超能力者の狩られる世界で

葉月

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一章

幕間 始まりの時

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「例の結果は?」

「こちらです」

「……これは」

 男の傍にいた部下の女から手渡された1つの人形を男は手にする。傍から見れば何の変哲もないただの人形だ。

「初めて見るな」

「調べましたところ、このようなものは実在しておらず、市場にも出回っていません」

 女は書類を手に淡々と告げる。女は持っていた書類を男に手渡すと、男はそれを1つ1つ確認していく。

「自作の可能性は?」

「ないでしょう。成分を調べましたところ、PVCやABSといったプラスチックが使われています。一般人が作れるような代物ではないでしょう」

 女がそう告げる。それを聞いて男は喜んでいるのだ。表情に大きな変化はないが、口角が僅かに上がっている。

「やっとだな」

「何がでしょうか?」

 何も知らない女は男に問う。

「いや、お前もそのうち知ることになるだろう。下がれ」

「承知しました」

 女はそれ以上男に問い詰めることはなかった。一礼をすると、女はその言葉に従順に従い、部屋を出た。

「15年……いや、16年になるか? まあ、そんなことはどうでもいい」

 女が出て行くと、男は人形を片手で撫で回すように観察する。相変わらず口元は不敵な笑みを浮かべていた。だが、女が居なくなり1人になると、それに加えて不気味さが加わった。

「ふふふ……奴も諦めが悪かったな。まさかとは思っていたが、ここまでしていたとは」

 男は喜びと嬉しさで笑い声まで漏れている。これだけの事実では、まだ断言はできないことは分かっている。だが、それでも男は男にとっての僅かな希望を見出したのだ。まあ、そんな希望などなくても大きな問題はないのだけれど。

「忌々しき我が宿敵……諦めていたが、奴も消せる可能性が出てくるとはな……」

 不気味な笑みが誰もいない部屋中に響く。

「そうだな……奴はあっちでは神と呼ばれているものに近いか?」

 そう言うと、男は神を嘲笑うかのようにまた笑った。


——さあ、始まりの時だ。
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