スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

文字の大きさ
146 / 192

砦から森へ

しおりを挟む
 テセウ達と別れた後俺達は砦に向かうための道をゆっくりと歩いていた。この森には何度も入ったから、慣れたものだし出現する魔物も変わらないから走って砦まで行っても良いんだけど、夕方までにフォレシアの町に着けば良いから少しゆっくりめだ。

「こっち側に来るのは初めてだけど、魔物は変わらないな」
「そりゃ同じ森なんだから当たり前だろ。砦を越えれば一変するから楽しみにしてな」

 それはそうなんだけどさ~少し暇だよな。ブレストは何度も砦に行っているから先に居る魔物の事を知っているんだろうけど、俺は未経験だから早く戦いたいんだよ~情報は知ってるけど実践するのは大違いだろ。まぁ久々の旅だから気分が高まって早く新しいものに出会いたい戦いたいってなってるのもあるけどな。

「砦って何度も聞いてるけど一体どんな場所なの?」
「ん~要塞であり関所であり防衛拠点でもあるって感じだな」
「色々詰め込み過ぎだろ」
「と言っても魔物から国を守るのが主な役割って感じだな。何度も行ってるけど、フォレシアに向かう人は殆ど居ないし逆も然りだ。貿易はシュナイザー様の配下であり衛兵達が護衛と運送をしているから一般人は殆ど居ないな」
「金にがめつい商人なら行きそうなもんだけどな~」

 へ~殆ど通行は無いと言っても良いのか。でも、フォレシアは豊かな植物資源で高価な薬の材料が沢山あるんだろ?それなら商人達がこぞって行きそうなもんだけどな。

「相当根気のある商人じゃ無ければ行かないだろうな。魔物は強いし護衛を雇うなら三級パーティは必須だ。賢いからこそいくら儲けになるからと言って命を投げ出すような奴は居ないもんさ」
「なるほどな」

 金は欲しいけど命は惜しいか。当たり前のことだな。雑談をしながら襲い掛かる魔物達を倒しゆっくりと歩きながら進んでいると俺の感知に大勢の人が引っ掛かった。忙しなく動いているみたいだし・・・・これが砦だな。砦に宿っている魔力からして、かなりの魔道具と結界を使って防御を固めているみたいだな。

「へ~聞いてた通り金掛けてるんだな」
「おう、外も中も魔法による防御でガチガチだぞ」
「でも隠蔽はそこまでなんだな」
「人間じゃなくて魔物から守る砦だからな。必要が無いのさ」

 なるほど、対人用じゃないから中がバレたとしても問題無いというか逆に存在感を主張することによって魔物を引き寄せる狙いもあるのかもしれないな。感知して少し時間が経つと段々砦が見えてきたが、確かにあれは要塞だな。突如森に現れた大きな壁に道の先には遠く離れた場所も見ることが出来る監視塔に、まるで城のように見える程大きな砦は何人も通さないという威圧感を放っている。

「でけぇな。よくこんな場所にあんなのを作ったもんだ」
「中はもはや町と言って良いレベルだぞ」

 構造としては砦を中心に四角く囲うように城壁が並びそして、国境に沿うようにカーテンウォールが並び立っている。恐らくあの四角の中があそこに勤めている衛兵達の生活の場なんだろうな。

「へ~ちょっと見てみたいな」
「残念だが一応軍事施設だから詳しくは見れないぞ」
「残念」

 あんな要塞初めて見たから隅々まで詳しく見てみたかったけど、流石に駄目か。気配を消していけば気付かれずに行けるだろうけど自重します。俺達はゆっくりと近づいていくと、まだかなりの距離があるのに砦から視線を感じた。

「へ~もうバレたか。いくら一本道でも木が合って視界が少し遮られてるんだけどな」
「優秀な集まりだからな」
「みたいだな。お~い、怪しくないぞ~」

 監視塔から俺を怪訝そうに探るように絡みつく視線に笑いながら手を振ると、驚かせちまったようで警戒が強まっちまった。

「ありゃ逆効果か」
「こんな危険な森に子供が歩いてる時点で変なのに、探知させるなんて普通は有り得ないからな」

 え~和ませようとしただけなのに。視線が強まってしまった事に溜息を付きながら砦の目の前まで来ると、重装備を着こんだ衛兵達に止められた。

「そこの者止まれ!」
「ありゃ知らない門番だな」
「顔知られて無いのか?何回も来てるんだろ?」
「一体どれだけの数の衛兵が住んでると思っているんだ。流石に全員に顔は覚えられてないし。来たとしても魔物を倒してさっさと帰ってたからな」
「あ~」

 ブレストは基本的に人当たりが良いし優しいけど、よっぽどの事が無ければ積極的に人と関りにはいかない。人付き合いが悪い訳では無いけど、何処か一線を置いて深くは関わろうとしない。適切な表現の仕方がよく分からないけど、そうだな~浅いって言えば良いんだろうか。今回もどうせいつもの依頼の様に魔物を倒して事務的に衛兵達と話さず帰って来ていたんだろうな。

「ここから先は危険地帯である。もし迷い人であれば町まで案内を用意するが先に進むというのであれば身分を証明するものを出せ」
「3級冒険者ブレストだ。冒険者証をそっちに投げるぞ」
「5級冒険者クロガネ。同じくそっちに投げます」

 変な動きを見せれば上の櫓から見ている弓兵に撃ち抜かれるな。俺達は敵意が無いよう手を上げながら懐から冒険者証を取り出し投げるとそれを受け取った門番達の顔色が変わった。

「ブレストってあの?」
「顔を知っている奴は居ないのか?」
「冒険者証は問題無いようだし取りあえず入れるか」

 聞こえないよう小さな声で話してるつもりだろうが、俺達には丸聞こえだぞ。

「確認した。砦に入る事は許可するが変な行動はするなよ」
「了解です」

 衛兵達に監視されながらも中に入るとそこには、一つの町と言って良いほどの家と店が並んでいた。非番であろう衛兵達は楽しそうに酒や食べ物を飲み、力比べをしたりとウォルマと同じくらい賑やかだな。

「賑やかだな~」
「生活するのには困らない程度の施設は揃ってるらしいぜ」
「そりゃ凄い」

 ここの全てはシュナイザー様の管理下ってことだよな。辺境伯が公爵並みの権力を持ってると聞いて驚いたけどこれを見たら納得だな。他の町が軍事力で勝てる訳が無い。プリトはウォルマより大きな街だけど、ダンジョンの管理は冒険者に任されているから軍事力的には圧倒的にウォルマの方が上だな。戦力的に上な奴に喧嘩を仕掛ける馬鹿は居ないだろうし、貿易も担ってるとなるとそりゃテセウの言った通り積極的に他の貴族と繋がりを持たなくても良いよな。

 ブレストは慣れたように奥に進んで行くと、酒を飲んでいた衛兵の数人が驚いた顔をしながら俺達に話し掛けてきた。

「ブレスト殿じゃねーか」
「ん?ブレスト殿が来たと言うことは緊急事態か?」
「そんな知らせは全く来ていないぞ。警鐘だって鳴っていないし」
「いや、今日はいつもの用事じゃ無くてフォレシアに行く為に通っただけです」
「え、ブレスト殿フォレシアに行くのか?」
「えぇ、国を移動しようかなと思って」
「そうか、残念だな。まぁブレスト殿なら大丈夫だろが・・・・そこの坊主も一緒か?」

 この人達はブレストの強さを知っているみたいだな。まぁだからこそ一緒に居る俺の事を訝しげに見てるんだろうけど。

「はい、俺のパーティーのクロガネです」
「初めましてクロガネです」
「これはどうも。だが、いくら強くても子供と一緒にフォレシアは厳しいんじゃねーか?」
「悪い事は言わねーから止めておいた方が良いぜ」
「ご心配をありがとうございます。ですが、クロガネは十分に強いですからフォレシアの魔物程度でしたら負ける事は無いので大丈夫です。それでは、先を急ぐので失礼します」

 ブレストは笑いながら離れ、衛兵達は俺が強いと聞いて納得いかなさそうだな。

「優しい人達だな」
「だな。一般常識を持ってる人達だ」
「それを言うと俺達は異常みたいだぞ」
「確かに」

 あの人達は常日頃からフォレシアの魔物と戦っているから、恐ろしさを嫌と言う程分かっているからこそ俺の事を心配してくれたんだろうな~ああいう風にはっきりと言ってくれるなんて良い人達だね。でも、俺達は大丈夫だし危なくなったら逃げるから心配しないでね。俺はまだ俺のことを見てる衛兵達に笑って手を振りブレストの後に続いた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...