白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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アフターストーリー

第1話ー③ 決着

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「……あの、一ついいですか?」

 慎太の母は俯くキリヤにそう言った。

「は、はい」

 キリヤはそう言いながら、顔を上げる。

「桑島さんって、桑島キリヤさんと言うんですよね?」
「え、ええ」
「ずっと、あなたのことを探しておりました」
「え……」

 慎太の母の言葉に目を見開くキリヤ。

「慎太が行方不明になって帰ってきたあの日から、ずっとキリヤさんの話ばかりで。本当に毎日楽しそうでした」
「慎太が?」

 慎太、僕のことをお母さんに話していたんだ。そうだったなら、やっぱりちゃんと謝らないと――

「ええ、それで慎太が――」
「あ、あの! 僕、が……僕のせいで慎太君が亡くなってしまったんです。僕は救えたはずなのに、あえてそうしなかった。だから僕が――!」

 そして慎太の母はゆっくりと顔を横に振る。

「そんなことはないですよ。それに、私達はあなたに感謝をしているんです」
「僕に、感謝を……?」

 呆然とするキリヤ。

 恨まれてもいてもおかしくないはずなのに、感謝って――

「ええ。キリヤさんの話をする慎太を見ていたら、私までつられて笑顔になっていたんですよ。
 きっと慎太は、それだけキリヤさんとの出会いに喜びを感じていたんだと思います。キリヤさんに出会うまであの子はずっと一人で、いつも退屈そうな顔をしていたのにね」

 その時のことを思い出すようにそう言う慎太の母。

「で、でも! 僕――!」
「ありがとう、キリヤさん。慎太に出会ってくれて。お友達になってくれて。きっと慎太も感謝しているんだと思います」

 そう言って慎太の母は微笑んだ。

「僕は、ずっと慎太に罪滅ぼしをしなくちゃって、償わなくちゃって思って、今日まで――それなのに、そんな言葉を頂けるなんて……」

 涙をこらえながら、キリヤは視線を下に向ける。

「辛かったですね。そんなに慎太のことを思ってくれてありがとうございました。きっとこれからも、キリヤさんの中で慎太は生き続けてくれるんだって私は思います」

 はっとした顔でキリヤは顔を上げた。

「――僕の中で、慎太が?」
「ええ。だから、あなたはあなたのしたい人生を歩んでください。慎太が生きられなかったこの世界で、あなたはしっかりと生きていってください。それが私達の願いです」

 慎太の母は今にも泣き出しそうな顔で、キリヤに自分の想いを託したのだった。

「…………わかり、ました。僕、生きます。慎太との思い出をしっかりと胸に刻んで。そして破道はどう慎太しんたという友人がいたことを、忘れません!!」
「はい、よろしくお願いします」

 そう言って微笑む慎太の母。

 それからキリヤは当時のことを思い返しながら、慎太の母に慎太との思い出を話していった。そして数時間後――

「それでは、僕たちはこれで失礼します」
「はい。またいつでも線香を上げに来てやってください。きっと慎太も喜んでいると思うので」
「わかりました!」

 キリヤはそう言って満面の笑みを慎太の母に向けた。

「それでは、お元気で」

 そしてキリヤたちは破道家を後にした。

「ねえ、優香はなんでわかったの? 慎太のお母さんが僕のことを知っているって」

 キリヤは、隣を歩く優香にそう尋ねた。

「あ、それ? あのね、お線香を上げるかどうかって話になった時、破道さんは『慎太もきっと喜ぶ』って言ったでしょ?」
「う、うん」
「それを聞いて、キリヤ君が慎太君の友人だって知っているからそう言ったのかなって思ったの。断定はできなかったけどね」

 優香のその言葉に、感心して頷くキリヤ。

「なるほど……さすがは、優等生! その一言でなんとなくでもそう思えるなんてさ!」

 そう言ってキリヤが笑うと、

「それって、あまり優等生関係なくない?」

 優香はそう言って首を傾げた。

「そう? でも、僕は気が付かなかったわけだし!」
「だってそれは、何を言われるんだろうって緊張していたからでしょ?」
「それもそうだね! あはは!」

 そう言って笑うキリヤを見た優香は、やれやれと言った顔をしていた。

 慎太は僕の中に……そうだよね。2人で過ごした時間が無くなったりはない。だからまた来よう。慎太に、大切な友人に会いに――

 キリヤはそんなことを思いながら、笑っていた。

「とまあ……慎太君のことは解決したわけだけど、この後どうするの? 確か3日間くらいの休暇申請出していたよね?」

 優香はそう言って首を傾げた。

「ああ、うん。実はもう一つ、優香に付き合ってほしいところがあって――」
「え?」

 そしてキリヤと優香は電車を乗り継ぎ、一軒の家の前にたどり着いた。

「ここって……」

 表札を見ながら、優香は呆然とする。

「うん、僕の実家だよ」

 キリヤはそう言って微笑んだのだった。
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