スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

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買取不能

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 ガラガラで人けの無いギルドを進み解体場に来たが、普通なら近くに来れば魔物を解体した時の血の匂いを感じるんだけど、それが一切に臭わないと言う事はここも案の定使われてないみたいだな~血の匂いと言うのは人間が本能的に感じ取ってしまう匂いで、ギルドの解体場は浄化をこまめに行ってるけど血の匂いと言うのはそう簡単に消えるものでは無い。つまり、染み付くほどの数の魔物をこなしていないし、量が少ないから浄化が間に合ってあっていると言う事だろう。

「ん~解体職員が居ないみたいだが・・・・クロガネ見つけられるか?」
「え」
「いや植物になってるならクロガネじゃなきゃ見破れないだろ?」
「あぁそういう事」

 探しに行ってこいってことかなと思ったけど、部屋に植人が居ないかどうかを聞いたわけか。いや別に鑑定スキルとかがある訳じゃ無いから、何となくでしか見破れないんだけど一応やっておくか。

 解体場に置いてある花やタンスで咲いている花や置いてある木材とかを見てみるけど、特に違和感も感じないし不審な気配も感じない。部屋の奥に気配は感じるから奥に引っ込んでるだけじゃ無いか?

「あ、ベル有ったわ」
「おい」

 言われたから隅々まで気配を探って怪しいものを見つけようと思ったのに、呼び出し用のベルがあるじゃんかよ!部屋をよく見ないで俺に任せたブレストを睨むと、悪い悪いと言いながらベルを鳴らすと軽やかな音色が響き部屋の奥の気配が向かってきた。

「お~すまんすまん。あれ?見ない顔だな」
「昨日この町に着いたんだ」
「なるほどな。俺はこのギルドの解体職員のバラスだ。さて、何を解体して欲しい?」
「取りあえず道中で遭った魔物達かな」

 そう言ってブレストは道中で遭った様々な魔物を次々と出していき、俺はブレストですら珍しいと言っていた魔物を出した。

「おいおい、アンバークイーンビーか。珍しくこの大きさとなるとこれは解体はしてやれるが買取は無理だぞ」
「うん、中の宝石が欲しいから元々買い取って貰うつもりは無いから大丈夫」

 アンバークイーンビーは普通のビーとは違った生態をしていて、普通の巣を作らず自分の腹に特殊な丸い器官を作りその中に樹液や蜂蜜を溜め込み中で宝石を作り出すのだ。そして出来上がった宝石の中に産卵し、生まれてきた幼虫がその宝石を食べて成長し中で繭になり成虫となって出てくるという生態をしている。つまり子育てを全て自分でやるビーってことだな。アンバービーが作るアンバーはビーアンバーと呼ばれ様々な樹液と蜜が混ざり魔力を籠め作られた宝石なので同じものが無く硬度が高く魔力も豊富、そして幻想的に黄金色に光る揺らめきから人気の高い宝石でもあるのだ。ちなみに、これを特殊な手段で溶かすとありとあらゆる病気に効果のある万能薬にもなるんだが、これを溶かすなんて勿体ない!これは俺の宝石コレクションにするんだ~

「そうか、こっちの魔物達は解体も買取も出来るがどうする?」
「ん~取りあえず素材は全部引き取るつもりだ」
「そうかい。それじゃあ仕事しますか。この量なら明日の昼までには終わるだろうから、また明日来な」
「了解」
「速いんだな」
「他に仕事が無いだけさ。植人は滅多に戦いに行かないから解体を頼まれる事も殆どないのさ」
「なるほどな」

 ここまでガラガラの冒険者ギルドを見るとしっかり運営出来てるのかなって疑問だよな。冒険者ギルドって、依頼と魔物素材を買い取ってそれを防具屋や道具屋に売って利益出している筈なんだがその全ては冒険者が居なければ成り立たない。だから、冒険者が居ないギルドは畳んでしまったりするんだが・・・・

「あの様子でよくギルドを持たせられるよな。その内潰れちゃうんじゃないか?」
「まぁ忙しい様子は無かったな。だけど潰れる事は無いと思うぞ」
「え~なんで?」
「ヒント、冒険者が居ないと言う事は掛かる経費も少ないと言う事と周辺で取れる魔物は何級だ?」
「・・・・あ、そういう事か」

 冒険者が少ないと言う事は紹介や冒険者に対する支援に掛かる費用が安く済むけど、持ち込まれる魔物は三級相当だから高値で売れるのか。三級の素材を売り払えば費用を上回る金を簡単に稼げるだろうし、その分をギルド職員の給料とギルドの維持に使えば継続することは可能だろうな。しかも忙しく無いから、職員の数も最低限で良いだろうし、そりゃ金は掛からないだろうな。

「ある意味安定したギルドだって言えるんだよ」
「なんか変なギルドだな」

 依頼を沢山受けて冒険者が賑わってこそのギルドだと思うけど、こういうギルドもあるんだな。解体を頼んだ俺達は依頼発注が済んだペシェさんの元へ戻り合流すると、冒険者ギルド後にした。

「それじゃあ次はこの町の要とも言える場所にご案内しますね」
「お、それは楽しみだ」

 この町の要か~大体予想できるけど俺達じゃある程度の知識しか無いし住民にしか分からない事があるからな。町の景色はどれも新鮮でどれも若々しい緑を放っているけど・・・・あれ?今って秋だよな。

「そういえば、もうすぐ冬だがどの木もまだ緑の葉を付けたままだな」
「偶に赤くなってるのはあるけど、普通秋なら枯れるはずだよな?」
「それは単純にガーディアンツリー様の結界の中にあるからですね。結界の中にある植物は環境による影響を受けづらくなっているので、年中枯れる事が無いんです」
「枯れる事が無い・・・・それは不味く無いか?」

 枯れる事が無いってのは凄く良い事だと思うけど何が不味いんだ?

「植物と言うのは生まれ花を咲かせ種を作り枯れる。そして枯れたものが大地の糧となり新たな種が芽吹くという命の循環が自然だ。その循環を崩せば大地が痩せ細り新たな植物が生まれ続けまた大地の糧を吸いやがて死の大地になってしまうだろ」
「確かに植物が枯れなければ大地に糧を渡すことが出来ませんが、この大地はガーディアンツリー様のおかげで痩せる事が無いのですよ。そして、植物の管理もしてくださってますからご心配は無用ですよ」
「・・・・?」

 懸念に説明をしてくれたがまだ納得のいっていないブレストは怪訝そうに頭を傾げている。取りあえず整理すると、植物が死なないと大地が駄目になってしまうってことを言いたいんだよな?だけど、それはガーディアンツリーのおかげで問題が無いって言うけど、あれってそんな機能も持っているのか?この町の住人達から何度も話に上がるガーディアンツリーだけど、あの植物は町の要だとは聞いているけどあれは町に結界を張っているだけの植物じゃ無いのか?

「まぁ、その詳しい話はあそこに着いてからにしましょう」

 そう言ってペシェさんはガーディアンツリーの根元を指さしたので、俺達は疑問を解決するためにも後をついて町を進んで行く。

 ブレストの懸念が確かならこの大地の様子が変になっているはずだけど、そんな様子は無いし可笑しい植物も無いし俺達が摘まんでいる果物達も可笑しな味は無い。お、この赤いプチプチのやつ甘酸っぱくて美味いな。難点としては口の周りが赤くなることだな。

 普通に考えたらこの時季に若葉色の葉を付けているのが可笑しいんだが、この町ではそれが普通の事みたいだしフォレシアの歴史は長く今までも問題が無かったのであれば俺達が気にするほどの問題は無いだろう。それより気になるのは、どうしてブレストがそんなにも気にするかだな。

「ブレスト、いつもは国とか町の問題とかに関わらないのにどうしてそんなに気に掛けるんだ?」
「別に全く気にして無い訳じゃ無いぞ。ただそれは町の住人達が解決すべき問題で外部の人間である俺が何かするのは違うと思ってるだけだ。だけど今回は多くの人間や大地への影響が大きすぎると思ったんで聞いてみただけさ。それと、師匠と旅した時の名残だな」
「旅の名残?」
「そう、師匠はこの世界を周って人の手に負えない問題や世界に影響を与えるような問題を解決していたからそう言うのが少し気になっちまうんだよ」
「へ~流石は魔女様規模が大きいな」

 どんな事にも一定の距離を置くブレストが珍しく気に掛けていたのはそういう理由だったのか。

「まぁ知った所で何かしようとは思わないけどな。俺は部をわきまえているから、自分が出来ること以上の事はしないさ」

ふ~ん、まぁ俺も国が滅びるとか大地が枯れるとかに関わるつもりは無いけど、住民達が生きる手立てぐらいは考えても良いかもな。
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