だということぐらいは知っている。
 でなければ、互いに大惨事だ。

 それに、聞けば赤い稲妻も男と実際そういうことをするのは初めてだという。
 だったらなおさら、初めて同士、キチンと調べてからコトに望まねばならない。
 何とか理性を搔き集め、なんならンコ塗れになったところを想像してナニを落ち着けたレントンは、非常に名残惜しい思いでその日は赤い稲妻の下を離れたのだった。








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