43 / 47
収束
しおりを挟む
「随分と楽しそうだね、お嬢さん方」
ザック義兄様と冒険者の何人かが、私たちを探しに来てくれた。
「あはは、ザック。私たち、もうほとんど魔力が残っていないのよ。立てないの」
「そうか。三人とも、本当にお疲れ様だったね」
ザック義兄様は軽々とカメリア姉様を抱き上げた。
「俺たちなんかでいいのかわからねえけど、森から出るのを手伝うぜ」
姉様たちを呼びに走ってくれた冒険者の彼と、その相棒らしき男性がそれぞれ私たちを抱き上げた。
「ごめんなさいね。面倒な事を」
「いやいや、こんなに綺麗な人を抱き上げる栄誉を与えられた事に感謝しているくらいだ」
少し照れたように言う彼に釣られてこちらも笑う。
無事に森の外に出ると、お父様がちょうどジルヴァラから降りた所だった。
「三人とも、大丈夫か?」
傍にあったベンチにカメリア姉様とローズ姉様が座る。私も座ろうとしたら、ジルヴァラにクウと鳴かれたので、彼女の足元に座らせてもらった。ジルヴァラは嬉しそうにゴロゴロ言っている。
「よくやったな、三人とも。流石、私の天使たちだ」
順番にハグされる。
「お父様、他の皆はどうしたの?」
「ああ、今皆で素材の剥ぎ取りをしている。今回は城からの緊急クエストとして扱う事にした。素材を集めるだけ集めて、全てをギルドから城が買い取るという形を取る。それプラス報奨金を用意して、今回、戦いに参加してくれた冒険者には、後日まとめてギルドから渡してもらうようにした」
「それは素敵ね」
「ああ、カーターの発案だよ」
「ふふ、やっぱり。流石は私の旦那様だわ」
ローズ姉様が言うと、まるでタイミングを見計らったかのように、お義兄様が走ってきた。
「ローズ!」
真っ直ぐローズ姉様めがけて走ってきたお義兄様は、その勢いのままローズ姉様を抱きしめた」
「ああ、ローズ。良かった、ケガはないようだね。信じてはいたが、気が気でなかった。やっと城から解放されたから、急いで来たんだ」
「カーター、ありがとう。私は大丈夫よ。私よりもカーターの方が、顔色が悪いわよ」
ローズ姉様が、お義兄様の乱れた髪を整えると、その手を掴んだお義兄様が、手のひらにキスをした。
「お帰り。よく頑張ったね、ローズ」
「ええ、ただいま」
再び抱き合う二人。そのままの体勢でこちらを向いたお義兄様。
「カメリアとリリーも。本当によく頑張ったね。守ってくれてありがとう」
「ふふ、いいえ。ついで感が半端ないけど」
カメリア姉様と二人で笑っていると、キャルム様がやって来た。まだ少し顔色が悪いようだが、しっかりと歩けているようだ。
「皆さん、本当にありがとうございました。この度は愚かな父のせいで、このような惨事になってしまって……申し訳ありません」
当の本人は逃げようとまでしていたというのに。すぐ近くで括りつけられているインファーナ司教を見ると、キャルム様を睨みつけている。
「お前が告げ口したのだな。この役立たずが」
「その通りですよ。私がギルドに駆け込みました。教会を出ようとした所で頭を殴られましたが……つい先ほど、司祭が私に土下座をしましたよ。あなたに、自分を追う奴がいたら襲えと言われたと。もしやらなければ、司祭を続けなくさせてやると脅されたとね」
「くそっ、どいつもこいつも……聖女もそうだ。何が全てを浄化してみせる、だ。全然出来なかったではないか」
悪態をつく司教にキャルム様が怒鳴った。
「ふざけないでください!!私は何度も言いました。彼女は魔力が弱いから聖女にはなれないと。聞く耳を持たずに過剰な夢を抱いたのはあなた自身の愚かさ故だ!」
「キャルム様」
静かに呼ぶと、ふうっと息を吐いた彼がこちらを向いて、力なく笑った。
「すみません。お恥ずかしい所を……」
「いいえ、キャルム様。そのような事は全く思っていません。それよりもあまり頭に血が上ってしまうとまた倒れてしまいます」
歩けない事がもどかしい。せめてと笑って見せる。
「そう、ですよね。こんな男のためにせっかくあなたに治して頂いた身体が貧血で倒れるなんてバカバカしいですよね。ありがとうございます、リリーさん」
ザック義兄様と冒険者の何人かが、私たちを探しに来てくれた。
「あはは、ザック。私たち、もうほとんど魔力が残っていないのよ。立てないの」
「そうか。三人とも、本当にお疲れ様だったね」
ザック義兄様は軽々とカメリア姉様を抱き上げた。
「俺たちなんかでいいのかわからねえけど、森から出るのを手伝うぜ」
姉様たちを呼びに走ってくれた冒険者の彼と、その相棒らしき男性がそれぞれ私たちを抱き上げた。
「ごめんなさいね。面倒な事を」
「いやいや、こんなに綺麗な人を抱き上げる栄誉を与えられた事に感謝しているくらいだ」
少し照れたように言う彼に釣られてこちらも笑う。
無事に森の外に出ると、お父様がちょうどジルヴァラから降りた所だった。
「三人とも、大丈夫か?」
傍にあったベンチにカメリア姉様とローズ姉様が座る。私も座ろうとしたら、ジルヴァラにクウと鳴かれたので、彼女の足元に座らせてもらった。ジルヴァラは嬉しそうにゴロゴロ言っている。
「よくやったな、三人とも。流石、私の天使たちだ」
順番にハグされる。
「お父様、他の皆はどうしたの?」
「ああ、今皆で素材の剥ぎ取りをしている。今回は城からの緊急クエストとして扱う事にした。素材を集めるだけ集めて、全てをギルドから城が買い取るという形を取る。それプラス報奨金を用意して、今回、戦いに参加してくれた冒険者には、後日まとめてギルドから渡してもらうようにした」
「それは素敵ね」
「ああ、カーターの発案だよ」
「ふふ、やっぱり。流石は私の旦那様だわ」
ローズ姉様が言うと、まるでタイミングを見計らったかのように、お義兄様が走ってきた。
「ローズ!」
真っ直ぐローズ姉様めがけて走ってきたお義兄様は、その勢いのままローズ姉様を抱きしめた」
「ああ、ローズ。良かった、ケガはないようだね。信じてはいたが、気が気でなかった。やっと城から解放されたから、急いで来たんだ」
「カーター、ありがとう。私は大丈夫よ。私よりもカーターの方が、顔色が悪いわよ」
ローズ姉様が、お義兄様の乱れた髪を整えると、その手を掴んだお義兄様が、手のひらにキスをした。
「お帰り。よく頑張ったね、ローズ」
「ええ、ただいま」
再び抱き合う二人。そのままの体勢でこちらを向いたお義兄様。
「カメリアとリリーも。本当によく頑張ったね。守ってくれてありがとう」
「ふふ、いいえ。ついで感が半端ないけど」
カメリア姉様と二人で笑っていると、キャルム様がやって来た。まだ少し顔色が悪いようだが、しっかりと歩けているようだ。
「皆さん、本当にありがとうございました。この度は愚かな父のせいで、このような惨事になってしまって……申し訳ありません」
当の本人は逃げようとまでしていたというのに。すぐ近くで括りつけられているインファーナ司教を見ると、キャルム様を睨みつけている。
「お前が告げ口したのだな。この役立たずが」
「その通りですよ。私がギルドに駆け込みました。教会を出ようとした所で頭を殴られましたが……つい先ほど、司祭が私に土下座をしましたよ。あなたに、自分を追う奴がいたら襲えと言われたと。もしやらなければ、司祭を続けなくさせてやると脅されたとね」
「くそっ、どいつもこいつも……聖女もそうだ。何が全てを浄化してみせる、だ。全然出来なかったではないか」
悪態をつく司教にキャルム様が怒鳴った。
「ふざけないでください!!私は何度も言いました。彼女は魔力が弱いから聖女にはなれないと。聞く耳を持たずに過剰な夢を抱いたのはあなた自身の愚かさ故だ!」
「キャルム様」
静かに呼ぶと、ふうっと息を吐いた彼がこちらを向いて、力なく笑った。
「すみません。お恥ずかしい所を……」
「いいえ、キャルム様。そのような事は全く思っていません。それよりもあまり頭に血が上ってしまうとまた倒れてしまいます」
歩けない事がもどかしい。せめてと笑って見せる。
「そう、ですよね。こんな男のためにせっかくあなたに治して頂いた身体が貧血で倒れるなんてバカバカしいですよね。ありがとうございます、リリーさん」
11
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?
naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ゆるふわ設定です。
連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね
猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」
広間に高らかに響く声。
私の婚約者であり、この国の王子である。
「そうですか」
「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」
「… … …」
「よって、婚約は破棄だ!」
私は、周りを見渡す。
私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。
「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」
私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。
なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる