空っぽ少年と色深き者たち ～世界を彩る物語～

オーレント王国 決断の街イエリ―

湯屋3

sideラド

　脱衣室に入ろうと扉を見ると、張り紙が張ってあった。「ここから、土足厳禁靴を脱いでお入りください」へ～ここから靴は駄目なのか。グレスのも脱がさなきゃ駄目だな。

「グレス、ここから先は靴を履いて入っちゃいけないから靴脱ぐぞ」
「うん」

　グレスは素直に靴を脱ぐと、靴を手に持ち俺も靴を脱いで脱衣所の扉を開けるとそこは賑わっていた。若い年代から高齢まで、様々な人たちが着替え風呂へと入ろうと準備をしていた。

結構居るんだな～湯屋って言うと高級なイメージが有ったけど銀貨一枚なら庶民でも利用しやすいよな。

　ロッカーには大きくマークが書かれており、何処が自分のロッカーなのかが分かりやすくなっている。グレスの鍵のマークを見ると自分のロッカーと隣だったので好都合だ。グレスと一緒にロッカーまで行くと、

「グレス、服を脱いでこのロッカーに入れるんだ」
「うん」
「グレスは村出身だから、湯屋は初めてかな？俺は、高くて家で水を浴びるので十分だったから1回だけ行ったことあるんだ」

　湯屋は大きな街くらいにしか置いてないため、村や小さな町は井戸から組んできた水や魔道具によって作られた水で水浴びするぐらいしかしない。しかも、湯屋の多くは料金が高く大衆向けではないため利用することはあまりないだろう。グレスは特に何も疑問も無く服を脱いでいくが、ちょっと心配になる。

人の言う事を素直に聞くことは良い事なんだが・・・・素直過ぎで誰が言っても言うことを聞いてしまうんじゃないかと心配だ。

そんな事を考えていると、あっという間にグレスは服を脱ぎ終わって裸になっていた。

体力有るとは思っていたが、体が引き締まってるな。余分な筋肉が無いって感じだな・・・・俺も少し鍛えるか。

　身体の傷はシオンによって綺麗に治っていて、傷跡は無く子供にしては引き締まっている体と自分の太っている訳でもなく痩せている訳でもない体を見比べ鍛えようと決意すると、ラドも服を脱ぎ靴と服をロッカーに入れると

「グレスこのタオルを腰に巻いときな」
「うん」

　グレスと一緒に浴場の扉を開けるとムワッと温かなく風が当たり、温泉特有の匂いが2人に当たる。湯気で少し視界が遮られたが、すぐに中の様子が見えるようになった。手前には洗い場があり、奥に行くと大きな浴槽があり多くに人が気持ちよさそうに入っていた。中は多くの人で賑わっており、笑い声や話し声が聞こえてくる。

「取りあえず、体を洗うかグレス付いておいで」
「うん」

桶と蛇口がある洗い場に座ると、2つの席の間に石鹸が置いてあり体を洗うことが出来るようだ。

「石鹸が用意されてるなんて、贅沢だな」
「」
「あぁ意味分からないよな。石鹸って結構高価なものだから湯屋に揃えて有るなんて珍しいんだよ。石鹸が置いてあるってことは湯屋がもうかってる証拠だな。石鹸とタオルで体を有るんだぞグレス」

　グレスにお手本を見せるため、石鹸を手に取り泡立てせ火r打を洗って行くラド。グレスはその様子を見て同じように真似して体を洗っていく。ラドは洗い終わり、桶に湯を入れてを流し横を見ると泡でモコモコになったグレスが居て笑ってしまう。

「ははは、モコモコだなグレス羊みたいだぞ」
「？」
「流してやるから、こっちおいで」
「うん」

　泡まみれのグレスを流してあげると、シオンの浄化によって綺麗にして貰っていた為あまり汚れはないが艶々してるように見える。髪はラドが洗ってあげることにした。

「グレス、髪洗ってあげるから、目閉じてな」
「うん」

　グレスは素直に目を閉じラドに任せると、その様子を見てラドは笑いながらマナの事を思い出していた。

マナもこういう風に洗ってあげていたんだよな～目に水が入るのを嫌がって固くを閉じるもんだから変な顔に成ってて笑ったら怒られたんだよな。マナと違って、髪は短いし日に当たって髪は痛んでしまっているけど懐かしいなぁ

「グレス痒い所はないか？」
「うん」
「グレスの髪は綺麗な白色だよな～白って結構珍しい髪の色だと思うぜ。俺が見た限りだと、グレス以外見たこと無いな。年寄りになると髪の色が抜けるってことが有るけどあれとは違う感じの白色だよな」
「それじゃあ、流すからしっかり目閉じてろよ」
「うん」

　流してあげると、髪がぺったんこになったグレスが表れ、何時もと違った印象になったグレスを見てラドは、

「髪を伸ばしてもグレスは似合いそうだな。すぐ俺も洗うからちょっと待ってろよ」
「うん」

　ささっと髪を洗い終わると、おとなしく待っていたグレスを連れて湯に向かっていった。