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未亡人になるまで
謝罪
ダンスをしながら、あの時の謝罪をしたいと話すブライアン様に、謝罪は結構だときっぱりと断ることにした私。
「……っ。リア、謝罪をすることも許してくれないのか?」
そんな辛そうな目で見つめられても、私は何も感じなかった。
あの時の心の傷は、私の心を氷のように硬くて冷たいものに変えてしまったらしい。
「謝罪されても、心の傷は癒えませんわ。謝罪するくらい悪いと考えているならば、すぐに婚約解消して、私を自由にして下さいませ。」
周りには聞こえないであろう声の大きさで、婚約解消をお願いしてみる。
デビュタントで婚約者との初めてダンスなのに、そんな特別な時間に、婚約解消の話をする大馬鹿者は私くらいだろうなと、自分でも呆れそうになる。
でもそれくらい私は、この男が嫌いだったし、関わりたくなかったのだ。
「………それは出来ない。」
この男は、この先も私のことを苦しめるつもりでいるようだ。
いいタイミングで曲が終わる。
「バーネット様、ありがとうございました。」
「リア、もう一曲………」
え、婚約者だから二曲踊る気なのかしら?その時だった…。
「シャノン嬢!私達とも踊ってくれないか?」
横から声を掛けてくれたのは、私の敬愛する生徒会の先輩方だった。
「生徒会長…?」
「シャノン嬢、生徒会のメンバーでデビュタントは踊ろうと約束していただろう?」
さすが敬愛する先輩方だ。こんな時、公爵令息の力は有り難い。
「はい。約束しておりましたわね。
バーネット様、今日はありがとうございました。」
「リア、楽しかったよ。今日はおめでとう。
また後日連絡する。では…。」
「シャノン嬢、デビュタントおめでとう。」
「生徒会長、ありがとうございます。」
さすが公爵令息だけあって、ダンスが上手なお方だ。
「噂では聞いたことがあるが、さっきのバーネット卿は君の婚約者なのか?」
「…はい。」
「バーネット卿は令嬢方に人気で、将来を有望視される騎士なのに、君はあまり嬉しそうにしないのだな。」
「そんなことはありませんわ…。」
「何か事情があるのかもしれないが気を付けろ。君たちのことを誰が見ていて、聞き耳を立てているのか分からない。君たちは目立つから、尚更気をつけることだ。」
ダンスを踊りながら婚約解消の話をしていたから、私達の険悪な雰囲気がバレてしまったかしら?…気を付けないと。
「はい。気を付けます。先輩方に助けてもらえて嬉しかったです。」
「……困ったことがあれば、何でも話すようにな。私は口は堅い方だ。」
優しくて、面倒見が良くて、知的な雰囲気が素敵な生徒会長。この方に憧れている令嬢は沢山いる。
私もあんな婚約者がいなければ、普通に恋をしてみたかった…。
今はこの方の優しさが嬉しくもあり、残酷でもある。
「ありがとうございます。頼りにしておりますわ。」
生徒会長と踊った後、副会長や会計をしている先輩方と踊り、私のデビュタントは終了した。
「……っ。リア、謝罪をすることも許してくれないのか?」
そんな辛そうな目で見つめられても、私は何も感じなかった。
あの時の心の傷は、私の心を氷のように硬くて冷たいものに変えてしまったらしい。
「謝罪されても、心の傷は癒えませんわ。謝罪するくらい悪いと考えているならば、すぐに婚約解消して、私を自由にして下さいませ。」
周りには聞こえないであろう声の大きさで、婚約解消をお願いしてみる。
デビュタントで婚約者との初めてダンスなのに、そんな特別な時間に、婚約解消の話をする大馬鹿者は私くらいだろうなと、自分でも呆れそうになる。
でもそれくらい私は、この男が嫌いだったし、関わりたくなかったのだ。
「………それは出来ない。」
この男は、この先も私のことを苦しめるつもりでいるようだ。
いいタイミングで曲が終わる。
「バーネット様、ありがとうございました。」
「リア、もう一曲………」
え、婚約者だから二曲踊る気なのかしら?その時だった…。
「シャノン嬢!私達とも踊ってくれないか?」
横から声を掛けてくれたのは、私の敬愛する生徒会の先輩方だった。
「生徒会長…?」
「シャノン嬢、生徒会のメンバーでデビュタントは踊ろうと約束していただろう?」
さすが敬愛する先輩方だ。こんな時、公爵令息の力は有り難い。
「はい。約束しておりましたわね。
バーネット様、今日はありがとうございました。」
「リア、楽しかったよ。今日はおめでとう。
また後日連絡する。では…。」
「シャノン嬢、デビュタントおめでとう。」
「生徒会長、ありがとうございます。」
さすが公爵令息だけあって、ダンスが上手なお方だ。
「噂では聞いたことがあるが、さっきのバーネット卿は君の婚約者なのか?」
「…はい。」
「バーネット卿は令嬢方に人気で、将来を有望視される騎士なのに、君はあまり嬉しそうにしないのだな。」
「そんなことはありませんわ…。」
「何か事情があるのかもしれないが気を付けろ。君たちのことを誰が見ていて、聞き耳を立てているのか分からない。君たちは目立つから、尚更気をつけることだ。」
ダンスを踊りながら婚約解消の話をしていたから、私達の険悪な雰囲気がバレてしまったかしら?…気を付けないと。
「はい。気を付けます。先輩方に助けてもらえて嬉しかったです。」
「……困ったことがあれば、何でも話すようにな。私は口は堅い方だ。」
優しくて、面倒見が良くて、知的な雰囲気が素敵な生徒会長。この方に憧れている令嬢は沢山いる。
私もあんな婚約者がいなければ、普通に恋をしてみたかった…。
今はこの方の優しさが嬉しくもあり、残酷でもある。
「ありがとうございます。頼りにしておりますわ。」
生徒会長と踊った後、副会長や会計をしている先輩方と踊り、私のデビュタントは終了した。
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