お化けの魔法のお菓子屋

名古屋鳳香

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シュミットさんのタルトタタン

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 ある町はずれに、お化けのお菓子屋かしやという看板かんばんがかけられたかわいいおみせがありました。

 文字通もじどおり、おけがお菓子かしつくっています。そのお化けには名前なまえがあって、彼女かのじょの名前はマリー。正真正銘しょうしんしょうめいのパティシエです。彼女は世界一せかいいちのパティシエになることがゆめだったのですが、病気びょうきになってんでしまいました。しかしお化けとなったいま、彼女の作ったお菓子は、町のひと大人気だいにんきでした。なぜなら彼女のお菓子は、たくさんの人を笑顔えがお出来でき魔法まほうのお菓子だったからです。そして今日きょうも、お化けが作ったお菓子屋にだれかがやってきました。

 カランコロンとドアがひらきました。子どもをれたお母さんがやってきました。

「いらっしゃいませ」

「マリー、こんにちは」

「こんにちは、シュミットさん」
 シュミットさんは子どもをあやしながら、「いつものはあるかしら?」とたずねました。

「はい、もちろんですよ。今日はどうしたんですか?」
 マリーがたずねると、シュミットさんはたのしそうにはなはじめた。

じつ明日あした、だんなさまかえってくるの」

「それは、本当ですか?」
 シュミットさんのだんな様は貿易商ぼうえきしょうはたらいていて、三年前から遠い国に行っていた事をマリーは知っていました。そのだんな様が、遠い国での仕事が終わって明日帰って来るようです。シュミットさんは、とてもうれしそうです。シュミットさんが「彼の好きなものは?」と聞くと、マリーは「タルトタタン」答えた。シュミットさんのだんな様は、マリーの作るタルトタタンがとても大好きでした。シュミットさんは楽しそうに正解と、答えた。

「いつ、到着とうちゃくになられるんですか?」

「そうねぇ……。明日の五時ごろには、とう着するわ」

「では、今から作りますね」
 シュミットさんから注文を受けると、マリーは急いでちゅうぼうに入ると、タルトタタンの材料を出した後に、たなからレシピ帳を取り出してタルトタタンのページを開きました。
 材料は小麦粉、バター、塩、卵黄、水、打ち粉、リンゴを作っているチャーリーさんからもらったリンゴ、砂糖、バター。

「さぁて、始めますか」
 薄力粉、塩、バターをボウルに入れてバターが細かいつぶになるまで混ぜ、更に卵黄と冷水を入れて生地を丸めて冷凍庫で一時間ねかせる。こんな時、マリーは魔法の歌を歌う。

  おいしくなあれ おいしくなあれ

  みんなが幸せになる味に

  みんなのほっぺが落ちてしまう

 生地を冷蔵庫から取り出して、打ち粉でのばしてまた三十分冷やす。リンゴを切って隙間なく鍋に入れ、砂糖を九十グラムずつ、バターを三十グラムずつ入れて十分から十五分に火をかける。

「あ、こげそうだから水を入れよう」
 こげそうな場合は、少量の水を入れる。

「あ、いいキャラメル色」
 色が変わるとリンゴの向きを変えて弱火で十五分煮る。リンゴが柔らかくなるど、丸型にリンゴと煮汁を入れて百八十度のオーブンで一時間。リンゴの周囲が透き通っていればオーブンから出してあら熱を取る。伸ばした生地に空気穴を開けてリンゴの上に隙間なくかぶせて百八十度のオーブンで四十分。
「こい茶色!」とマリーはつぶやいてオーブンから取り出した。そしてあら熱を取って、冷蔵庫で一晩。出来立てだと型からきれいに取れないからだ。

 よく朝、マリーは冷やしたタルトタタンを冷蔵庫から取り出して、型とオーブン用の紙を取り外した。するときれいなあめ色に染まったリンゴが顔を出しました。

 十時になるとシュミットさんはやってきて、タルトタタンを受け取って、うれしそうに家に帰って行きました。マリーはシュミットさんを見送ると、げん関前のそうじを始めました。
「喜んでくれると、いいな……」とつぶやきながら、マリーはシュミットさんの幸せそうな顔を思いうかべました。

 お化けのお菓子屋はクッキー、チョコレートやケーキ、キャンディーを売っているだけでなく、ご要望があればあなたの大好きなものを作らせていただきます、とお店の前に立て看板をきました。
              〈完〉
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