まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

文字の大きさ
45 / 104
新しい生活

驚きの知らせ

 ワイラー侯爵令嬢から王太子殿下に近づかないでと言われてから、私は昼休みに裏庭に行くことはやめてしまった。

 2人の婚姻の話し合いをしているだなんて聞いてしまったら、私はただの邪魔者でしかない。黙って身をひこうと思ったのだ。
 殿下とは2人きりにならないように気をつけなければ…。

 昼休みは長いので、寮に戻ってお昼を食べることにした。
 自室に戻ると、専属メイドが部屋に食事を運んで来てくれるし、寮の食事は豪華で美味しいから何の不満もない。
 ただ、昼休みに自由に外に出る時間は好きだったから、それがなくなってしまったのは残念だと思う。

 しばらくは寮で食べるようにして、気持ちが落ち着いてきたら、前のように外に買いに行こうかしら。
 今は殿下の顔を見るのは辛いし、ワイラー侯爵令嬢にも会いたくない。


 王太子殿下は忙しいらしく、最近は王妃殿下の執務室にも来ていない。

 ちょうど良かったわ…。今はあの目で見つめられるのも、愛を囁かれたあの声を聞くこともとても辛い。
 今は距離を取るのが1番よ。





 仕事に没頭する日々を過ごす私。

 
 そして、昼休みに裏庭に行かなくなって10日程経った日のことだった。

 真顔の王妃殿下から衝撃的なことを告げられる。


「アメリア、落ち着いて聞いて欲しいことがあるの。
 このことを知る者は、私と陛下にルーカス、私達の側近と騎士団関係者だけ。まだ正式に発表されていないことなのよ。」

「何かありましたか?」

「生きていたのよ…。貴女の亡くなったと思われていた旦那様。前のバーネット伯爵が。」

「え…?」


 生きていた…?

 
 旦那様が?


 サーっと血の気が引いていくような気がした。


「アメリア、大丈夫?」

「は、はい…。」

「怪我をして川に転落したのよね?その時のショックなのか、バーネット元伯爵の記憶は失われているようなのだけど…。
 偶然、他国の商家の護衛として働いていて、この国の王都に仕事で滞在していたらしいの。
 その時に、元伯爵を知る騎士団の騎士達が見かけたらしくて、似ていると騒いで声を掛けたみたい。
 話しかけたことで、記憶を失っていることが分かったらしくて…、元伯爵と仲の良かった騎士団関係者や、弟である今のバーネット伯爵に身体的特徴を見てもらったらしいわ。」

「…そうですか。」

「領地にいたバーネット伯爵のご両親にも来てもらって確認してもらったらしいわ。
 記憶は失くしているけれど、本人に間違いはないだろうと判断されたみたい。元伯爵が所属していた騎士団のピンズと、結婚指輪を所持していたって話もあるわ。
 教会に死亡届が出されていたから、それが取り消されたら、正式に貴族達に発表されることになっているのよ。」


 生きていた……


 他国の商家で働いていて、記憶喪失。
 あの旦那様にそっくりな護衛騎士はやはり…






 喜ぶべきことなのに、この気持ちは何なのだろう…





あなたにおすすめの小説

【本編完結】初恋のその先で、私は母になる

妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。 王宮で12年働き、気づけば28歳。 恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。 優しく守ろうとする彼。 けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。 揺れる想いの中で、彼女が選んだのは―― 自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。 これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。 ※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。

「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」 新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。 それもそのはず。 2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。 でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。 美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。 だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。 どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。 すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?  焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!

高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。 7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。 だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。 成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。 そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る 【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】