お姉様の代わりに悪役令嬢にされそうです

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悪あがき

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 そんな中、後片付けが終わったのか、ぞくぞくと皆が戻ってきた。
オスカー殿下が騎士を数人引き連れて、こちらへやって来た。後ろには二人の騎士に腕を掴まれているシモネッタ嬢がいた。

「インファーナ司教、残念です。あなたはコツコツ努力をしてここまでの地位になった。少し前まではその地位に足る素晴らしい人だったのに……今回の瘴気の件、あなたの犯行であることはわかっています。これから王城の地下室へと連れて行きます」

「わ、私がやったという証拠を見せろ!」
はぁと溜息をつく殿下。
「アーチー」
「はいはーい」
アーチー様が真っ直ぐに私の所に来た。

「あれ、持って来られたかな?」
「ええ、どうぞ」
小さな青い石を渡す。アーチー様はそれを受け取ると、インファーナ司教の前にしゃがんだ。

「これ、なんだかわかる?」
「知らん!」
「そうだよねえ、大きさも違うだろうし、元の色が何色かなんてきっと知らなかったよね。これはね、瘴気が宿っていた魔石。今はリリー嬢の浄化ですっかり元の綺麗な石になったんだけれどね」
石を見せながらニッコリするアーチー様。

「それが何だというんだ。そんな物は知らん!」
「知らない訳ないでしょう。これは教会の地下に封印されていたものだよ。まあ、そう言うとは思ってだけどね。じゃあ、ちょっと手を見せて。両手ね」
ぐるぐる巻きにされたままのインファーナ司教の手を器用に見る。

「はい、ありました。魔石ってさ、発動させるためには微量の魔力が必要でしょ。そして魔力というのは人に寄って波が違う。この魔石にはあなたの魔力の波がしっかり残っているよ。つまり、あなたが発動させた、という事になる」

「父上……もうそれ以上、見苦しい姿をさらさないでください。大人しく、罪を認めて贖うべきです」
キャルム様が静かにインファーナ司教を見つめた。彼の言葉が届いたのか、司教はおとなしくなり騎士たちに連れて行かれた。

去って行く司教を静かに見守っていると、シモネッタ嬢が叫んだ。
「ちょっと待ってよ!」

「なんだ?」
不機嫌を隠しもしないオスカー殿下。しかし、シモネッタ嬢はひるまない。
「そこの女と話をさせて」
私をじっと見る。

「お前などに彼女と話す資格はない」
殿下が切り捨てたが、私が止めた。
「待ってください、殿下。彼女と、話をします」
驚いたのは殿下達だった。

「リリー嬢、それは賛成できん」
「リリー嬢、その子、何するかわかんないよ」
「リリーさん、私も殿下たちの意見に賛成です。彼女は、魔力は少なくても使う事は出来るのですよ」
「リリー嬢。俺はよくわからんが、危なそうだっていうのはわかるぞ」
皆が一様に反対するが、私は首を振る。

「大丈夫です。お父様がいますし、この子もいるので」
ジルヴァラの鼻先を撫でるとグルグルいう。
「私も話してみたいわ」
カメリア姉様だった。

「本気?」
ザック義兄様は心配そうだ。
「本気よ。ザック、あなたが隣で守ってくれるのでしょう」
「それは勿論」
「じゃあ、大丈夫よ。ね」
「はあ、仕方ない。わかったよ」

「シモネッタ嬢。話を聞くわ」
騎士たちに腕は掴まれたまま、私たちの近くに来た彼女はギロリと私を睨んだ。
「あなた、私から聖魔法を奪ったわね」
「はい?」
私だけじゃない。ここにいる皆が同じ反応だ。

「ごめんなさい。言っている意味がわからないわ」
「だから、私から聖魔法を奪ったわねって言ったのよ、この泥棒!」
アーチー様とキャルム様が、グイっと身を乗り出した。キャルム様は見た目に反して、意外と沸点が低いようだ。

「ええと……どうやって奪うの?」
「それは……知らないけど、なんか方法があるんでしょ、きっと」
「知らないって……随分無責任ね。知らないのに私を泥棒呼ばわり?」
「じゃあ、なんであんたが聖魔法を使えるのよ!?」

「元々持っていたからだけど?」
それ以外に理由なんてある訳ないのにね。
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