スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

文字の大きさ
108 / 192

帰還とサプライズ

しおりを挟む
行きと同じように何事も無く三日で町に戻って来た俺達は、帰還の歓迎を受けながら領主館に戻って休む暇も無くシュナイザー様は執務に戻ってしまった。休むにしては全然疲れていないしそれにまだ昼過ぎだから早すぎる。やる事も無いし中庭からテセウとブレストの気配を感じるしそっちに行ってみるか。

「飛び道具相手は狙いを定めさせる隙を与えないように、不規則な動きをすることが大事です。一定の動きを繰り返していたら行動を先読みされますよ」
「魔法師相手でも同じだろうか」
「基本は同じですけど魔法師相手に一対一をするのであればまず視界に入らないように気を付けた方が良いですね」
「なるほど」

 今はブレストに飛び道具や遠距離攻撃を持った相手との戦い方を学んでいるみたいだな。ブレストの言う通り、飛び道具を使う奴らは距離を空けている相手に攻撃を当てなきゃいけないので相手の行動を予測することに慣れている。だから、単調な動きをすれば的になるだけだ。魔法師の場合は視認した場所や相手を指定した魔法とかもあるから、障害物などがあるのであれば視界に入らないようにするのが安全だ。うんうん、学んでいるみたいだし俺が居ない間ブレストに指導を頼んでおいて良かった。

「受け止めるのは極力は止めた方が良いのだな?」
「魔法は効果によっては防御しきれない事もありますし、純粋なタンク以外が受け止めるのはお勧めしませんね」
「なるほど、確かに効果や威力が定かでない魔法を受けるのは危険か。それならば矢はどうだろう」
「確実に防御する自信があるのであれば良いですけど、矢には麻痺毒などの毒が塗ってあることも多いので受け止めるのであれ傷一つ無く受け止める必要があります」
「毒か・・・・」
「液体が入った瓶を投げつけられた時は要注意ですね」
「そういう手もあるのか」

 そうだな~矢に毒を塗るのは常套手段だし、燃えやすい液体や相手を溶かす液体を瓶の中に詰めて相手にぶつけるという戦法を取る奴もいる。純粋なタンク役や盾役だったら、スキルや強化それに装備品と鎧で防御手段を固めているから受けても大丈夫だけど、テセウは受け止めない方が良いだろうな。

「まぁ、そういう手段はクロガネが詳しいからクロガネに任せようか」

 気配を消しながら歩いて来たのでテセウはまだ気づいてないが、ブレストは俺の事に気付いたみたいだ。その証拠に笑いながら俺が寄りかかっている壁に向かって手を振っている。

「え?・・・・壁の後ろに居るのか?」

 その様子を見てテセウは顔を顰めながら俺の気配を捉えようとしたので、驚かすために本気で気配と姿を消しテセウの背後に行き肩を叩く。

「どうも」
「うわっ」
「おわっ」

 急に肩を叩かれ声がしたのに驚いて思わずテセウは回し蹴りをしてきたので、上体を反らし顔面に向かってくる足を避ける。俺の姿を見たテセウはしまったという顔をするとすぐに足を下ろし綺麗に90度腰を折ると

「すまない!!!」
「いや、驚かせた俺が悪いんですから気にしないでください」
「いくら驚いたとしても蹴って良いものでは無い!本当にすまない!」
「俺は良い反応だと感心しているくらいなんですから、そんな謝らなくて良いって」

 それに、当初の目的である驚いたテセウを見ることが出来て俺は大満足だ。ふふ、あの超驚いた顔は中々に見ものだったぞ。まぁ個人的な面白さは置いておいて、俺の声にすぐに反応して攻撃したのは良い反応速度だと思うぞ。

「だが・・・・」
「ほら、ブレストは爆笑してるくらいだし気にしなくても大丈夫ですから」

 驚いて攻撃してしまったテセウを見てブレストなんかは隣で腹を抱えて大爆笑してるし、何なら驚かしたことを怒ってもいいくらいなんだからな。

「そうか・・・・ならばこれ以上の謝罪は良くないか。では、改めてクロガネ、無事の帰還でなによりだ」
「はい、ただいまです。シュナイザー様も執務で忙しそうですが怪我は何一つありませんよ」
「そうか、無事で何よりだ。何かダンジョンに変化はあったのか?」
「変化というか、なんというかダンジョンが正常に動いてはいましたね」
「なるほど、詳しく聞いてみたいが今は鍛錬中なのでな」
「なのでその話は後程。確か毒とかの話をしてましたよね?」
「あぁ、毒などの飛び道具はクロガネに聞いた方が良いと言われた」

 俺も毒の専門家という訳じゃないから何でも知ってる訳じゃ無いけど、ある程度の毒を知っているし持っているから説明することは出来るな。マジックバックから今持っている毒を取り出しテセウの前に並べてみる。

「これが今俺が持ってる毒で使い道がある毒ですね」
「ふむ。毒と言えば毒々しい紫色などのイメージだったが、色々な色があるのだな」

 俺が持っている毒は、この森に出てくるポイズンセンチーピードの毒やフォレストスネークの毒、そして王都の雑貨屋で買った麻痺毒やヴェノムフロッグの毒液にブラッドスネークの毒液などだ。テセウが言う通り毒らしい紫色から、鮮やかな黄色に血のような赤色、そして水のように透明な色まで様々だ。

「毒々しい色をしている毒ってそんなに無いんですよ。それに明らかに毒みたいな色をしていたら相手にバレちゃうし、飲み物とかにも混ぜられないでしょ?」
「それはそうだが・・・・」
「何も無いように見えて実は毒が塗ってあったりと分からないからこそ毒は厄介なんですよ」

 明らかにこれは毒です!って主張していたら相手に警戒させるだけだし、毒は相手に気付かれないように盛ってこそ真の効力を発揮する物なのだ。

「毒は、掠っただけ触っただけ吸い込んだだけで確かなダメージを相手に与えますし、毒を取り込んだ体ではまともに戦えるものじゃありません。少しの怪我が致命傷になるのが毒なんです」
「・・・・恐ろしいものなんだな」
「えぇ、恐ろしいですよ。顔に掛けられれば失明しますし、毒が体内に周れば動きが鈍り思考もぼやけてしまう。物によっては全身から血を噴き出す物もありますから、毒に対する対抗策を常に用意しておく必要があります」
「解毒ポーションか」
「有名かつ一般的な方法だと解毒ポーションですけど、一部の強力な毒は上位ポーションか専用の解毒薬が必要になったりします。なので、解毒ポーションを持っているから必ず安心とは考えないでください」

 解毒ポーションはありとあらゆる毒物に効く万能薬だが、それは弱い毒に対してだけだ。だけど強力だったり特殊な毒の場合、薬師が作る解毒薬が必要になったり光魔法によるアンチポイズンなどの魔法が必要になるので過信は禁物だ。

「他の対策だと・・・・装飾品か」
「その通り。毒耐性を上げられる装飾品は冒険者が必ず持っているべき物の一つですね。装飾品の質や掛けられている付与の強さによって対抗できる毒の強さが変わりますけど、複数付ける事によって重ね掛けが出来ます。なので、強力な毒を防ぐために幾つも付ける人が多いですね。テセウは持ってますか?」
「あぁ、この首飾りが毒耐性と精神耐性の付与が掛かっている」
「なるほど、常に付けておいた方が良いものですね」
「クロガネは持っているのか?見た所何も装飾品を付けているようには見えないんだが」
「俺は体質的によっぽど強力な毒や特殊な毒じゃない限り効かないんですよ」
「そうなのか・・・・凄い体質だな」
「えぇ、だから低位の耐性の装飾品を付けても意味が無いので付けて無いんです。つけるとしたら高位の毒耐性の装飾品が良いんですけど、見つからなくて」
「高位だと二級ぐらいの装飾品か・・・・それは中々手に入るものでは無いな」

 装飾品にも冒険者と同じようにランクが決めれていて、1から5までの階級で表されている。二級ともなればヴェノムドラゴンの毒液を全身に浴びても平気なぐらいになるが、そんな高位の装飾品は中々見つけられるものでは無いのだ。

「そうなんですよね~」

 その後も夕飯になるまで毒や溶解液についての説明を続け、テセウが持っていた毒に対する誤った認識を正し夕食へと向かうのだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

俺とダークサイドファミリア 〜仕組まれた転生と異世界事情〜

ケイソウ
ファンタジー
撮影中の事故で亡くなったスタントマンの伊波雄大は、死後の世界で眼を覚ますと、女神に「異端者のもとへ転生できる権利」というその場限りのスキルと、特典の「特別な加護」を与えられ異世界へ送られた。 その異端者とは、魔界の王クラビスと、元聖剣士のエルフで死霊魔術師の女性シルヴァ、そして死霊魔人のレクスという、まさに異端者の代名詞であるダークサイド側の大物だった。 赤ん坊で転生した伊波は、魔王クラビスと死霊魔術師シルヴァに拾われてジニアスと名付けられ、ふたりを父と母とし、シルヴァの暮らす空母要塞で育てられることになる。 年月が過ぎ、両親から教育の一環として、地上のヴェルデ王国にレクスと暮らすようになったジニアスはある日、負傷したレッドドラゴンと遭遇する。しかしそのドラゴンは昔、ひとりの賢者によって消滅したダンジョンの主だった。だがダンジョン消滅の際に、ドラゴンと戦っていた冒険者も巻き込まれ姿を消していた。 そしてかつて聖剣士だったシルヴァも、賢者と冒険者でパーティーを組み、ダンジョン消滅に関わっていた。ひとり難を逃れたシルヴァは、今も消えた冒険者を探していると、レクスから聞かされる。 ジニアスは母シルヴァの為に、ダンジョン消滅の謎と、王国の様々な出来事に巻き込まれていく……。 この物語はシリアスではなく、コミカルに話が進んでいきますので、途中クスっと笑って頂けたら幸いです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...