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しおりを挟む例のチンペチ指揮官とキスをしてから、ちょうど2日目の夜。
あれからずっとドキドキしながら待っていたレイティシアのもとに、その夜ようやく彼がやって来た。
去り際に彼が言っていた言葉を考えれば、今夜、自分たちは結ばれるのだ。
とはいっても、自分達は敵同士なわけで、結ばれたとしても二人に未来があるわけではない。
それでも、レイティシアにキスをして可愛いといった彼の言葉には、確かな熱があった。
だから、例え一時の恋だとしても、思い合って結ばれるのならそれも本望だと、レイティシアは思っていた。
まあ、多分に初めての恋に舞い上がっているわけなのだが。
しかしながら、来るなり抱きしめられ口付けられれば、ますます盛り上がるわけで。
それに、シチュエーションがいけない。
レイティシアは捕虜。
彼は敵国の指揮官。
独房の中で真実の愛を育む、禁断の恋。
もう、気分はすっかり悲劇のラブロマンスの主人公だ。
すっかり力の抜けた体を逞しい男の腕に抱きとめられて、耳元で「いいか?」と囁かれたならば、そりゃあもう頷くしかないだろう。
さらにはお姫様抱っこで抱き上げられて、レイティシアはうっとりとしてしまった。
だって、お姫様抱っこだ。
なんならそんじょそこらの男よりも逞しい自分を、お姫様抱っこだ。
そもそも、赤い稲妻と恐れられる自分にそんなことをしようなんて思う男はいなかったわけで。
そのままベッドに優しく降ろされ、再びキスをされて、レイティシアはもう完全に骨抜きになった。
もう、彼になら、何をされてもいいという気分だ。
「……すまない。……さすがに、枷を取るわけにはいかなくて……」
申し訳なさそうに言われて、無言で頷く。
彼にも立場というものがある。
好き合っているからといって、この状況でレイティシアの枷を取るわけにはいかないだろう。
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だからレイティシアは、言われるまま素直に両手を戒められた状態でベッドの上にうつ伏せになった。
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