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二度目の話
お茶会なんて行きたくない
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お義兄様が貴族学園に入学した。
予想通りに、学園でのクラス分けのテストで学年一位になったお義兄様は、入学式で新入生代表の挨拶をしたらしい。
私もお義兄様の晴れ姿を見に行きたかったが、入学式は両親までしか参加を許されていないので、見に行けなかった。確か、卒業式は両親以外の参加が許されていたはず…。卒業式はぜひ見に行きたいわね。
しかし、ここで一度目の人生と違うことが起こった。
学園に入学して少し経つくらいの時に、お義兄様は生徒会に入ったはずなのに、今回のお義兄様は生徒会に入らなかったのだ。
あの時、確か学年首席のお義兄様は、生徒会に三年間所属していたはず…。生徒会の仕事が忙しくて、いつも帰りは遅かったと思う。
それなのに、今のお義兄様は生徒会には入らず、放課後すぐにタウンハウスに帰ってきて、私と一緒にお茶をするのが日課になっている。
「優秀なお義兄様は、学園で生徒会に入るのかと思っておりました。」
気になった私は、さり気なくお義兄様に聞いてみることにした。
「ああ、そのことか。実は生徒会の先輩や先生方からお誘いは受けたが、断ったんだ。」
え…!お義兄様、断ったの?
アレは断れるものなの?
「お断りしたのですか?貴族学園の生徒会に入るのは、一族の誉だとお聞きしたことがありましたので、お断りしないものなのかと思っておりましたわ。」
「先輩方も先生方も、非常にしつこかったよ。
でも私なんかよりも、やる気に満ち溢れている生徒は他に沢山いたから、彼らを紹介してあげたんだ。
生徒会に所属しなくても、成績できちんと成果を出していれば何の問題もないのだから、私は気にしていない。
私はアナの自慢の義兄でいたいから、その辺はしっかりやるつもりだよ。」
先輩や先生方の勧誘に負けなかったなんて、お義兄様は凄いわね。
「生徒会なんかに入ったら、こうやってアナとお茶は出来ないし、アナと一緒に夕食を摂ることも難しくなるんだ。
断って良かったと思っているよ。」
「そ、そうでしたか…。」
うーん…。お義兄様がシスコンになってしまったから、一度目とは違った動きをしたってことなのね。
これが今後の私にとって悪いものにならなければいいけれど…。
でも、殿下とブレア公爵とお義兄様が生徒会の先輩・後輩の近い関係にならなくて済んだから良かったのかもしれないわ。一度目の時は、先輩・後輩の関係だったから会えば話をするくらいの関係だったけど、それはなくなったってことだから、ラッキーかもしれない。
それからしばらくして、王妃殿下からのお茶会の招待状が届いた。
ああ…、やはり来てしまったわね。お茶会なんて行きたくないのに。
お母様はすぐに贔屓にしている有名なデザイナーを呼び、私とお義兄様が着るお茶会用の衣装を注文してくれた。
ここまでは一度目と一緒だけど、今回、違っているのは、お義兄様が私のドレスのデザインにまで口を出してきたことだった。
「アナは、まだ可愛いらしい少女なのだから、無理に背伸びをして大人っぽいデザインにしなくていいと思うんだ。
でも、幼過ぎるデザインでも変だから、リボンやフリルは控えめについているくらいがいいかな。
筆頭侯爵家の姫なのだから、素材はいい物にこだわって、品良く仕上げて欲しい。
アナの可憐さが引き立つように、色は……。
生地のサンプルを見せてもらえますか?」
「……。」
「………。」
お義兄様がドレスのデザインを熱く語る姿に、私とお母様は絶句してしまった、
「ま…、まあ!可愛い妹君のために、ここまで熱心にドレス選びをして下さるなんて、なんて妹思いのお兄様なんでしょう。
こちらに生地のサンプルがありますので、ぜひご覧下さいませ!」
デザイナーから渡された生地のサンプル帳を、教科書を読むが如く、真剣に眺めるお義兄様。
普通なら引くレベルかもしれないが、そんな姿ですら、お義兄様は様になっていてカッコいいのよね…。
「ふふ!素敵なお兄様ですわねー。」
デザイナーさんと従業員の女性達がニコニコしている。
「私の自慢の義兄ですわ。」
義兄とデザイナーさん達にお母様まで加わり、色々と話し込んでいたと思ったら、デザインが決まっていた。
そう!一度目の時とは全く違うデザインのドレスになったのだ。
「アナ…。ルークが煩すぎて、アナはなかなか結婚出来ないかもしれないわね。」
「え…?」
「そのままの意味よ。」
「お母様。その時は、私はお義兄様の選んでくれた人と結婚しますわ!」
「…それならいいのだけど。」
その後、私の知らない所で、コールマン侯爵令息が義妹を溺愛していると噂になっていたようだ。
予想通りに、学園でのクラス分けのテストで学年一位になったお義兄様は、入学式で新入生代表の挨拶をしたらしい。
私もお義兄様の晴れ姿を見に行きたかったが、入学式は両親までしか参加を許されていないので、見に行けなかった。確か、卒業式は両親以外の参加が許されていたはず…。卒業式はぜひ見に行きたいわね。
しかし、ここで一度目の人生と違うことが起こった。
学園に入学して少し経つくらいの時に、お義兄様は生徒会に入ったはずなのに、今回のお義兄様は生徒会に入らなかったのだ。
あの時、確か学年首席のお義兄様は、生徒会に三年間所属していたはず…。生徒会の仕事が忙しくて、いつも帰りは遅かったと思う。
それなのに、今のお義兄様は生徒会には入らず、放課後すぐにタウンハウスに帰ってきて、私と一緒にお茶をするのが日課になっている。
「優秀なお義兄様は、学園で生徒会に入るのかと思っておりました。」
気になった私は、さり気なくお義兄様に聞いてみることにした。
「ああ、そのことか。実は生徒会の先輩や先生方からお誘いは受けたが、断ったんだ。」
え…!お義兄様、断ったの?
アレは断れるものなの?
「お断りしたのですか?貴族学園の生徒会に入るのは、一族の誉だとお聞きしたことがありましたので、お断りしないものなのかと思っておりましたわ。」
「先輩方も先生方も、非常にしつこかったよ。
でも私なんかよりも、やる気に満ち溢れている生徒は他に沢山いたから、彼らを紹介してあげたんだ。
生徒会に所属しなくても、成績できちんと成果を出していれば何の問題もないのだから、私は気にしていない。
私はアナの自慢の義兄でいたいから、その辺はしっかりやるつもりだよ。」
先輩や先生方の勧誘に負けなかったなんて、お義兄様は凄いわね。
「生徒会なんかに入ったら、こうやってアナとお茶は出来ないし、アナと一緒に夕食を摂ることも難しくなるんだ。
断って良かったと思っているよ。」
「そ、そうでしたか…。」
うーん…。お義兄様がシスコンになってしまったから、一度目とは違った動きをしたってことなのね。
これが今後の私にとって悪いものにならなければいいけれど…。
でも、殿下とブレア公爵とお義兄様が生徒会の先輩・後輩の近い関係にならなくて済んだから良かったのかもしれないわ。一度目の時は、先輩・後輩の関係だったから会えば話をするくらいの関係だったけど、それはなくなったってことだから、ラッキーかもしれない。
それからしばらくして、王妃殿下からのお茶会の招待状が届いた。
ああ…、やはり来てしまったわね。お茶会なんて行きたくないのに。
お母様はすぐに贔屓にしている有名なデザイナーを呼び、私とお義兄様が着るお茶会用の衣装を注文してくれた。
ここまでは一度目と一緒だけど、今回、違っているのは、お義兄様が私のドレスのデザインにまで口を出してきたことだった。
「アナは、まだ可愛いらしい少女なのだから、無理に背伸びをして大人っぽいデザインにしなくていいと思うんだ。
でも、幼過ぎるデザインでも変だから、リボンやフリルは控えめについているくらいがいいかな。
筆頭侯爵家の姫なのだから、素材はいい物にこだわって、品良く仕上げて欲しい。
アナの可憐さが引き立つように、色は……。
生地のサンプルを見せてもらえますか?」
「……。」
「………。」
お義兄様がドレスのデザインを熱く語る姿に、私とお母様は絶句してしまった、
「ま…、まあ!可愛い妹君のために、ここまで熱心にドレス選びをして下さるなんて、なんて妹思いのお兄様なんでしょう。
こちらに生地のサンプルがありますので、ぜひご覧下さいませ!」
デザイナーから渡された生地のサンプル帳を、教科書を読むが如く、真剣に眺めるお義兄様。
普通なら引くレベルかもしれないが、そんな姿ですら、お義兄様は様になっていてカッコいいのよね…。
「ふふ!素敵なお兄様ですわねー。」
デザイナーさんと従業員の女性達がニコニコしている。
「私の自慢の義兄ですわ。」
義兄とデザイナーさん達にお母様まで加わり、色々と話し込んでいたと思ったら、デザインが決まっていた。
そう!一度目の時とは全く違うデザインのドレスになったのだ。
「アナ…。ルークが煩すぎて、アナはなかなか結婚出来ないかもしれないわね。」
「え…?」
「そのままの意味よ。」
「お母様。その時は、私はお義兄様の選んでくれた人と結婚しますわ!」
「…それならいいのだけど。」
その後、私の知らない所で、コールマン侯爵令息が義妹を溺愛していると噂になっていたようだ。
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