まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

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新しい生活

閑話 ブライアン・バーネット

 リアとその家族、そして私の両親にローラとまぐわう姿を見られてしまった。


 やってしまった……
 

 ローラはすぐに避妊薬を飲まされ、厳しく尋問された後に邸を追い出された。

 両親はリアを裏切った私を許せないと激しく怒り、伯爵家は弟のアドルフに継がせて、リアの婚約者もアドルフに変更したいと言い出す。

 それだけは絶対に嫌だった。私はリアを失いたくなかったのだ。

 私は、怒る両親に必死に謝罪し、騎士団で結果を出し彼女に相応しい人間になることや、リアに償いをしたいということを伝えた。

 怒り狂う両親に何度も何度も……

 折れなかった私に両親は、リアが学園を卒業するまでに私が結果を出せなかったら、すぐに婚約を解消して、跡継ぎもアドルフにすると冷たく言い放つのであった。

 そんな私と両親のやり取りを、アドルフは冷淡な目でみていた。


 リアの実家のシャノン伯爵家からは、すぐに婚約解消の話がきた。そこでも私は必死に謝罪した。
 リアを溺愛していた私の両親も一緒に謝ってくれた。

 婚約解消を認めないのは卑怯なのは知っている。
 でも、リアは絶対に手放せない…
 
 この私の気持ちが愛なのか恋なのか、所有欲なのかは分からない。
 でも、誰にも渡したくなかった。アドルフにも……


 

 リアに会って謝罪がしたいと、シャノン伯爵家に何度も頼み込むが、聞き入れてくれることはなかった。
 謝罪の手紙も何度送ったか分からないが、返事が来ることはなかった。


 
 会いたいと何度願っても会うことは許されず、再会出来たのはリアのデビュタントの日。
 あの日から4年程経っていた。

 その時の私は、騎士団での実力が認められ、次期団長候補とまで言われるようになっていた。

 騎士団で忙しい日々を送る私にも、デビュタントを迎える前のリアのことは噂で聞いていた。
 学年首席で、伯爵令嬢でありながら生徒会に所属している才女。優しく美しい彼女に好意を寄せる令息が沢山いるなど。

 胸の中に、黒くドロドロしたようなモノが溜まる気がする。


 そして迎えたデビュタントの日。

 美少女だったリアは、更に美しい令嬢へと成長していた。
 王族に挨拶をしに出てきたリアを、皆んながため息をついて見ている。

 我慢の限界を迎えた私は、挨拶を終えたリアに偶然を装って声をかけていた。

「リアだよな?」

 皆が見ている前で、わざと相性で呼んだ。誰が見ても私達が特別な関係なのだと分かるように…

 リアは私に気づいて、フワッと微笑んだ。

 ドクンと心臓が高鳴る。

 数年ぶりに会った婚約者に、私が恋を自覚した瞬間だった……。


 しかし、私は気付いてしまった。


 リアは微笑んでいるように見えて、目が全く笑っていないということに。
 私を純粋に慕ってくれてイアン様と呼んでくれていたリアが、今はバーネット様と家名の呼び方に変わってしまっていたことに。


 あの時に私がリアを裏切ったからだ…
 

 何とかダンスに誘いだし、謝罪をさせて欲しいと話すが、謝罪するくらい悪いと考えているならば、すぐに婚約解消して欲しいと言われてしまった。


 私は、それは出来ないとしか言えなかった。

 
 デビュタントを終えて、本格的に社交が出来るようになったリアを積極的にパーティーに誘った。
 友人や騎士団の仲間に先輩、上司にも愛する婚約者だと紹介した。
 休みの日は2人で色々な所へ出掛けた。
 私にとっての特別はリアだけなのだと、リアだけでなく周りにも認識してもらえるように振る舞った。


 でも、リアの目は笑っていなかった。


「ブライアン。シャノン伯爵令嬢はお前の正式な婚約者でいいんだよな?」

 同じ騎士団の友人に突然、そのようなことを聞かれたことがあった。

「大切な婚約者だ。何でそんなことを聞くんだ?」

「いや…。シャノン伯爵令嬢と同じクラスに従兄弟がいて、その従兄弟から聞いたのだが…。怒るなよ。」

 嫌な予感がした。
 私が嫌いだからと、学園で秘密の恋人でもいるのか?

「怒らないから教えてくれ。」

「学園の1年生に王太子殿下がいるだろう?その殿下が、シャノン伯爵令嬢にだけはよく話しかけているみたいだ。
 学園のパーティーでもシャノン伯爵令嬢だけをダンスに誘うらしい。
 だから従兄弟は、正式に発表していないだけで、実はシャノン伯爵令嬢は殿下の婚約者なのかと思っていたらしい。
 従兄弟にはブライアンの婚約者だと言っておいたから安心しろよ。」

「確か…、生徒会の先輩と後輩の関係だと聞いているな。」

「そうか!」


 嫉妬で狂いそうになる…


 私はリアに、卒業したらすぐに結婚したいと伝えることにした。
 リアは微笑んでいたが、諦めたような目をしていた。

 そんな目で私を見ていても、はっきり拒絶されたとしても、私はリアを離すつもりはなかった。




 


 そして、リアの卒業と同時に私達は結婚した。



 

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