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36 今更の謝罪
その後、アストン様からはリリアンの話を聞かされる。
友人に誘われて参加した仮面舞踏会で、名も知らぬ夫人と閨を共にした現場をリリアンに見られてしまい、私にバラすと脅されてリリアンの言いなりになっていたこと。結婚するまで秘密の恋人になって欲しいと言われ、愛を囁いたり抱きしめたりすることを強要されたことなど、聞いていて不愉快でしかない話だった。
あのリリアンの行き過ぎた行動は、アストン様を裏で脅していたからだったようだ。
あの女が、私が苦しむ姿を見たくてあんなことをしていたのかと思うと、消えていたはずの怒りがまた湧き上がってきそうになるが、あの不幸な結婚式で泣きそうなリリアンの顔を見れたのだから、もう引きずるのはやめることにした。
「君を裏切って他の女性と閨を共にして申し訳なかった。
あんな軽率な行動をしてしまったことを後悔している。そしてあの女を暴走させ、君を不幸にしてしまったのは、全て私が悪い。
私は今でも君を諦められない。どうか私にチャンスをくれないか? 私の人生をかけて君に償っていきたい」
気づくとアストン様は、私の所に来て片膝をついていた。そういえば、私に婚約を申し込んでくれた時も、こうやって片膝をついてくれたことを思い出す。
あの時は本当に嬉しくて、涙を流しながら返事をした。でも今は……
「アストン様。そういうのはもう結構ですわ。
貴方の人生は、妻であるリリアンに捧げて下さい。
今更、謝罪をされても遅いのです。
どうせなら……、リリアンに脅されている時に……しっ、正直に……打ち明けてっ、欲しかった。
婚約者として……愛していたから……、私に相談をして欲しかった……っ」
泣くつもりはなかった。それなのに、涙は容赦なく流れてくる。
「ローラ、泣かないでくれ。悲しませてすまなかった。
あの女とは離縁することが決まっているんだ。私の両親やシーウェル伯爵からも同意を得ている。
そしたら、すぐに君を迎えに行きたい。私はローラを愛している」
アストン様は私の手を強く握って懇願している。
しかし今の私は、あの頃のことを思い出して悲しくなっただけであって、この男に未練があるわけではない。
手を握られることや、過剰に近づかれるのは不快でしかなかった。
アストン様は、リリアンに脅されて散々な目にあったかもしれないが、不貞をしたことは事実なのだ。そんな男に触れられたくない。
「アストン様……、手を離していただけますか?」
「す、すまない」
私が低い声で離して欲しいことを伝えると、アストン様は慌てた様子で手を離してくれた。
「貴方は、私が他の殿方と閨を共にしても許せますか?」
私の問いに、アストン様は気まずそうに言葉を詰まらせている。
この男は、裏切られた側の気持ちを分かっていなかったのだと思う。
「……私はアストン様を許せない。貴方を愛していて、誰よりも信じていたから、裏切りが本当にショックだったのです。
リリアンは相当な悪ですが、アストン様は自分で望んで他の夫人と閨を共にし、不貞行為をしたことには変わりないのです。やり直したとしても、また裏切られるかもしれないと貴方を常に疑いの目で見てしまうと思います。
もう無理ですわ。私は貴方を受け付けません」
「……っ! 無理なのか?
私は君を諦められない。本当に君を愛していて、ずっと一緒にいたいと思ってた。
許されようとは思わない。君が私に冷たい態度をとっても、口を聞いてくれなかったとしても、私は償うためにいくらでも我慢する」
「そんな夫婦になりたくないですわ。
私は、そんな辛い思いをしてまで貴方と一緒にいたいとは思いません」
そこまで話すと、アストン様はその日はそれ以上、何も言ってこなかった。
私は思っていたことを伝えられたことでスッキリしたのだが、アストン様は私に対しての執着を見せるようになっていく。
すみません。闇堕ちしそうです。
友人に誘われて参加した仮面舞踏会で、名も知らぬ夫人と閨を共にした現場をリリアンに見られてしまい、私にバラすと脅されてリリアンの言いなりになっていたこと。結婚するまで秘密の恋人になって欲しいと言われ、愛を囁いたり抱きしめたりすることを強要されたことなど、聞いていて不愉快でしかない話だった。
あのリリアンの行き過ぎた行動は、アストン様を裏で脅していたからだったようだ。
あの女が、私が苦しむ姿を見たくてあんなことをしていたのかと思うと、消えていたはずの怒りがまた湧き上がってきそうになるが、あの不幸な結婚式で泣きそうなリリアンの顔を見れたのだから、もう引きずるのはやめることにした。
「君を裏切って他の女性と閨を共にして申し訳なかった。
あんな軽率な行動をしてしまったことを後悔している。そしてあの女を暴走させ、君を不幸にしてしまったのは、全て私が悪い。
私は今でも君を諦められない。どうか私にチャンスをくれないか? 私の人生をかけて君に償っていきたい」
気づくとアストン様は、私の所に来て片膝をついていた。そういえば、私に婚約を申し込んでくれた時も、こうやって片膝をついてくれたことを思い出す。
あの時は本当に嬉しくて、涙を流しながら返事をした。でも今は……
「アストン様。そういうのはもう結構ですわ。
貴方の人生は、妻であるリリアンに捧げて下さい。
今更、謝罪をされても遅いのです。
どうせなら……、リリアンに脅されている時に……しっ、正直に……打ち明けてっ、欲しかった。
婚約者として……愛していたから……、私に相談をして欲しかった……っ」
泣くつもりはなかった。それなのに、涙は容赦なく流れてくる。
「ローラ、泣かないでくれ。悲しませてすまなかった。
あの女とは離縁することが決まっているんだ。私の両親やシーウェル伯爵からも同意を得ている。
そしたら、すぐに君を迎えに行きたい。私はローラを愛している」
アストン様は私の手を強く握って懇願している。
しかし今の私は、あの頃のことを思い出して悲しくなっただけであって、この男に未練があるわけではない。
手を握られることや、過剰に近づかれるのは不快でしかなかった。
アストン様は、リリアンに脅されて散々な目にあったかもしれないが、不貞をしたことは事実なのだ。そんな男に触れられたくない。
「アストン様……、手を離していただけますか?」
「す、すまない」
私が低い声で離して欲しいことを伝えると、アストン様は慌てた様子で手を離してくれた。
「貴方は、私が他の殿方と閨を共にしても許せますか?」
私の問いに、アストン様は気まずそうに言葉を詰まらせている。
この男は、裏切られた側の気持ちを分かっていなかったのだと思う。
「……私はアストン様を許せない。貴方を愛していて、誰よりも信じていたから、裏切りが本当にショックだったのです。
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もう無理ですわ。私は貴方を受け付けません」
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許されようとは思わない。君が私に冷たい態度をとっても、口を聞いてくれなかったとしても、私は償うためにいくらでも我慢する」
「そんな夫婦になりたくないですわ。
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そこまで話すと、アストン様はその日はそれ以上、何も言ってこなかった。
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すみません。闇堕ちしそうです。
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