3 / 4
冷やした痛みか、針の痛みか、それともそれ以外か
しおりを挟む
昼休みにぐるっと教室を見渡してみる。
この学校は基本的に身なりに関しての校則はあってないようなものだ。もちろんピアスも染髪もOK。それもあって、クラスメートの半分はピアスを開けている。さすがにあの人ほどバチバチに開けている人は少ないにしても、片耳に二つ、三つ開けている子ならちらほら見かけたりもする。今までそれを見ても何とも思わなかったのに、一度気になると妙に目に付くものだ。
手当たり次第に何で開けたのか聞いてみると「かっこいいから」「可愛いから」だとか理由はそんな感じ。皆似たようなものだった。あの人とさほど理由は変わらないのに、彼らの返しは全く刺さらない。だけど、やはりピアス一つで何かがわかる気がして、その手がかりを手にする為に、学校帰りにピアッサーを買いに行った。身をもって知ってみるのが一番早そうだ。何か変わるかもしれない。まあ多分何も変わりはしない。それでもよかった。ほんの少しだけ、隙間からでもそちら側を覗いてみたくなったのだ。
とは言え、実物を目にすると怯む。友達とワイワイ買えば問題ないのかもしれない。もしくは二個目の穴なら多分私もこんなに躊躇しないだろう。好奇心と恐怖心とが入り混じって、そのパッケージに伸ばす手がなかなかそれに届かない。本来体に穴を開けるなんてありえないのに、なぜだかピアスだと言えばおしゃれの一つになる。そうでなければただの傷だ。理由を並べていけばいく程に、どうして?が募る。
これで自分で開ける?しかも何個も?好きな人がしてるからってだけで?
わからない。
でも、わかりたい。
1人悶々と悩んでいたから、背後に人が立った事に気が付かなかった。実際、私のように買いにきても決心が揺らぐもの、ファーストピアスをどの色にしようかと純粋に悩むもの、それぞれそこそこいるだろう。病院で開けるよりは安いにしても、学生の財布残高を考えたら悩むに決まっている。そんな調子だったから、あの人が後ろにいるだなんて全く予想もしなかった。
「あれ?お前この前の。さっさと家に帰れよ。」
「あ、あの時のピアスバチバチ教員。」
「なんかさ、呼び方。何、ピアス開けんの?うちの学校問題ないもんな。青春だな。」
「好きな人の影響でそんだけ開ける人に青春とか言われたくない。ねえ、どれがいいの?」
「え?あ、マジなの?うーん。どれも一緒じゃね。じゃあ、これ。」
「本当に適当だな。まあいいや、じゃあこれにしよ。」
「ちゃんと消毒しろよ~。それとさっさと家に帰れ。じゃあな。」
面倒そうに、明らかに適当に選ばれたはずのそのファーストピアスには夏の空のような水色の石がはまっていた。意味がある訳はないけれど、あの人と出会った日に見上げた空はこんな澄んだ青色だった。
風呂上がり。保冷剤で冷やして感覚が鈍くなった耳たぶにピアスを突き刺さすのは難しい事ではなかった。バチン!と鳴ったその音が今までの世界に穴を開けた。文字通り、物理的にも精神的にも。冷えてジンジンするのか、開いた穴の純粋な痛みなのか、刺さった太いピアスの違和感なのか。それでも赤くなった耳を鏡で見ると気持ちが踊った。あんなに開ける気はない。それでもほんのほんの少しだけ、開いた穴の径くらいは近づけた気がした。さすれど、開いた穴は数ミリにも満たない。
些細な事だとわかってはいる。けれど、それでも、やはりほんの少しそっち側を覗いてみたいと思ってしまうのだ。
この学校は基本的に身なりに関しての校則はあってないようなものだ。もちろんピアスも染髪もOK。それもあって、クラスメートの半分はピアスを開けている。さすがにあの人ほどバチバチに開けている人は少ないにしても、片耳に二つ、三つ開けている子ならちらほら見かけたりもする。今までそれを見ても何とも思わなかったのに、一度気になると妙に目に付くものだ。
手当たり次第に何で開けたのか聞いてみると「かっこいいから」「可愛いから」だとか理由はそんな感じ。皆似たようなものだった。あの人とさほど理由は変わらないのに、彼らの返しは全く刺さらない。だけど、やはりピアス一つで何かがわかる気がして、その手がかりを手にする為に、学校帰りにピアッサーを買いに行った。身をもって知ってみるのが一番早そうだ。何か変わるかもしれない。まあ多分何も変わりはしない。それでもよかった。ほんの少しだけ、隙間からでもそちら側を覗いてみたくなったのだ。
とは言え、実物を目にすると怯む。友達とワイワイ買えば問題ないのかもしれない。もしくは二個目の穴なら多分私もこんなに躊躇しないだろう。好奇心と恐怖心とが入り混じって、そのパッケージに伸ばす手がなかなかそれに届かない。本来体に穴を開けるなんてありえないのに、なぜだかピアスだと言えばおしゃれの一つになる。そうでなければただの傷だ。理由を並べていけばいく程に、どうして?が募る。
これで自分で開ける?しかも何個も?好きな人がしてるからってだけで?
わからない。
でも、わかりたい。
1人悶々と悩んでいたから、背後に人が立った事に気が付かなかった。実際、私のように買いにきても決心が揺らぐもの、ファーストピアスをどの色にしようかと純粋に悩むもの、それぞれそこそこいるだろう。病院で開けるよりは安いにしても、学生の財布残高を考えたら悩むに決まっている。そんな調子だったから、あの人が後ろにいるだなんて全く予想もしなかった。
「あれ?お前この前の。さっさと家に帰れよ。」
「あ、あの時のピアスバチバチ教員。」
「なんかさ、呼び方。何、ピアス開けんの?うちの学校問題ないもんな。青春だな。」
「好きな人の影響でそんだけ開ける人に青春とか言われたくない。ねえ、どれがいいの?」
「え?あ、マジなの?うーん。どれも一緒じゃね。じゃあ、これ。」
「本当に適当だな。まあいいや、じゃあこれにしよ。」
「ちゃんと消毒しろよ~。それとさっさと家に帰れ。じゃあな。」
面倒そうに、明らかに適当に選ばれたはずのそのファーストピアスには夏の空のような水色の石がはまっていた。意味がある訳はないけれど、あの人と出会った日に見上げた空はこんな澄んだ青色だった。
風呂上がり。保冷剤で冷やして感覚が鈍くなった耳たぶにピアスを突き刺さすのは難しい事ではなかった。バチン!と鳴ったその音が今までの世界に穴を開けた。文字通り、物理的にも精神的にも。冷えてジンジンするのか、開いた穴の純粋な痛みなのか、刺さった太いピアスの違和感なのか。それでも赤くなった耳を鏡で見ると気持ちが踊った。あんなに開ける気はない。それでもほんのほんの少しだけ、開いた穴の径くらいは近づけた気がした。さすれど、開いた穴は数ミリにも満たない。
些細な事だとわかってはいる。けれど、それでも、やはりほんの少しそっち側を覗いてみたいと思ってしまうのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『【実録】浪人生の僕と26歳の担任。~腕時計を交換したあの日から、僕たちは終わるために恋をした~』
まさき
恋愛
「先生、時計、交換しませんか?」
それが、僕たちの短すぎる八ヶ月の始まりだった。
十八歳の春。第一志望に落ちた僕を待っていたのは、灰色に塗りつぶされた予備校生活だった。
絶望のどん底にいた僕の前に現れたのは、担任のユキさん。二十六歳。
小柄で丸顔、お菓子のように甘い声。
一目で、僕は恋に落ちた。
マークミスで0点を取った五月。
お揃いのピンバッジを隠し持った六月。
そして、花火の音に紛れて想いを伝えた、一生忘れられない八月の夜。
背伸びをしたい十八歳の僕と、大人として僕を導こうとした二十六歳の彼女。
すれ違う「会いたい」の言葉が、少しずつ、でも確実に二人の歯車を狂わせていく。
これは、一人の浪人生が大人になるために通らなければならなかった、残酷なまでに美しくて痛い、本当の恋の記録。
「あの日、君の時計をはめた時から、僕の時間は止まったままなんだ――」
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる