知らない言葉、知らない感情。

雨水

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最初の出会い

1話

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多路たろ!!酒買ってこい!」

父は僕が物心つく前から暴力を振るっていた。

母が病気で死んでからは、僕に酒を買ってこいと言うようになった。

もちろん18歳の僕は歳を誤魔化して買っていた。

「おい!なにしてんだ?急げや!」

まずい。

「っごめんなさい。すぐに行ってきます」

父がこっちにくる前に急いで家を出る。

外の寒さに鳥肌が立つ。

急いでアパートの階段を駆け降りる。

「っ!!」

ヤバい…。

一瞬足が滑る感覚がして僕の意識は途切れた。






ーーーーーー




全身の痛みで目を覚ました。

確か階段で足を滑らせて…。

僕は手に力を入れ起き上がる。

「なに、これ」

体を起こし視線を上げると鬱蒼した森の中だった。

気を失っている間に痺れを切らした父がついに僕を山にでも捨てたのだろうか?

持っていた財布はどこにもない。

その可能性が高いというか、もうそれしか考えられない。

あの人ならやりかねない。

状況が把握できてきて少し余裕ができ、あたりを見渡す。

「なんか木が大きい?」

どんだけ山奥に僕を捨てたんだ…?

僕の知っている木より3~4倍はあると思う。

「どうしよ…」

どうしようもない状況に途方に暮れる。

このまま餓死?

それとも熊とか出て食われるのかな。

悪い方向に思考はどんどん進む。

耳をすませば鳥の鳴き声や木々の揺れる音、水の流れる音が聞こえてきて自然を感じる。

ん?

「水の音がする!」

水の確保は重要だとどこかで見た気がする。

急いで音のする方に歩くと、すぐに綺麗な小川が見つかった。

見ると喉が渇いているような気がしてきて、唾を飲む。

綺麗だし飲めるよね?

「っ冷たい」

すくって飲んでみると水道の水より何倍も美味しくて感動する。

「美味しい」

ちょっと生き返った。

「こういうのって川を降ってけばいんだっけ」

あの家に帰りたいわけじゃないけど、ここで死ぬのはなんか嫌だ。

そんな思いで川沿いを歩くことにした。

ふと時間が気になって腕時計を見る。

よかった腕時計はちゃんとあった。

「15時かぁ」

日が暮れる前に寝れる場所か人のいる場所に辿り着きたい。







ーーーーーー







結果から言うともうすぐ日が暮れる18時景色は変わらず…。

3時間歩き続けてくたくただが足を止めるわけには行かない。

これは人に会うことより寝床を探した方がいいのかな?

そう思いかけた19時辺りはずいぶん暗くなってきた。

『※※※※※※※※※※』

遠くで声がしたような気がした。

疲れた足に鞭打って走り出す。

明かりが見えてきた!!

明かりに向かって走り抜くと。

開けた場所に出た。

「明るい」

でも変だ…。

あれなんて言うんだけ?

あ、松明たいまつだ!

おかしくない?

でもテントがいっぱいあるからたくさん人がいる証拠だ。

「誰かいませんか~!」

大声で叫ぶと、一番大きなテントから声が聞こえた。

『※※※※※※?』

出てきた男を見て固まる。

どう見ても日本人じゃない体格。

2メートル以上あるような…。

それに自然な色の金髪!

最後一番おかしいのが耳と尻尾だ!

『※※※※※※※!!』

何言ってるか分からない。

ヤバいなんか近づいてくる。

迂闊に声なんか出すんじゃなかった。

男が手を伸ばしてくる。

「っひ!」

怖い怖い殴られる!

反射で頭を抱えて蹲る。

「※※※※※※※※※※?」

男の手が僕の体に触れた瞬間、緊張の糸が切れ僕は意識を失った。



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