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三姉妹の力
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森の入り口の手前辺りから、尋常ではない瘴気が溢れている。
「一体、これだけの瘴気をどうやって広めたのよ」
カメリア姉様が
魔力を放出しながら文句を言う。
「キャルム様が見たのは魔石だって」
「それにしても多いわね。そもそもここには神聖な泉が湧いていたはずでしょう」
ローズ姉様が襲い掛かってくる魔物をなぎ倒す。
「推測でしかないけれど、泉に魔石を投げ入れたんじゃないかな?」
そうでなければ、こんな短時間で瘴気がこんなに溢れるのは考えにくい。
「なんですって!?泉を穢したの?」
「おそらくだけれど」
「それが有力ね。泉に真っ直ぐに向かうわよ」
ローズ姉様の先導で、森を突き進んで行った。
「これは……」
「酷いわね」
「うん」
やはりインファーナ司教は泉に魔石を投げたのだ。水底までくっきり見える程透き通っていた泉は、見る影もなく真っ黒なヘドロのようになっていた。次から次へと瘴気が立ち上るのが肉眼で見える。
「早くしないと私の魔力が持たなくなるわ。リリー、行ける?」
闇魔法を持っているカメリア姉様は、ここまで来るのにずうっと、魔力を放出し続けて瘴気を相殺してくれていたのだ。
「昔はこの闇魔法のせいで、悪役令嬢になってしまうって恐怖していたけれど、極めると使い勝手がいいのよねえ」
「わかったからニヤニヤしないの。悪役令嬢っぽい顔になっているわよ」
向かってくる敵に光魔法で対抗しているローズ姉様。
「いやいや、ローズ姉様は今の自分の顔をわかってないからそんな事言えるのよ。魔物をそのおっそろしいレーザーみたいな魔法で一網打尽にしている姉様、魔王もびっくりよ」
「カメリアちゃん、あんまり私を動揺させない方がいいわよ。手元が狂っちゃう」
「マジで怖いから。私、胴から真っ二つとか嫌だから」
「うふふふ、胴からかはわからないわ。首からかも」
姉様たちの軽口を聞きながら、祈りのポーズを取る。ゆっくりと循環していた私の中の魔力の動きが早くなり、全ての魔力が一気に放出されるのを感じた。
キラキラとした粒子が一直線に上空へ飛ぶ。そして、そのまま上空で雲のように広がって行き、光の雨が街全体に降り注いだ。光の雨は森の中にも降り注ぐ。ヘドロのような泉に音もなく落ちていく光の雨は、じわじわと全体に浸透していった。
やがて、瘴気は霧散して泉がみるみるうちに透明感のある水へと変化した。あんなにいた魔物もいつの間にか消え、淀んだ空気は澄み渡り、木漏れ日溢れる美しい森が戻ってきたのだった。
森にいつもの雰囲気が戻るのと同時に、魔力がほぼない事に気付く。膝から力が抜けて、その場で崩れ落ちてしまった。
「はあ、終わった」
カメリア姉様も座り込む。
「魔力、もうほとんどないわ」
ローズ姉様も座ってしまう。
「私も。もう立てないかも」
「……終わったわね」
「そうね。疲れたぁ」
「私も」
何故だか段々おかしくなってくる。
「それにしてもローズ姉様の光魔法ってえぐいわよね。あんなビームみたいなのを縦横無尽にぶっ放されたら、命がいくつあっても足りないわ」
「何を言っているの。カメリアの闇だって同じようなものじゃない。瘴気が全く効かないってある意味、魔物よりも質が悪いわよ」
「ふふふ、姉様たち二人とも怖いから」
「あ、何かしらこの子。自分の魔法はキラキラしているからって。魔力オバケのくせに」
「オバケってなによ。カメリア姉様だって普通の人の倍以上持っているくせに」
「ああ、もう面倒くさい。私たちはみんな魔力オバケなのよ。美人三姉妹な上に魔力オバケ三姉妹よ。いいじゃない」
「あははは、ローズ姉様ったら自分で美人だって」
「そうよ。だって本当の事だもの」
「凄っ!言い切った」
「……ぷっ」
「もう……」
「ふふ、ふふふ」
とうとう堪えきれなくなり、三人揃って大笑いしてしまう。
「おーい。大丈夫かー?」
そんな声が聞こえてきたことも知らずに。
「一体、これだけの瘴気をどうやって広めたのよ」
カメリア姉様が
魔力を放出しながら文句を言う。
「キャルム様が見たのは魔石だって」
「それにしても多いわね。そもそもここには神聖な泉が湧いていたはずでしょう」
ローズ姉様が襲い掛かってくる魔物をなぎ倒す。
「推測でしかないけれど、泉に魔石を投げ入れたんじゃないかな?」
そうでなければ、こんな短時間で瘴気がこんなに溢れるのは考えにくい。
「なんですって!?泉を穢したの?」
「おそらくだけれど」
「それが有力ね。泉に真っ直ぐに向かうわよ」
ローズ姉様の先導で、森を突き進んで行った。
「これは……」
「酷いわね」
「うん」
やはりインファーナ司教は泉に魔石を投げたのだ。水底までくっきり見える程透き通っていた泉は、見る影もなく真っ黒なヘドロのようになっていた。次から次へと瘴気が立ち上るのが肉眼で見える。
「早くしないと私の魔力が持たなくなるわ。リリー、行ける?」
闇魔法を持っているカメリア姉様は、ここまで来るのにずうっと、魔力を放出し続けて瘴気を相殺してくれていたのだ。
「昔はこの闇魔法のせいで、悪役令嬢になってしまうって恐怖していたけれど、極めると使い勝手がいいのよねえ」
「わかったからニヤニヤしないの。悪役令嬢っぽい顔になっているわよ」
向かってくる敵に光魔法で対抗しているローズ姉様。
「いやいや、ローズ姉様は今の自分の顔をわかってないからそんな事言えるのよ。魔物をそのおっそろしいレーザーみたいな魔法で一網打尽にしている姉様、魔王もびっくりよ」
「カメリアちゃん、あんまり私を動揺させない方がいいわよ。手元が狂っちゃう」
「マジで怖いから。私、胴から真っ二つとか嫌だから」
「うふふふ、胴からかはわからないわ。首からかも」
姉様たちの軽口を聞きながら、祈りのポーズを取る。ゆっくりと循環していた私の中の魔力の動きが早くなり、全ての魔力が一気に放出されるのを感じた。
キラキラとした粒子が一直線に上空へ飛ぶ。そして、そのまま上空で雲のように広がって行き、光の雨が街全体に降り注いだ。光の雨は森の中にも降り注ぐ。ヘドロのような泉に音もなく落ちていく光の雨は、じわじわと全体に浸透していった。
やがて、瘴気は霧散して泉がみるみるうちに透明感のある水へと変化した。あんなにいた魔物もいつの間にか消え、淀んだ空気は澄み渡り、木漏れ日溢れる美しい森が戻ってきたのだった。
森にいつもの雰囲気が戻るのと同時に、魔力がほぼない事に気付く。膝から力が抜けて、その場で崩れ落ちてしまった。
「はあ、終わった」
カメリア姉様も座り込む。
「魔力、もうほとんどないわ」
ローズ姉様も座ってしまう。
「私も。もう立てないかも」
「……終わったわね」
「そうね。疲れたぁ」
「私も」
何故だか段々おかしくなってくる。
「それにしてもローズ姉様の光魔法ってえぐいわよね。あんなビームみたいなのを縦横無尽にぶっ放されたら、命がいくつあっても足りないわ」
「何を言っているの。カメリアの闇だって同じようなものじゃない。瘴気が全く効かないってある意味、魔物よりも質が悪いわよ」
「ふふふ、姉様たち二人とも怖いから」
「あ、何かしらこの子。自分の魔法はキラキラしているからって。魔力オバケのくせに」
「オバケってなによ。カメリア姉様だって普通の人の倍以上持っているくせに」
「ああ、もう面倒くさい。私たちはみんな魔力オバケなのよ。美人三姉妹な上に魔力オバケ三姉妹よ。いいじゃない」
「あははは、ローズ姉様ったら自分で美人だって」
「そうよ。だって本当の事だもの」
「凄っ!言い切った」
「……ぷっ」
「もう……」
「ふふ、ふふふ」
とうとう堪えきれなくなり、三人揃って大笑いしてしまう。
「おーい。大丈夫かー?」
そんな声が聞こえてきたことも知らずに。
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