【完結】妹の代わりなんて、もううんざりです

美杉日和。(旧美杉。)

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000 私が私である証明

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「あの子の代わりになって生きるくらいなら、死んだ方がまだマシよ!」

 王宮で開かれた裁判で、私はそう大きく叫んだ。

 私の言葉を聞いたその全員が、顔を引きつらせる。
 それもそうだろう。
 彼らはずっと、この私ではなく、妹と同じ姿形をしたスペアが欲しかったのだから。

 元より勝ち目のないこの戦い。
 だけど、どうせ負けて彼らの手に落ちるのならば死んだ方がまだマシだ。

 私は私として生きられないのなら、そんな生に未練もないのだから。

 私の発言に金切り声を上げる彼らを無視し、ずっと高みの見物をしていた男が豪快に笑った。
 彼の笑いに、辺りは静まり返る。

「気に入った。どうせ死ぬのならば、その命俺のために使う気はないか?」

 急に何を言い出すのか。
 誰もその言葉の意図が読み取れずにいる。

 だけど彼に口出し出来る者など、この場にはいなかった。

「もし俺の手を取るなら、俺はお前がお前自身だと認めてやろう」

 ずいぶん上からだとは思う。
 おそらくこの人でなければ、そんな発言など出来ないだろう。

 でも……。

「私が私であるとお認め下さるのなら、この命いくらでも差し上げましょう」

 そうこれは契約だ。
 彼と私の命の契約。

 どうしてこんなにも狂ってしまったのか。
 彼から差し伸べられた手を取りながら、私は深く沈む過去を思い出していた。

 
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