45 / 47
聖女候補の後悔
しおりを挟む
「はああ!?」
驚き過ぎてシモネッタ嬢の顔が凄い事になっている。笑ってしまいそうだからやめて頂きたい。っていうか、カメリア姉様はすでに笑っていた。
「生まれた時から私は聖魔法を持っていたの。ローズ姉様は光魔法、カメリア姉様は闇魔法。皆それぞれに特殊魔法を持っていたわ。ただ、公にはしなかっただけ。だって、聖女だのなんだのと担ぎ上げられるのは嫌だったし。でも、家族以外では、国王様と王妃様。それと義兄二人は知っているわよ」
「実は、私もうすうす感じておりました」
キャルム様がニコリとする。
「あなたから清浄な魔力を感じていたんです。以前、その事について話をしようとしましたが、リリーさんは知られたくないようだったので、黙っていることにしたのです」
キャルム様は、やっぱり天使だった。
「そんな……」
シモネッタ嬢は、ガッカリしていた。
「じゃあ、私は一体何のために聖女の名乗りを上げたのよ。どうしてゲームの通りにならなかったのよ……」
「それはね」
カメリア姉様が優しい声でシモネッタ嬢に語り掛けた。
「私たちは皆、自分自身の意志で生きているからよ」
シモネッタ嬢がキョトンとした。
「ゲームはあくまでも、データがあって、選択肢によって行動が変わる。それ以外の事なんて起こらない。でもここは皆、ちゃんと自分で生きているの。だからこそ想定外な事が起こるのは当たり前。選択肢なんてないし、好感度のパラメータなんてものも存在しない。人間なのよ。何者にも動かされてはいないのよ」
シモネッタ嬢の目が見開かれる。
「まあ、そんな偉そうに言っているけど、私は悪役令嬢が嫌で、無理矢理この舞台から逃げ出したんだけれどね」
はははと笑う姉様の腰を、ザック義兄様が優しく引き寄せた。
「……皆、生きている……そうね。どうして気付かなかったのかしら?これじゃあ……バカみたい」
シモネッタ嬢の頬に涙が流れた。
「これから気付いて、実感していけばいいんじゃない?」
「え?」
私の言葉にシモネッタ嬢が首を傾げる。
「だから、これからじっくり感じていけばいいって言ったの。まだまだ人生は長いわ」
少しだけ悪戯っぽく笑えば、シモネッタ嬢は泣きながら笑った。
スッキリした表情になったシモネッタ嬢は騎士に連れられて行った。私は見えなくなるまで見送った。彼女がこれから幸せになれるといいと思う。
見えなくなるとジルヴァラに鼻でくいっと引かれた。自分に寄り掛かるようにしたらしい。
「ありがとう、ジルヴァラ」
このまま少しでいいから眠りたい。そう思ったが、どうやらそれは許されないようだった。
「リリー嬢、どうして黙っていたんだ?君が聖魔法を使える事を」
「そうだよ。私には言ってくれても良かったんじゃない?これでも魔術師団の副団長なのになあ」
オスカー殿下とアーチー様だった。
「だって、聞かれませんでしたし」
「それはそうだろう。君は聖魔法を持っているか?なんて聞く奴いるか?」
「……いない、かな」
「聞いていたら研究させてほしかったのになあ。勿論、今からでも遅くはないよ」
「絶対に嫌です」
「えええ、優しくするよ」
「変態」
「……クる」
うん、無視しようっと。
「それにしても、とても綺麗でしたね、リリーさんの聖魔法。金色の粒子がキラキラと降り注ぐ様子なんて……まるで天上とはこんな所なのかと思ってしまいました」
「確かに凄く綺麗だった。やっぱり綺麗な人は綺麗な魔法が使えるんだと思った」
キャルム様とアーロン様は、めちゃくちゃ褒めてくれた。
「確かに美しかった。あの瞬間ばかりは、手を止めて見入ってしまった。魔物ですら上を見上げていたしな」
「確かに。魔物ですら見入ってしまうほど綺麗だったという事だな」
うう、アーロン様の頭をワシャワシャしたい。
「なあ、リリー嬢」
突然、真面目な顔になったオスカー殿下。
「はい、なんでしょう」
「どうしても聞きたいことがあるのだが?」
「?」
なんだ?
驚き過ぎてシモネッタ嬢の顔が凄い事になっている。笑ってしまいそうだからやめて頂きたい。っていうか、カメリア姉様はすでに笑っていた。
「生まれた時から私は聖魔法を持っていたの。ローズ姉様は光魔法、カメリア姉様は闇魔法。皆それぞれに特殊魔法を持っていたわ。ただ、公にはしなかっただけ。だって、聖女だのなんだのと担ぎ上げられるのは嫌だったし。でも、家族以外では、国王様と王妃様。それと義兄二人は知っているわよ」
「実は、私もうすうす感じておりました」
キャルム様がニコリとする。
「あなたから清浄な魔力を感じていたんです。以前、その事について話をしようとしましたが、リリーさんは知られたくないようだったので、黙っていることにしたのです」
キャルム様は、やっぱり天使だった。
「そんな……」
シモネッタ嬢は、ガッカリしていた。
「じゃあ、私は一体何のために聖女の名乗りを上げたのよ。どうしてゲームの通りにならなかったのよ……」
「それはね」
カメリア姉様が優しい声でシモネッタ嬢に語り掛けた。
「私たちは皆、自分自身の意志で生きているからよ」
シモネッタ嬢がキョトンとした。
「ゲームはあくまでも、データがあって、選択肢によって行動が変わる。それ以外の事なんて起こらない。でもここは皆、ちゃんと自分で生きているの。だからこそ想定外な事が起こるのは当たり前。選択肢なんてないし、好感度のパラメータなんてものも存在しない。人間なのよ。何者にも動かされてはいないのよ」
シモネッタ嬢の目が見開かれる。
「まあ、そんな偉そうに言っているけど、私は悪役令嬢が嫌で、無理矢理この舞台から逃げ出したんだけれどね」
はははと笑う姉様の腰を、ザック義兄様が優しく引き寄せた。
「……皆、生きている……そうね。どうして気付かなかったのかしら?これじゃあ……バカみたい」
シモネッタ嬢の頬に涙が流れた。
「これから気付いて、実感していけばいいんじゃない?」
「え?」
私の言葉にシモネッタ嬢が首を傾げる。
「だから、これからじっくり感じていけばいいって言ったの。まだまだ人生は長いわ」
少しだけ悪戯っぽく笑えば、シモネッタ嬢は泣きながら笑った。
スッキリした表情になったシモネッタ嬢は騎士に連れられて行った。私は見えなくなるまで見送った。彼女がこれから幸せになれるといいと思う。
見えなくなるとジルヴァラに鼻でくいっと引かれた。自分に寄り掛かるようにしたらしい。
「ありがとう、ジルヴァラ」
このまま少しでいいから眠りたい。そう思ったが、どうやらそれは許されないようだった。
「リリー嬢、どうして黙っていたんだ?君が聖魔法を使える事を」
「そうだよ。私には言ってくれても良かったんじゃない?これでも魔術師団の副団長なのになあ」
オスカー殿下とアーチー様だった。
「だって、聞かれませんでしたし」
「それはそうだろう。君は聖魔法を持っているか?なんて聞く奴いるか?」
「……いない、かな」
「聞いていたら研究させてほしかったのになあ。勿論、今からでも遅くはないよ」
「絶対に嫌です」
「えええ、優しくするよ」
「変態」
「……クる」
うん、無視しようっと。
「それにしても、とても綺麗でしたね、リリーさんの聖魔法。金色の粒子がキラキラと降り注ぐ様子なんて……まるで天上とはこんな所なのかと思ってしまいました」
「確かに凄く綺麗だった。やっぱり綺麗な人は綺麗な魔法が使えるんだと思った」
キャルム様とアーロン様は、めちゃくちゃ褒めてくれた。
「確かに美しかった。あの瞬間ばかりは、手を止めて見入ってしまった。魔物ですら上を見上げていたしな」
「確かに。魔物ですら見入ってしまうほど綺麗だったという事だな」
うう、アーロン様の頭をワシャワシャしたい。
「なあ、リリー嬢」
突然、真面目な顔になったオスカー殿下。
「はい、なんでしょう」
「どうしても聞きたいことがあるのだが?」
「?」
なんだ?
11
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
結婚するので姉様は出ていってもらえますか?
基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。
気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。
そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。
家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。
そして妹の婚約まで決まった。
特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。
※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。
※えろが追加される場合はr−18に変更します。
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる