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#15
しおりを挟むいつもの通りの朝がきた
あれから
1ヶ月経った
君とは、あれ以来
微妙な壁を感じている
仕事中も会話中も
なんか素っ気ない感じで
なんか冷たい感じで
なんか隣に居ても
物凄く遠く感じていた
1ヶ月、寂しくて不安だ
僕は事務所で
来月のシフトを決めるために
希望の休みに印を付けていた
僕は基本的に
日曜日しか休みを取らないが
月初めに、休みの印を付けた
ここは
僕の誕生日だ
誕生日の日だけは
希望休を取っている
なにを食べるか
どこに行くのか
考えるだけで
ワクワクしていた
アパートに着き
風呂に入り
いつものイスに座る
スマートフォンを片手に
外食サイトを見ていた
ふだん節約していた分
贅沢をしたかった
予定では
本業を半休し
温泉に行き、夜ご飯を食べ
いつもと違う帰り道を
ドライブしながら帰ることにした
小学生の遠足気分だった僕
夜中の4時まで起きててしまった。
次の日
あんな時間まで起きてたせいで
遅刻はしなかったが寝坊した
本業を頑張り
またバイトに向かった
バイト先に行くと
君が事務所にある
シフト表の前に立っていた
印を付け終わると
僕と目が合った
君は下を向き
現場へと向かっていった
君の休みは不定期だった
だが珍しく休みを取る用事でも
出来たんだなくらいしか
思わなかった
君とは話すことなく
バイトを終え
車に向かう僕
明日からは休みだ
なにをしようと考えてた
すると
「すみません!」
突然だった
君が僕に話しかけてきた
呆気にとられる僕
言葉が出ない
「あそこの希望休なにをするんですか?」
あこその希望休?
僕は誕生日の休みのことだと
遅れて分かった
「誕生日なんだ。誕生日だからどっか行こうかなって」
僕は淡々と答えた
君が僕の誕生日を知っても
僕は困ることがないから
「一緒にお祝いしましょう!」
・・・え?
僕は
全身が真っ白になった
一緒に?
僕の誕生日をお祝い?
「迷惑でしょうか?」
恥ずかしそうに下を向く君
勇気を出して言ったことが
分かる
君は涙目になっていたからだ
僕は一息いれて
「ありがとう。一緒に祝おう」
笑顔になる君
僕も笑顔になった
僕と君の
初めて遊ぶ日が決まった
アパートに帰った僕
現実へと戻される
風呂に入り
いつものイスに座る
気持ちが暗く、暗く
沈んでいく
数時間前まで
天国だったが
今は、地獄だ
一生、この地獄からは
抜け出せない
僕は気持ちを保つため
誕生日の計画を練り直した
そしていつの間にか
眠りについていた
僕には秘密がある
君には言えない秘密がある。
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