まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

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新しい生活

私の気持ち

 亡くなったと思っていた、私が憎んでいたあの元旦那様が記憶喪失で生きていた…

 そんな話を王妃殿下から聞いた私は、思考が停止してしまっていた。


「アメリア、しっかりしなさい!」

「…は、はい。申し訳ありません。」

 王妃殿下から強く声を掛けられて、ハッとする。

「アメリアはどうしたい?死後離婚は済ませているのよね?」

「はい。姻族関係を終了する書類を教会に提出しています。」

「亡くなったと思っていた元旦那様が生きていたとなると、その書類も撤回出来るかもしれないわね。
 アメリアは元旦那様の所に戻りたいかしら?」

 鋭い目で私を見る王妃殿下。

 私の答えは決まっている。

「いえ。私は今のままずっと王妃殿下にお仕えしたいと思っていますし、元旦那様の所に戻りたいとは思っておりません。
 それに…、元旦那様が記憶喪失なら、無理に過去に囚われる必要もないかと思いますわ。」

「アメリアは元伯爵と仲の良い夫婦だと思っていたから、すぐにでも会いたがるのかと思っていたのだけど…。」

「今だから言えますが、ただの政略結婚でした。
 ……ここにいる王妃殿下と、ヘミングウェイ伯爵夫人にだけ、打ち明けたいことがあります。」

 信頼するお二人には正直に話しておきたいと思った。

「何かしら?」

「私は年の差のある元旦那様と婚約者でいた時に、元旦那様の不貞現場を目にしてしまったことがありました。
 まだ子供だった私はそれが許せなかったのです。その時に、私の元旦那様への想いはなくなりました。
 ですから、元旦那様との結婚生活よりも、今の生活の方が幸せで充実しているのです。
 元旦那様がどうお考えになるのかは分かりませんが、私は戻るつもりはありません。」

 王妃殿下とヘミングウェイ伯爵夫人は目を合わせて微笑み合っている…?

 私、思い切って打ち明けてしまったのだけれど…

「アメリアがそう言ってくれるなら、この先もずっと私の側で仕えてもらうわ。
 記憶喪失らしいから、アメリアに元伯爵が接触してくることはないと思うけど、元伯爵は周りの者達から貴女の存在を聞かされるでしょうね。
 でも、王妃である私の側近であるアメリアには、勝手に手出しは出来ないはずだからそこまで不安にならなくていいと思うわよ。」

「王妃殿下、ありがとうございます。」

 王妃殿下の侍女にしてもらえて本当に良かった。
 ここが私の唯一の居場所なの。


 フッと微笑んだ王妃殿下は今日もお美しい…

「それと別の話もしておくわね。」

「別の話ですか…?」

「ワイラー侯爵令嬢が側妃候補の中の1人だったのだけど、ワイラー侯爵家から辞退したいと申し出があったのよ。」

 そんなことはあり得ないわ…。この前のあの感じは本気だったもの。

「ワイラー侯爵令嬢は殿下を本気でお慕いしていたように見えましたが…。」

「恐らくだけど、あの小娘はただ側妃になりたかっただけよ。
 他に情を交わすくらい好きな殿方がいたらしいわよ。」

 え?

「王太子妃とか側妃だとかの肩書きだけを狙う女狐ではダメなのよ。生まれてくる子供の王位争いの原因になるし、国の混乱を招くわ。
 ワイラー侯爵も、令嬢を側妃にする為に色々と手を回してきたのに、まさか令嬢が侯爵家の護衛騎士の1人と恋仲になるとは考えていなかったようね。
 2人が隠れて致しているところを、色々な人に見られてしまったらしいわよ。
 煩いワイラー侯爵もしばらくは静かになるだろうから、良かったわ。ふふ…。」

 ワイラー侯爵令嬢がそんなことをするようにほ見えなかったけど…。

 冷ややかに笑う王妃殿下とヘミングウェイ伯爵夫人が怖いわ。

「ワイラー侯爵令嬢は、しばらくは人前には出て来れないでしょうね。」

 しばらくは会いたくないとは思っていたから良かったけど、本当に信じられない。何があったのかしら…?

 

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