悪役令嬢の涙。虐げられた泣き虫令嬢は、愛する人のために白猫と悪役令嬢を目指します。

美杉日和。(旧美杉。)

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 部屋に寝かされて、今日は安静にするように言われて二人を見送ってからも、全く寝付くことはできなかった。

 ただベッドの上でごろごろと余計なことばかりが頭に浮かんでは消えていく。

 考えることはただ一つ。

 ある意味少し歪んでしまった私たちの三角関係だ。

 カイルはどう思っているのだろう。

 きっと聞いたところでカイルは仲の良い幼馴染としか言わなさそうだけど……。

 でも、ね。

 リーリエの気持ちを知っていて知らん顔する私は、どうなのだろう。

 きっと、すごく嫌なヤツね。

 
「ああ……ダメね」


 気づいてても言えない。

 だってそれくらいにカイルのことが好きで、私は自信がないから。

 相手がリーリエだって気にしないと言えるくらいならいいのに。

 勝てる要素なんて一つもないし。


「ねぇシロ、リーリエはカイル様のことが好きなのかな……でも、きっとそうよね」


 窓枠に乗り、学園の外を眺めるシロに私は声をかけた。

 外はすでに日が落ち暗くなっており、中庭も見えないだろうに猫って目がいいのかしら。


「ねえティア、その答えを聞いてティアはどうしたいの?」

「どうしたい?」


 振り返らないシロを私は見た。

 どうしたい?

 私、どうしたいんだろう。

 リーリエがカイルのことを好きだってそうじゃなくたって、何も変わらないのに。


「……」

「はぁ。まぁね、不安な気持ちは分かるわ。ティアにとって、二人は大切な人たちだものね」

「……うん」

「でも聞いて問い詰めたって、何にもならないでしょう?」

「うん。でも知ってるのに知らない顔してていいのかなって……」

「でも知ってたとしてもよ? それを口に出したって誰の得にもならないんじゃない?」

「……うん、そう。そうね……ただ私が安心したいだけ……なのかもしれない」

「ほら、答えが出てるならもういいんじゃない?」


 シロの言う通りね。

 ただ私が安心したいだけなら、言わない方がいい。

 だって誰の得にもならないもの。

 たとえリーリエがカイルを好きだとしても、私の思いは変わらない。

 そう変わらない。

 カイルのことは好きで、リーリエは大切な友だちだもの。


「ごめんね、シロ」

「いいのよ。いろんな変化が急にあって、ティアも大変だと思うのよ」

「そうね……、今まで自分がいかに恵まれた環境で生きてきたかって分かったわ。生きていくのって、結構大変なのね」

「そうね。普 部屋に寝かされて、今日は安静にするように言われて二人を見送ってからも、全く寝付くことはできなかった。

 ただベッドの上でごろごろと余計なことばかりが頭に浮かんでは消えていく。

 考えることはただ一つ。

 ある意味少し歪んでしまった私たちの三角関係だ。

 カイルはどう思っているのだろう。

 きっと聞いたところでカイルは仲の良い幼馴染としか言わなさそうだけど……。

 でも、ね。

 リーリエの気持ちを知っていて知らん顔する私は、どうなのだろう。

 きっと、すごく嫌なヤツね。

 
「ああ……ダメね」


 気づいてても言えない。

 だってそれくらいにカイルのことが好きで、私は自信がないから。

 相手がリーリエだって気にしないと言えるくらいならいいのに。

 勝てる要素なんて一つもないし。


「ねぇシロ、リーリエはカイル様のことが好きなのかな……でも、きっとそうよね」


 窓枠に乗り、学園の外を眺めるシロに私は声をかけた。

 外はすでに日が落ち暗くなっており、中庭も見えないだろうに猫って目がいいのかしら。


「ねえティア、その答えを聞いてティアはどうしたいの?」

「どうしたい?」


 振り返らないシロを私は見た。

 どうしたい?

 私、どうしたいんだろう。

 リーリエがカイルのことを好きだってそうじゃなくたって、何も変わらないのに。


「……」

「はぁ。まぁね、不安な気持ちは分かるわ。ティアにとって、二人は大切な人たちだものね」

「……うん」

「でも聞いて問い詰めたって、何にもならないでしょう?」

「うん。でも知ってるのに、知らない顔してていいのかなって……」

「あー。もうねー。仮にティアがリーリエの気持ちを知ってたとしてもよ? それを口に出したって誰の得にもならないんじゃない?」

「……うん、そう。そうね……ただ私が安心したいだけ……なのかもしれない」

「ほら、答えが出てるならもういいんじゃない?」


 シロの言う通りね。

 ただ私が安心したいだけなら、言わない方がいい。

 だって誰の得にもならないもの。

 たとえリーリエがカイルを好きだとしても、私の思いは変わらない。

 そう変わらない。

 カイルのことは好きで、リーリエは大切な友だちだもの。


「うん……ごめんね、シロ。変なコト聞いてしまって」

「いいのよ。いろんな変化が急にあって、ティアも大変だと思うのよ」

「そうね……、今まで自分がいかに恵まれた環境で生きてきたかって分かったわ。生きていくのって、結構大変なのね」

「普通の貴族として生きてきたら、知らないことばかりだものね」

「そうなのよ。生きていくのにお金がかかるとか……、っていけない!」


 私はベッドから急いで上半身を起こす。

 その音にびっくりしたのか、シロがやっとこちらを振り返った。
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