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その後
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ジューリオの話はこうだった。
フィガロ王子一行を捕らえた竜騎士団は、ジョエル王太子を伴ってメアラーガ王国へ直接抗議しに行った。先触れもなくやって来た竜の軍団に、メアラーガの王族たちは勿論、王城にいた者たち皆がなすすべもなく、ただただ驚くばかりだったそうだ。
王太子が事の顛末を全てメアラーガの国王と王太子に話し、国王はその場でフィガロ王子は廃嫡、平民落ちを決めた。幸いにして森の火災は、陽動作戦として騒ぎを起こしたかっただけだったため、大きな被害にはならなかった事と、長年の友好国であった事、完全なフィガロ王子の単独犯であった事から、国としての賠償は領地の一部をもらい受けるだけに留まった。フィガロ王子一行は、処刑は免れたものの、過酷な土地での労働が強いられる事になった。
そして、交換留学をしていたジューリオは、国に戻る事になった。
「僕は呼び出しを受けて、途中からあの場に参加したんだけどさ。ジルヴァーノの恐ろしさに、全然関係ない僕が縮み上がるくらいの恐怖を感じたよ。兄上も相当怖かったけど、ジルヴァーノに比べたら……今でも思い出すだけで震えちゃうね。それにさ、帰る時の竜たちの速度と言ったら……速すぎて、景色なんて一切見る余裕がなかったんだよ」
笑いながら楽しそうに話すジューリオに、アリアンナが謝った。
「ごめんなさい、ジューリオ。私のせいで留学が強制的に終わってしまって」
ところがジューリオはケラケラと声を上げて笑った。
「ははは、全然。実を言うとさ、もう学ぶべき事は学び終えたし、そろそろ帰りたいなって思っていた所だったんだ。ちょうど良かったよ。面倒くさい令嬢たちもいたしね。僕の妃になりたいって二人の令嬢がさ。もう凄いんだよ。周りに媚を売って男たちを味方に付ける子爵令嬢と、権力を笠に着て周りを脅して回る侯爵令嬢。互いに相手を陥れようと必死になっていてさ」
ジューリオが盛大に溜息を吐く。
「普通に考えてさ。周りに男を侍らせながら、僕に熱い視線を送るような女も、僕に近寄らせないようにと周りの令嬢を脅して回る女もないよね。そんな姿を見て一体誰が、彼女たちの事を好きになるって言うんだろうね」
「それでも……ちゃんとお別れする時間もないままに帰って来てしまったのでしょう。私のせいだわ」
そう言って眉が下がったままのアリアンの眉間に、ジューリオが人差し指を押し付けた。
「そんな顔しないで。アンナが悪い訳じゃないんだから。それに、竜に乗る事も出来たし、こっちの学園に通えるし。おまけにこれからはアンナと遊べるしね」
ニカっと笑ったジューリオに、アリアンナも釣られて微笑む。
「ありがとう、ジューリオ」
その日の夜。月が大分高い位置で優しく光を放っていた。
『眠れない……』
拉致されてからほとんど眠って過ごしていたせいだろうか。いつまで経っても眠気がやって来なかったアリアンナは、仕方なくベッドに腰掛ける。
「はあぁ」
ある事を考えながら、小さく溜息を吐く。眠り過ぎて眠れない他にも、アリアンナには眠れない原因があったのだ。
『もう1週間以上会っていない……』
自分を助けに来てくれた事は知っている。ベッドまで運んでくれた事も聞いた。
「会いたい」
無意識に言葉が零れ落ちる。
『あと1日か2日すれば体調も戻るだろうし。そうしたら自分から会いに行こう』
そう思った時だった。
コツンという何かがぶつかる音が聞こえた。驚いたアリアンナの肩がビクリとする。
『何!?』
音の出所を突き止めようと、アリアンナが耳を澄ますと再びコツンという音がした。
『窓?』
窓に何かが当たっているようだった。咄嗟に窓から見える木の葉を見る。木の葉は、時折そよそよと風を受けて小さく揺れるだけだった。
『風で、という訳ではなさそうね』
そう推理していると、再びコツンと音がする。
『もしかして……』
なんとなく確信を持ったアリアンナは、ゆっくりと窓に近付いた。
フィガロ王子一行を捕らえた竜騎士団は、ジョエル王太子を伴ってメアラーガ王国へ直接抗議しに行った。先触れもなくやって来た竜の軍団に、メアラーガの王族たちは勿論、王城にいた者たち皆がなすすべもなく、ただただ驚くばかりだったそうだ。
王太子が事の顛末を全てメアラーガの国王と王太子に話し、国王はその場でフィガロ王子は廃嫡、平民落ちを決めた。幸いにして森の火災は、陽動作戦として騒ぎを起こしたかっただけだったため、大きな被害にはならなかった事と、長年の友好国であった事、完全なフィガロ王子の単独犯であった事から、国としての賠償は領地の一部をもらい受けるだけに留まった。フィガロ王子一行は、処刑は免れたものの、過酷な土地での労働が強いられる事になった。
そして、交換留学をしていたジューリオは、国に戻る事になった。
「僕は呼び出しを受けて、途中からあの場に参加したんだけどさ。ジルヴァーノの恐ろしさに、全然関係ない僕が縮み上がるくらいの恐怖を感じたよ。兄上も相当怖かったけど、ジルヴァーノに比べたら……今でも思い出すだけで震えちゃうね。それにさ、帰る時の竜たちの速度と言ったら……速すぎて、景色なんて一切見る余裕がなかったんだよ」
笑いながら楽しそうに話すジューリオに、アリアンナが謝った。
「ごめんなさい、ジューリオ。私のせいで留学が強制的に終わってしまって」
ところがジューリオはケラケラと声を上げて笑った。
「ははは、全然。実を言うとさ、もう学ぶべき事は学び終えたし、そろそろ帰りたいなって思っていた所だったんだ。ちょうど良かったよ。面倒くさい令嬢たちもいたしね。僕の妃になりたいって二人の令嬢がさ。もう凄いんだよ。周りに媚を売って男たちを味方に付ける子爵令嬢と、権力を笠に着て周りを脅して回る侯爵令嬢。互いに相手を陥れようと必死になっていてさ」
ジューリオが盛大に溜息を吐く。
「普通に考えてさ。周りに男を侍らせながら、僕に熱い視線を送るような女も、僕に近寄らせないようにと周りの令嬢を脅して回る女もないよね。そんな姿を見て一体誰が、彼女たちの事を好きになるって言うんだろうね」
「それでも……ちゃんとお別れする時間もないままに帰って来てしまったのでしょう。私のせいだわ」
そう言って眉が下がったままのアリアンの眉間に、ジューリオが人差し指を押し付けた。
「そんな顔しないで。アンナが悪い訳じゃないんだから。それに、竜に乗る事も出来たし、こっちの学園に通えるし。おまけにこれからはアンナと遊べるしね」
ニカっと笑ったジューリオに、アリアンナも釣られて微笑む。
「ありがとう、ジューリオ」
その日の夜。月が大分高い位置で優しく光を放っていた。
『眠れない……』
拉致されてからほとんど眠って過ごしていたせいだろうか。いつまで経っても眠気がやって来なかったアリアンナは、仕方なくベッドに腰掛ける。
「はあぁ」
ある事を考えながら、小さく溜息を吐く。眠り過ぎて眠れない他にも、アリアンナには眠れない原因があったのだ。
『もう1週間以上会っていない……』
自分を助けに来てくれた事は知っている。ベッドまで運んでくれた事も聞いた。
「会いたい」
無意識に言葉が零れ落ちる。
『あと1日か2日すれば体調も戻るだろうし。そうしたら自分から会いに行こう』
そう思った時だった。
コツンという何かがぶつかる音が聞こえた。驚いたアリアンナの肩がビクリとする。
『何!?』
音の出所を突き止めようと、アリアンナが耳を澄ますと再びコツンという音がした。
『窓?』
窓に何かが当たっているようだった。咄嗟に窓から見える木の葉を見る。木の葉は、時折そよそよと風を受けて小さく揺れるだけだった。
『風で、という訳ではなさそうね』
そう推理していると、再びコツンと音がする。
『もしかして……』
なんとなく確信を持ったアリアンナは、ゆっくりと窓に近付いた。
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