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聖女候補の後悔
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「はああ!?」
驚き過ぎてシモネッタ嬢の顔が凄い事になっている。笑ってしまいそうだからやめて頂きたい。っていうか、カメリア姉様はすでに笑っていた。
「生まれた時から私は聖魔法を持っていたの。ローズ姉様は光魔法、カメリア姉様は闇魔法。皆それぞれに特殊魔法を持っていたわ。ただ、公にはしなかっただけ。だって、聖女だのなんだのと担ぎ上げられるのは嫌だったし。でも、家族以外では、国王様と王妃様。それと義兄二人は知っているわよ」
「実は、私もうすうす感じておりました」
キャルム様がニコリとする。
「あなたから清浄な魔力を感じていたんです。以前、その事について話をしようとしましたが、リリーさんは知られたくないようだったので、黙っていることにしたのです」
キャルム様は、やっぱり天使だった。
「そんな……」
シモネッタ嬢は、ガッカリしていた。
「じゃあ、私は一体何のために聖女の名乗りを上げたのよ。どうしてゲームの通りにならなかったのよ……」
「それはね」
カメリア姉様が優しい声でシモネッタ嬢に語り掛けた。
「私たちは皆、自分自身の意志で生きているからよ」
シモネッタ嬢がキョトンとした。
「ゲームはあくまでも、データがあって、選択肢によって行動が変わる。それ以外の事なんて起こらない。でもここは皆、ちゃんと自分で生きているの。だからこそ想定外な事が起こるのは当たり前。選択肢なんてないし、好感度のパラメータなんてものも存在しない。人間なのよ。何者にも動かされてはいないのよ」
シモネッタ嬢の目が見開かれる。
「まあ、そんな偉そうに言っているけど、私は悪役令嬢が嫌で、無理矢理この舞台から逃げ出したんだけれどね」
はははと笑う姉様の腰を、ザック義兄様が優しく引き寄せた。
「……皆、生きている……そうね。どうして気付かなかったのかしら?これじゃあ……バカみたい」
シモネッタ嬢の頬に涙が流れた。
「これから気付いて、実感していけばいいんじゃない?」
「え?」
私の言葉にシモネッタ嬢が首を傾げる。
「だから、これからじっくり感じていけばいいって言ったの。まだまだ人生は長いわ」
少しだけ悪戯っぽく笑えば、シモネッタ嬢は泣きながら笑った。
スッキリした表情になったシモネッタ嬢は騎士に連れられて行った。私は見えなくなるまで見送った。彼女がこれから幸せになれるといいと思う。
見えなくなるとジルヴァラに鼻でくいっと引かれた。自分に寄り掛かるようにしたらしい。
「ありがとう、ジルヴァラ」
このまま少しでいいから眠りたい。そう思ったが、どうやらそれは許されないようだった。
「リリー嬢、どうして黙っていたんだ?君が聖魔法を使える事を」
「そうだよ。私には言ってくれても良かったんじゃない?これでも魔術師団の副団長なのになあ」
オスカー殿下とアーチー様だった。
「だって、聞かれませんでしたし」
「それはそうだろう。君は聖魔法を持っているか?なんて聞く奴いるか?」
「……いない、かな」
「聞いていたら研究させてほしかったのになあ。勿論、今からでも遅くはないよ」
「絶対に嫌です」
「えええ、優しくするよ」
「変態」
「……クる」
うん、無視しようっと。
「それにしても、とても綺麗でしたね、リリーさんの聖魔法。金色の粒子がキラキラと降り注ぐ様子なんて……まるで天上とはこんな所なのかと思ってしまいました」
「確かに凄く綺麗だった。やっぱり綺麗な人は綺麗な魔法が使えるんだと思った」
キャルム様とアーロン様は、めちゃくちゃ褒めてくれた。
「確かに美しかった。あの瞬間ばかりは、手を止めて見入ってしまった。魔物ですら上を見上げていたしな」
「確かに。魔物ですら見入ってしまうほど綺麗だったという事だな」
うう、アーロン様の頭をワシャワシャしたい。
「なあ、リリー嬢」
突然、真面目な顔になったオスカー殿下。
「はい、なんでしょう」
「どうしても聞きたいことがあるのだが?」
「?」
なんだ?
驚き過ぎてシモネッタ嬢の顔が凄い事になっている。笑ってしまいそうだからやめて頂きたい。っていうか、カメリア姉様はすでに笑っていた。
「生まれた時から私は聖魔法を持っていたの。ローズ姉様は光魔法、カメリア姉様は闇魔法。皆それぞれに特殊魔法を持っていたわ。ただ、公にはしなかっただけ。だって、聖女だのなんだのと担ぎ上げられるのは嫌だったし。でも、家族以外では、国王様と王妃様。それと義兄二人は知っているわよ」
「実は、私もうすうす感じておりました」
キャルム様がニコリとする。
「あなたから清浄な魔力を感じていたんです。以前、その事について話をしようとしましたが、リリーさんは知られたくないようだったので、黙っていることにしたのです」
キャルム様は、やっぱり天使だった。
「そんな……」
シモネッタ嬢は、ガッカリしていた。
「じゃあ、私は一体何のために聖女の名乗りを上げたのよ。どうしてゲームの通りにならなかったのよ……」
「それはね」
カメリア姉様が優しい声でシモネッタ嬢に語り掛けた。
「私たちは皆、自分自身の意志で生きているからよ」
シモネッタ嬢がキョトンとした。
「ゲームはあくまでも、データがあって、選択肢によって行動が変わる。それ以外の事なんて起こらない。でもここは皆、ちゃんと自分で生きているの。だからこそ想定外な事が起こるのは当たり前。選択肢なんてないし、好感度のパラメータなんてものも存在しない。人間なのよ。何者にも動かされてはいないのよ」
シモネッタ嬢の目が見開かれる。
「まあ、そんな偉そうに言っているけど、私は悪役令嬢が嫌で、無理矢理この舞台から逃げ出したんだけれどね」
はははと笑う姉様の腰を、ザック義兄様が優しく引き寄せた。
「……皆、生きている……そうね。どうして気付かなかったのかしら?これじゃあ……バカみたい」
シモネッタ嬢の頬に涙が流れた。
「これから気付いて、実感していけばいいんじゃない?」
「え?」
私の言葉にシモネッタ嬢が首を傾げる。
「だから、これからじっくり感じていけばいいって言ったの。まだまだ人生は長いわ」
少しだけ悪戯っぽく笑えば、シモネッタ嬢は泣きながら笑った。
スッキリした表情になったシモネッタ嬢は騎士に連れられて行った。私は見えなくなるまで見送った。彼女がこれから幸せになれるといいと思う。
見えなくなるとジルヴァラに鼻でくいっと引かれた。自分に寄り掛かるようにしたらしい。
「ありがとう、ジルヴァラ」
このまま少しでいいから眠りたい。そう思ったが、どうやらそれは許されないようだった。
「リリー嬢、どうして黙っていたんだ?君が聖魔法を使える事を」
「そうだよ。私には言ってくれても良かったんじゃない?これでも魔術師団の副団長なのになあ」
オスカー殿下とアーチー様だった。
「だって、聞かれませんでしたし」
「それはそうだろう。君は聖魔法を持っているか?なんて聞く奴いるか?」
「……いない、かな」
「聞いていたら研究させてほしかったのになあ。勿論、今からでも遅くはないよ」
「絶対に嫌です」
「えええ、優しくするよ」
「変態」
「……クる」
うん、無視しようっと。
「それにしても、とても綺麗でしたね、リリーさんの聖魔法。金色の粒子がキラキラと降り注ぐ様子なんて……まるで天上とはこんな所なのかと思ってしまいました」
「確かに凄く綺麗だった。やっぱり綺麗な人は綺麗な魔法が使えるんだと思った」
キャルム様とアーロン様は、めちゃくちゃ褒めてくれた。
「確かに美しかった。あの瞬間ばかりは、手を止めて見入ってしまった。魔物ですら上を見上げていたしな」
「確かに。魔物ですら見入ってしまうほど綺麗だったという事だな」
うう、アーロン様の頭をワシャワシャしたい。
「なあ、リリー嬢」
突然、真面目な顔になったオスカー殿下。
「はい、なんでしょう」
「どうしても聞きたいことがあるのだが?」
「?」
なんだ?
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