まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

文字の大きさ
75 / 104
新しい生活

任せろ

 私はアンブリッジ公爵様に全てを話すことにした。

 バーネット伯爵と離縁したいこと、婚約期間中の裏切りのこと、スカル男爵令嬢の私への態度や言動についてのこと、バーネット伯爵とスカル男爵令嬢の関係を知りたいなら、今夜スカル男爵令嬢の寮に来れば分かると言われて、これから行こうとしていること。


「学生時代から君とバーネット伯爵には何かあるのではと思っていたが、そういう事だったのか。
 それならば、私は君の力になろう。
 これからスカル男爵令嬢の寮に行くと言っていたが、あの女狐は危険だから私も一緒に行く。」


 意外とあっさり力を貸してくれると言ってくれたアンブリッジ公爵様。


「あの…、いいのでしょうか?こんなことに、帰国したばかりのお忙しいアンブリッジ公爵様を巻き込んでしまって。」

「大丈夫だ。私がやりたくて首を突っ込んでいるだけだ。
 君は何も知らないようだが、あのスカル男爵令嬢は婚約者のいる子息を誑かして、何度か婚約破棄の原因になっている女だ。」

「婚約破棄の原因ですか?」

「そうだ。婚約破棄になった家門は、醜聞を広げたくないからと噂になる前に火消しをしたようだから、あまり知られていない話なのだと思う。だから君が知らなかったのは仕方がない。
 子息達の中では、爵位が高い男に媚を売り、股が緩い女だと有名だ。
 最近は誰にも相手にされていないようだから、夫婦仲が上手くいっていないと聞いて、君の夫を奪おうとでもしているのではないか?年齢的にも、あの女は結婚適齢期だろうから。」


 私が知りたかったスカル男爵令嬢の情報だわ。
 学園で同じ学年だったアンブリッジ公爵様だからこそ知っている話ね。
 ピンクの瞳の可愛くて愛らしい容姿のスカル男爵令嬢が、そんな人だったなんて知らなかった。


「スカル男爵令嬢のことを知りたいと思っておりましたので、教えて下さって有難いですわ。」

「あの女狐は何を考えているか分からないから、絶対に君一人ではいかない方がいい。
 一般職の男爵令嬢が住む寮は、管理人も警備員もいないから誰でも自由に出入り出来る寮らしく、あの女は男を連れ込んでいると聞いたことがある。
 私が君と一緒に着いていくが、離れた場所に護衛がいてくれた方がいいな…。」


 一瞬考え込んだような表情をしたアンブリッジ公爵様は、すぐに従者の一人を呼びつける。


「王太子殿下がまだ執務室に残っているはずだ。
 急ぎで殿下の所に行き、バーネット伯爵夫人が困っているから、腕の立つ騎士を今すぐに貸して欲しいと伝えて来てくれ。」

「…え?そんなことを殿下に頼んで大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫だ。君の名前を出せば、殿下なら自分の護衛騎士をすぐに寄越すくらいのことをするはずだ。」


 アンブリッジ公爵様の従者はすぐに王太子殿下の所に行ってくれたようで、すぐに騎士を連れて戻って来てくれたのだが……。
 え、殿下まで来てくれたの?


「シャノン嬢、どうしました?」

「殿下、落ち着け!
 シャノン嬢じゃなくて、今はまだバーネット伯爵夫人だ。その名前で呼びたくないからと当てつけのように旧姓で呼ぶなんて、これだから初恋を拗らせた男は困る……」

「公爵!!」

「殿下、怒っている暇はないのだ。
 ちょっといいか。」


 アンブリッジ公爵様は、事情を殿下にお話されているようだ。
 話を聞いている殿下の表情がみるみる険しい表情になっていく。2人で何やら計画を立てているようだ。
 忙しい殿下まで巻き込んでしまって申し訳ない気持ちになる。


「夫人。外が暗くなってきたから、そろそろ向かうとするか。私と殿下と護衛騎士で君を守ることになったから安心しろ。
 私達に全て任せてくれ。」


 私は想像もしていなかったような人達と一緒に、スカル男爵令嬢の寮に向かうことになった。


あなたにおすすめの小説

大好きなあなたを忘れる方法

山田ランチ
恋愛
あらすじ  王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。  魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。 登場人物 ・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。 ・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。 ・イーライ 学園の園芸員。 クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。 ・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。 ・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。 ・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。 ・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。 ・マイロ 17歳、メリベルの友人。 魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。 魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。 ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

貴方の運命になれなくて

豆狸
恋愛
運命の相手を見つめ続ける王太子ヨアニスの姿に、彼の婚約者であるスクリヴァ公爵令嬢リディアは身を引くことを決めた。 ところが婚約を解消した後で、ヨアニスの運命の相手プセマが毒に倒れ── 「……君がそんなに私を愛していたとは知らなかったよ」 「え?」 「プセマは毒で死んだよ。ああ、驚いたような顔をしなくてもいい。君は知っていたんだろう? プセマに毒を飲ませたのは君なんだから!」

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

【完結】愛してました、たぶん   

たろ
恋愛
「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。 「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。