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016 ボクの選択
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「冷静になれ、ガルド」
「何が冷静に、だ! おまえはルルドにヒナを殺すと言わせたいのかよ」
「現実的な話をしているだけだ。じゃあ、おまえならどうする? このままルルドに、このヒナの面倒を一生見ろと言うのか?」
そこまで言われ、ハッとしたようにガルドはその手を離した。
そしてボクを見て、ただ小さく「すまない」と詫びる。
二人の気持ちが、痛いほど伝わってくる。
どちらもボクを思ってのことだった。
ボクに厄介ごとを背負わせたくないランタス。
ボクに残酷な選択をさせたくないガルド。
だけどそうだね。
これはボクが選ばなければいけない問題だ。
「ぴょ?」
この子に罪はない。
だけどボクは旅の途中で、しかもまだ世間的には子どもだ。
そんなボクがこの子の面倒なんて見られるのかな。
しかもただの動物でもない、この子の面倒を。
「全てをルルドが背負うことはない」
「ランタス……。うん……そうだね。でも……」
どんな行動にもその責任が生まれる。
昔、そんな言葉をどこかで聞いたことがあったなぁ。
結局、前はそんなことなんて気にする余裕もなかったけど。
でも今は、きちんとそれに向き合う時なのかもしれない。
「ボクと一緒に来るかい?」
ヒナを見た。
ヒナはボクを見るだけで、嬉しそうに何度も小首をかしげる。
言葉は通じていなくても、この顔を見れば答えは明らかだった。
「ぴょーーーん」
「ふふふ。ごめんね。君の本当の親鳥じゃなくて……。でも君が一人で生きていける時までは、そばにいるよ」
「ルルド!」
こんなことで償いになるとは思ってないけど。
でもあんなにも親鳥が必死で守りたかったものを切り捨てられるほど、非情にはなれなかった。
「大変だぞ、この先。それでもいいのか?」
「……うん。どのみち、どこか行くあてがあった旅じゃないし。いいんだ。ボクはボクのしたいことをするために始めたような旅だから。だから大丈夫です」
「俺がいらないことを言ったばかりに」
「いえ。そうじゃないんです。ボクが決めたことですから」
ボクがボクらしくあるために。
なりたい自分と向き合って、ボクというものを見つけたいから。
だからこの子を見捨てないという選択は、決して後悔することはないだろう。
それにきっと何とかなる気がする。
ボクは一人じゃないし。
「ね、リーシャ。君も賛成してくれるだろう?」
「うー……にゃぁ」
どこか呆れたようなリーシャは、また猫のように鳴いた。
それでも反対する気はないようだ。
きっとあなたはお人好し過ぎるのよ、とか言ってそうだな。
「ふふふ」
「本当に後悔しないか?」
心配そうなガルドたちに、ボクははっきりと告げる。
「もう後悔したくないから、始めた旅ですし。自分で決めたことに後悔はしません」
それ以上二人は、この件のことを聞いてはこなかった。
ボクたちはこの件の報告もかねて、次の街のギルドへ向かうことにする。
予定だった次の村を一つ飛ばすため、ボクたちは数日かけてこの森を進むことになった。
「ご飯が作れる仲間がいてくれて、本当に良かったよ」
何回目かの夕食で、半泣きになりながらガルドが口を開いた。
この会話も何度目かの気がするけど。
ガルドにとって食というものは、本当に大切らしい。
体が大きいせいか、燃費が悪すぎるんだと、よくランタスが言ってたっけ。
確かにガルドは毎食きちんと食べる。
寝起きであっても、お肉とか食べられるのがすごいなぁと感心するほどだ。
ボクもあれだけ食べられたら、もう少し大きくなるのかなぁ。
背が全然伸びないのが、悩みなんだよなぁ。
旅を続けて行くなら、今回のような戦闘もきっと必須になってくる。
ガルドたちまでは無理でも、もう少し頼りがいのある感じになりたいんだけど。
「ボクはむしろ、ガルドのようになりたいんだけどなぁ」
「やめとけ、ルルド。脳ミソまで筋肉になってしまうぞ?」
「なんだよー、ランタス。その言い方! 俺だって、ちゃーんと考えられる人間なんだぞ」
「よく言うな。昼間のことをもう忘れたのか? だから脳筋だと言われるんだ」
食事を手に持ち、焚き火越しに二人は口論を始める。
とっとと食事を食べ終えたリーシャは、関心がないようでボクの膝の上で寝ていた。
「あ、あれは仕方ないだろ」
「前にもルルドに言われたハズだが?」
「それは……そうだが。ほら、もしかしたらという興味がだなぁ」
「まぁ、バカの貴重なサンプルがとれたのでこっちはかまわないが?」
「なんだとー!!」
「まぁまぁまぁまぁ」
今にも取っ組み合いを始めそうな二人の間にボクが入る。
旅をしてて気づいたんだけど、この二人、戦闘とかは息ピッタリなのに性格が真逆なんだよね。
しかも冷静なランタスと違って、ガルドはかなり熱いタイプ。
だから普段は余計にぶつかる感じだ。
もっとも、ランタスが相手をしないコトが多いけど。
「でもさ。確かにあの実のこともボクの能力のことも分かったから良かったんじゃないかな?」
そう間を取れば、二人は口論を止める。
ことの発端は、ガルドが昼間にある果実を食べたことだった。
「何が冷静に、だ! おまえはルルドにヒナを殺すと言わせたいのかよ」
「現実的な話をしているだけだ。じゃあ、おまえならどうする? このままルルドに、このヒナの面倒を一生見ろと言うのか?」
そこまで言われ、ハッとしたようにガルドはその手を離した。
そしてボクを見て、ただ小さく「すまない」と詫びる。
二人の気持ちが、痛いほど伝わってくる。
どちらもボクを思ってのことだった。
ボクに厄介ごとを背負わせたくないランタス。
ボクに残酷な選択をさせたくないガルド。
だけどそうだね。
これはボクが選ばなければいけない問題だ。
「ぴょ?」
この子に罪はない。
だけどボクは旅の途中で、しかもまだ世間的には子どもだ。
そんなボクがこの子の面倒なんて見られるのかな。
しかもただの動物でもない、この子の面倒を。
「全てをルルドが背負うことはない」
「ランタス……。うん……そうだね。でも……」
どんな行動にもその責任が生まれる。
昔、そんな言葉をどこかで聞いたことがあったなぁ。
結局、前はそんなことなんて気にする余裕もなかったけど。
でも今は、きちんとそれに向き合う時なのかもしれない。
「ボクと一緒に来るかい?」
ヒナを見た。
ヒナはボクを見るだけで、嬉しそうに何度も小首をかしげる。
言葉は通じていなくても、この顔を見れば答えは明らかだった。
「ぴょーーーん」
「ふふふ。ごめんね。君の本当の親鳥じゃなくて……。でも君が一人で生きていける時までは、そばにいるよ」
「ルルド!」
こんなことで償いになるとは思ってないけど。
でもあんなにも親鳥が必死で守りたかったものを切り捨てられるほど、非情にはなれなかった。
「大変だぞ、この先。それでもいいのか?」
「……うん。どのみち、どこか行くあてがあった旅じゃないし。いいんだ。ボクはボクのしたいことをするために始めたような旅だから。だから大丈夫です」
「俺がいらないことを言ったばかりに」
「いえ。そうじゃないんです。ボクが決めたことですから」
ボクがボクらしくあるために。
なりたい自分と向き合って、ボクというものを見つけたいから。
だからこの子を見捨てないという選択は、決して後悔することはないだろう。
それにきっと何とかなる気がする。
ボクは一人じゃないし。
「ね、リーシャ。君も賛成してくれるだろう?」
「うー……にゃぁ」
どこか呆れたようなリーシャは、また猫のように鳴いた。
それでも反対する気はないようだ。
きっとあなたはお人好し過ぎるのよ、とか言ってそうだな。
「ふふふ」
「本当に後悔しないか?」
心配そうなガルドたちに、ボクははっきりと告げる。
「もう後悔したくないから、始めた旅ですし。自分で決めたことに後悔はしません」
それ以上二人は、この件のことを聞いてはこなかった。
ボクたちはこの件の報告もかねて、次の街のギルドへ向かうことにする。
予定だった次の村を一つ飛ばすため、ボクたちは数日かけてこの森を進むことになった。
「ご飯が作れる仲間がいてくれて、本当に良かったよ」
何回目かの夕食で、半泣きになりながらガルドが口を開いた。
この会話も何度目かの気がするけど。
ガルドにとって食というものは、本当に大切らしい。
体が大きいせいか、燃費が悪すぎるんだと、よくランタスが言ってたっけ。
確かにガルドは毎食きちんと食べる。
寝起きであっても、お肉とか食べられるのがすごいなぁと感心するほどだ。
ボクもあれだけ食べられたら、もう少し大きくなるのかなぁ。
背が全然伸びないのが、悩みなんだよなぁ。
旅を続けて行くなら、今回のような戦闘もきっと必須になってくる。
ガルドたちまでは無理でも、もう少し頼りがいのある感じになりたいんだけど。
「ボクはむしろ、ガルドのようになりたいんだけどなぁ」
「やめとけ、ルルド。脳ミソまで筋肉になってしまうぞ?」
「なんだよー、ランタス。その言い方! 俺だって、ちゃーんと考えられる人間なんだぞ」
「よく言うな。昼間のことをもう忘れたのか? だから脳筋だと言われるんだ」
食事を手に持ち、焚き火越しに二人は口論を始める。
とっとと食事を食べ終えたリーシャは、関心がないようでボクの膝の上で寝ていた。
「あ、あれは仕方ないだろ」
「前にもルルドに言われたハズだが?」
「それは……そうだが。ほら、もしかしたらという興味がだなぁ」
「まぁ、バカの貴重なサンプルがとれたのでこっちはかまわないが?」
「なんだとー!!」
「まぁまぁまぁまぁ」
今にも取っ組み合いを始めそうな二人の間にボクが入る。
旅をしてて気づいたんだけど、この二人、戦闘とかは息ピッタリなのに性格が真逆なんだよね。
しかも冷静なランタスと違って、ガルドはかなり熱いタイプ。
だから普段は余計にぶつかる感じだ。
もっとも、ランタスが相手をしないコトが多いけど。
「でもさ。確かにあの実のこともボクの能力のことも分かったから良かったんじゃないかな?」
そう間を取れば、二人は口論を止める。
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