捕らえた捕虜に屈辱をあたえるつもりがどうしてこうなった!?~チンペチが取り持つ数奇な縁~

碧 貴子

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「……なあ。男同士でヤルとき、前準備ってどうしてんだ……?」

 真剣な顔でそんなことを聞くレントンに、部隊きっての男色家でもある副指揮官が、驚いたような顔になった。

「……え? ……指揮官、いつからそっちに……?」
「あ……、いや、俺がってわけじゃなくてだな……、その、つまり、単に興味があって……」

 聞かれて、途端にしどろもどろしてしまう。
 別に隠す必要はないのだが、赤い稲妻とヤルためだなんて、流石に言い難い。
 それに。

「…………私でしたら、いつでもお相手になりますが?」
「ちっ! 違う違うっ!! 本当、興味本位でっ!! というか、後学のためにっ!!」
「……そう、ですか……」

 ねっとりとした視線を送られて、堪らず背中に冷や汗が伝う。
 レントンが男もイケる口だなんて知られた日には、それこそ貞操の危機であることは間違いない。
 副指揮官はレントンよりも遥かに体格もいいわけで、押し倒されたりなどしたらひとたまりもないだろう。

 必死になって否定するレントンを、副指揮官はジーッと見詰めてくる。
 何とも嫌な時間が過ぎた後で、何を思ったか、副指揮官がニヤリとその口の端を上げた。

「……なるほど」
「何だよ……」
「……赤い稲妻ですか」
「なっ……!」

 思わず動揺してしまう。
 そんなに自分はわかりやすいのか。

 しかし、そんなレントンには構わず、副指揮官が楽しそうにクツクツと笑みを漏らした。

「……まあ、有効な手段ではあるかもしれませんね」
「……」
「赤い稲妻の様な人間は、普通に痛めつけるだけでは効きづらいですから」

 どうやら、拷問の一環として赤い稲妻を凌辱するのだと思ったらしい。
 それに、実際上層部からは、赤い稲妻を寝返らせるようにとお達しが来ているのだ。
 都合よく勘違いしてくれたことにレントンはホッとしながら、本来の質問を続けることにした。

「……で。どうしてんだ?」
「それは、後ろの穴を使うにはってことですよね?」
「そ、そうだ」

 ハッキリ言われると、流石に狼狽えてしまう。
 覚悟したとはいえ、人から言われるのではやはり違う。
 しかし、そんなレントンの心情には気付かない副指揮官が、淡々とした口調で話を続けた。

「まあ一般的には、スライム、ですかね」
「スライム……」
「ええ。スライムを使えば、直腸内の排泄物も食べてくれるし、奴らの体液が潤滑剤代わりになるし、何より入り口が解れますから」
「……なるほど」

 スライムは森や草原に居る魔物だが、基本無害で人を襲うことはない。
 その粘性の体で何でも飲み込む性質を持っているため、汚物やゴミの処理などに使われている。
 それと同じくらい良く使われているのが、スライムを使った性具だ。
 スライムは何でも食べるが、最も好むのは動物の体液だ。
 その性質と、可変性の粘体の体を活かして、性具として培養されたものがその手の店に行けばわんさか売られている。
 普通のプレイに飽きた男女が、ちょっとアブノーマルなプレイの一種としてスライムを使うということは、レントンも知っていた。
 とはいえもっぱら使うのは、自慰用として、なのだが。
 まあ、あれだ。
 男のナニをスライムに搾って貰うわけだが、詳細な使用法はこの際いいだろう。

「……でもそういうことなら、むしろ何もしないで突っ込む方が効果的なのでは?」
「ばっ! 何を言ってんだ!?」

 とんでもないことを言い出す副指揮官に、思わず慌ててしまう。
 というか、何もしないで突っ込んだら、それこそ大惨事ではないか。
 それに、不衛生であるという以上に、赤い稲妻に負担がかかることの方が今ではレントンは心配だった。

「……まあ、スライムを使われるってだけでも……ふむ……そうですね……」
「……」
「そういうことでしたら、明日にでもそれ用のスライムを調達してきますが?」
「そ、そうか。じゃあ、頼むぞ……」

 なにやら一人納得した様子の副指揮官に、レントンはホッと胸を撫でおろしたのだった。

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