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027 お金よりも撮影許可
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絶対に無理しないコト。
そうリーシャと約束をしたボクは、早朝街へと戻った。
病についての状況があまり良くないせいか、朝早いにも拘わらずギルドには多くの冒険者たちがいた。
ただどの人も万全な状態というわけではない。
顔色が悪く、布で出来たマスクをしている人も目立つ。
「朝早くからすまないな」
そう言って、ザイオンがボクを迎えてくれる。
ギルド長であるこの人が感染していないのが、救いかな。
「いえ、大丈夫です」
「昨日、ランタスから井戸の水脈を記した地図を受け取った。とても助かる」
ボクと別れたあと、わざわざランタスが届けてくれたらしい。
十分疲れていたはずなのに、なんだか申し訳ない。
ボクなんてとっととリーシャと合流して、のんびりしちゃってたのに。
二人とも、ちゃんとご飯食べれたかな。
「ここまで調査をしたことがなかったから、本当に助かる」
「いえ、大したことではないですから」
「いや、これは街の今後にも関わるようなことだ。しかも国などに依頼したら、いくら取られるか分からない」
ただ井戸がどこに繋がってるかってだけなのに、お金取られるんだ。
地質調査みたいなものなのかな。
そういうの過去にも一回も見たことはないけど。
「そーなんですね。初めて知りました」
「それでお金なんだが……」
「ボクの鼻が役に立って良かったです。タダですし」
ボクとザイオンの言葉が重なる。
ああ、会話被せちゃった。
ちゃんと相手の話を聞かないと。
「えっと、何でしたっけ?」
「そのだな、タダではダメだろう」
「え? ダメなんですか」
「普通はな」
「へー。そうなんですね」
別にこれは仕事じゃないし、正式に依頼されたわけでもない。
しかも道具とか使ったわけでもないし、ただ散歩しただけのようなものなのに。
たったこれだけでお金もらったら、その方がバチ当たりそうなんだけど。
「ルルド、君はお人好しだと言われないか?」
「いや……どうでしょう」
言われたことあったかな。
基本、当たり障りなく生きてきたから、それすら言われたことないかも。
「本来ならば、これは金銭が発生することだ。だからギルドとして正式に支払いをしなければならないと思っている。だが、今は緊急事態でな。動かせるお金もあまりない上に、会計が出来る者もいない」
ああ、確かに。
今ギルドの職員は、ほぼザイオンのみと言っていい。
受付や依頼の張り出し、そして依頼の結果報告など、一人でこなしている。
そんな中、ボクのような元より依頼のないものの清算など、きっと手間がかかってしかたがないだろう。
「だから本当に申し訳ないのだが……」
「いらないですよ、ボクは街の中を案内してもらっただけです」
「そういうわけにもいかない。この件が片付いたら……」
「あ、それならお願いがあります!」
ボクは皮のリュックから、あの水晶を取り出した。
ボクの行動の意味が分からないザイオンに、ボクは言葉を続ける。
「今日、病の原因をあぶり出すときに、撮影してもいいですか?」
急に何を言い出すのかと言うように、ザイオンはやや呆気に取られている。
でもこれは、ボクには重要な問題なんだ。
「か、構わないが」
「ありがとうございます」
「でも、そんなものを撮影してどうするんだ?」
「あー。配信って結構お金になるんですよ。ボクは冒険者ですが、基本的に戦闘要員ではないから、こういったもので旅費を稼いでいるんです」
旅を続けるのには、お金がかかる。
ザイオンは水脈調査のお金を払うって言ってくれたけど、やっぱり大変なところからお金をもらいたくない。
だったら配信して、その分で稼げたらいいなって思うんだ。
もっとも、今回の撮影には他の冒険者も写ってしまうだろうけど。
「しかも今回の件は結構大掛かりになりそうなんですよね」
「病の見当がついているのか⁉」
「街に入って、変な匂いに気づいた時からなんとなくですけどね」
正直、自信はなかった。
だけど他の井戸たちを見て回るうちに、ほぼ間違いないと思えたんだ。
「ガルドさんたちが来たら、あぶり出しましょう。そしてその時、人手がいります」
ボクはギルド内を見渡した。
この中から何人か協力してくれればいいけど。
ガルドさんたちを信用していないわけじゃないけど、どうなるか分からないし。
手伝ってくれる人は多い方がいい。
「この街のことだ、手が空いているものは手伝うさ」
「ああ、これでもう終わりになるっていうなら、いくらでも手を貸すぜ」
「むしろ関係ないおまえさんを巻き込んですまない」
冒険者たちが次々に名乗りを上げてくれる。
それほどまでに、みんなこの病に疲弊していたってことだ。
うん。
とっとと、やっつけちゃおう。
「もしかすると危険かもしれませんが大丈夫ですか?」
「冒険者っていうのは、いつも危険と隣り合わせだからそこは問題ない」
「撮影するので、顔出しちゃいますけどそれも大丈夫そうですか?」
ボクの言葉に冒険者たちはお互いの顔を見合う。
「あー。こいつの顔は狂暴だから、ダメかもしれないな」
「馬鹿言え。ギルド長より悪人顔な人間なんていないだろう」
「間違いない」
うんうんと、全員が同じ意見で一致する。
「えええ。そうですかね……」
何やらボクの背後で、怒っている人を感じるけど、ボクはあえて振り向くのをやめた。
ふふふ。しーらない。
そうリーシャと約束をしたボクは、早朝街へと戻った。
病についての状況があまり良くないせいか、朝早いにも拘わらずギルドには多くの冒険者たちがいた。
ただどの人も万全な状態というわけではない。
顔色が悪く、布で出来たマスクをしている人も目立つ。
「朝早くからすまないな」
そう言って、ザイオンがボクを迎えてくれる。
ギルド長であるこの人が感染していないのが、救いかな。
「いえ、大丈夫です」
「昨日、ランタスから井戸の水脈を記した地図を受け取った。とても助かる」
ボクと別れたあと、わざわざランタスが届けてくれたらしい。
十分疲れていたはずなのに、なんだか申し訳ない。
ボクなんてとっととリーシャと合流して、のんびりしちゃってたのに。
二人とも、ちゃんとご飯食べれたかな。
「ここまで調査をしたことがなかったから、本当に助かる」
「いえ、大したことではないですから」
「いや、これは街の今後にも関わるようなことだ。しかも国などに依頼したら、いくら取られるか分からない」
ただ井戸がどこに繋がってるかってだけなのに、お金取られるんだ。
地質調査みたいなものなのかな。
そういうの過去にも一回も見たことはないけど。
「そーなんですね。初めて知りました」
「それでお金なんだが……」
「ボクの鼻が役に立って良かったです。タダですし」
ボクとザイオンの言葉が重なる。
ああ、会話被せちゃった。
ちゃんと相手の話を聞かないと。
「えっと、何でしたっけ?」
「そのだな、タダではダメだろう」
「え? ダメなんですか」
「普通はな」
「へー。そうなんですね」
別にこれは仕事じゃないし、正式に依頼されたわけでもない。
しかも道具とか使ったわけでもないし、ただ散歩しただけのようなものなのに。
たったこれだけでお金もらったら、その方がバチ当たりそうなんだけど。
「ルルド、君はお人好しだと言われないか?」
「いや……どうでしょう」
言われたことあったかな。
基本、当たり障りなく生きてきたから、それすら言われたことないかも。
「本来ならば、これは金銭が発生することだ。だからギルドとして正式に支払いをしなければならないと思っている。だが、今は緊急事態でな。動かせるお金もあまりない上に、会計が出来る者もいない」
ああ、確かに。
今ギルドの職員は、ほぼザイオンのみと言っていい。
受付や依頼の張り出し、そして依頼の結果報告など、一人でこなしている。
そんな中、ボクのような元より依頼のないものの清算など、きっと手間がかかってしかたがないだろう。
「だから本当に申し訳ないのだが……」
「いらないですよ、ボクは街の中を案内してもらっただけです」
「そういうわけにもいかない。この件が片付いたら……」
「あ、それならお願いがあります!」
ボクは皮のリュックから、あの水晶を取り出した。
ボクの行動の意味が分からないザイオンに、ボクは言葉を続ける。
「今日、病の原因をあぶり出すときに、撮影してもいいですか?」
急に何を言い出すのかと言うように、ザイオンはやや呆気に取られている。
でもこれは、ボクには重要な問題なんだ。
「か、構わないが」
「ありがとうございます」
「でも、そんなものを撮影してどうするんだ?」
「あー。配信って結構お金になるんですよ。ボクは冒険者ですが、基本的に戦闘要員ではないから、こういったもので旅費を稼いでいるんです」
旅を続けるのには、お金がかかる。
ザイオンは水脈調査のお金を払うって言ってくれたけど、やっぱり大変なところからお金をもらいたくない。
だったら配信して、その分で稼げたらいいなって思うんだ。
もっとも、今回の撮影には他の冒険者も写ってしまうだろうけど。
「しかも今回の件は結構大掛かりになりそうなんですよね」
「病の見当がついているのか⁉」
「街に入って、変な匂いに気づいた時からなんとなくですけどね」
正直、自信はなかった。
だけど他の井戸たちを見て回るうちに、ほぼ間違いないと思えたんだ。
「ガルドさんたちが来たら、あぶり出しましょう。そしてその時、人手がいります」
ボクはギルド内を見渡した。
この中から何人か協力してくれればいいけど。
ガルドさんたちを信用していないわけじゃないけど、どうなるか分からないし。
手伝ってくれる人は多い方がいい。
「この街のことだ、手が空いているものは手伝うさ」
「ああ、これでもう終わりになるっていうなら、いくらでも手を貸すぜ」
「むしろ関係ないおまえさんを巻き込んですまない」
冒険者たちが次々に名乗りを上げてくれる。
それほどまでに、みんなこの病に疲弊していたってことだ。
うん。
とっとと、やっつけちゃおう。
「もしかすると危険かもしれませんが大丈夫ですか?」
「冒険者っていうのは、いつも危険と隣り合わせだからそこは問題ない」
「撮影するので、顔出しちゃいますけどそれも大丈夫そうですか?」
ボクの言葉に冒険者たちはお互いの顔を見合う。
「あー。こいつの顔は狂暴だから、ダメかもしれないな」
「馬鹿言え。ギルド長より悪人顔な人間なんていないだろう」
「間違いない」
うんうんと、全員が同じ意見で一致する。
「えええ。そうですかね……」
何やらボクの背後で、怒っている人を感じるけど、ボクはあえて振り向くのをやめた。
ふふふ。しーらない。
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