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アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します
目覚めと私の家族
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うーん、体がダルい。私、生きてますかー?
カーテンの隙間から入る陽の光が眩しい。病の峠を越えたらしい私は、目覚めたようだ。
体は汗だく、髪はボサボサ、喉はカラカラ。うん、侍女を呼ぼう。枕元に置いてあるベルを鳴らす。
ベルを鳴らすとすぐに私付きの侍女のカーラが駆けつける。
「お嬢様、目覚められたのですね。ううっ、良かったです。すぐに旦那様と奥様をお呼びします。」
カーラは涙をこらえながら、お父様とお母様を呼びに部屋を離れる。あぁ、カーラに心配掛けちゃって悪かったなぁとしみじみと感じていると、バタバタと騒がしい音がして、バーンと扉が勢いよく開かれる。するとそこには…はい。私のお父様である侯爵が、泣きそうな表情をしながら、私を力強く抱きしめてきます。
「アン、良かった。」
父とはいえ、前世のアラサーの記憶が戻った私としては、この目の前の美丈夫のハグは色々な意味できついものがあります。
青い瞳に、綺麗な銀髪、程よく引き締まった体に、整った顔立ち。まぁ、カッコいい父です。アラフォーに見えないよねぇ。オヤジ臭もないし。
そんな事を考えていると、また廊下からバタバタと足音が。
「アン!目覚めたのね。良かった。」
勢い良く駆けつけ、父から私を横取りするようにして抱き締める、私のお母様。涙を流す姿も綺麗な母です。ああ、お母様からいい香りが。そして、汗臭い私でごめんなさい。
お母様はこの国の元第二王女で父との結婚で今は侯爵夫人をしているお方です。艶やかなプラチナブロンドの髪に吸い込まれそうな水色の大きな瞳。お母様の実家の王家の色ですね。シミのない白いお肌にプルンとした唇。アラフォーとは思えないこの美貌は、正直羨ましいです。うちのボス(母)は美魔女ですよー。
私、アンことアンネマリー16歳は髪も瞳も顔立ちも母に似ていると言われていましたが、うーん。私はこんなに綺麗じゃないぞ。
ん!よく見ると、綺麗なお母様の目元にクマが!そんなお母様は、私のベタベタでボサボサの髪を撫でながら、
「アン、あなたは一週間も高熱で意識がなかったのよ。お医者様は、このまま意識が戻らないと、危険だって話されるし。お父様もお母様も気がおかしくなりそうだったわ。お父様なんて、職場放棄して王宮をずっとお休みして、みんなを困らせたのよ。」
お父様の部下の皆さん、ごめんなさい。これは体が回復したら、差し入れを持ってお詫びに行かなければ。
お父様はバツが悪そうに、窓の外を眺めている。王宮では財務大臣をしている切れ者と言われる父の背中が、どことなく小さく見えるのは気のせいですよね。
お母様の美貌に見惚れつつ、カーラに水を貰い、喉を潤す。ふーっ、柑橘系の香りがして美味しい。もう一杯!と言おうとしたところで、また廊下が騒がしい事に気付く。今度は誰でしょう?
「姉上っ!!ごめんなさい。」
10歳になる私の溺愛する弟が登場です。
お父様譲りのサラサラの銀髪に青い瞳、かっこいいというよりは、かわいい天使のような弟です。
我が天使である弟、フィルことフィリップは、くりくりの青い瞳をウルウルさせ
「姉上が、無理をして僕の看病をしてくれたから、姉上にも病気がうつってしまったんだよね。ごめんなさい。」
ああ、神様!弟は安定の可愛さです。
「いいのよ。私はかわいいフィルが苦しそうに寝込んでいるのを見て、どうしても側についていたかっただけなの。わたしこそ、みんなに心配かけてごめんなさい。」
フィルは私の微笑みを見て安心したような表情をする。
この高熱を伴う流行病は元々はフィルが発病し、3日位くらい寝込んでしまった。子供から10代の若者が罹りやすく、私もうつらないように接触しないよう言われていたが、熱にうなされ、私を呼ぶフィルの姿をドアの隙間から見てしまった私は、もう我慢が出来なかった。この天使の看病は私がしなければと。
今まで健康第一で体力にも自信のあった私は、周りが止めるのも聞かず、フィルの部屋に入り浸って看病をしたものの、フィルが回復してきたある日のこと、今度は私が倒れてしまった。フィルよりも症状が重く、結果的には、私が一番家族に心配と迷惑を掛けてしまったらしい。
「フィルったら、アンが早く治るようにって毎日、教会にお祈りに行っていたのよ。アルまで一緒にね。」
お母様がうふふっと笑う。
神社に願掛けならぬ、教会にお祈りですか。こんなにかわいい弟に大切に思われ、姉は幸せです。
「フィル、ありがとう。あなたのおかげで元気になれたのね。大好きよ。」
これが世間で言うブラコンなのでしょうね。
しかし、アルまで一緒に教会に行くとは…。アル、あなたは私の護衛騎士兼、従者なのに、フィルと教会に行くとは。しかも、お母様もそれを許したのですか!
廊下に控えているアルを部屋に呼んでもらう。
「失礼します。」
ブラウンの短髪と綺麗な緑色の瞳を持つ、優男風イケメンの護衛騎士のアルこと、アルフォンス。
「アル、心配掛けちゃってごめんね。いつもありがとう。」
護衛騎士という職業柄、ムダに笑顔を見せないアルが、目を細めて微笑む。
「お嬢様、元気になられて良かったです。しかし、あまり無理はしないでくださいね。」
ハイ、分かっておりますとも。お父様やお母様がいるから、猫を被ってますよ。この男は。
二人きりになったらまた小言を貰いそうだわ。
カーテンの隙間から入る陽の光が眩しい。病の峠を越えたらしい私は、目覚めたようだ。
体は汗だく、髪はボサボサ、喉はカラカラ。うん、侍女を呼ぼう。枕元に置いてあるベルを鳴らす。
ベルを鳴らすとすぐに私付きの侍女のカーラが駆けつける。
「お嬢様、目覚められたのですね。ううっ、良かったです。すぐに旦那様と奥様をお呼びします。」
カーラは涙をこらえながら、お父様とお母様を呼びに部屋を離れる。あぁ、カーラに心配掛けちゃって悪かったなぁとしみじみと感じていると、バタバタと騒がしい音がして、バーンと扉が勢いよく開かれる。するとそこには…はい。私のお父様である侯爵が、泣きそうな表情をしながら、私を力強く抱きしめてきます。
「アン、良かった。」
父とはいえ、前世のアラサーの記憶が戻った私としては、この目の前の美丈夫のハグは色々な意味できついものがあります。
青い瞳に、綺麗な銀髪、程よく引き締まった体に、整った顔立ち。まぁ、カッコいい父です。アラフォーに見えないよねぇ。オヤジ臭もないし。
そんな事を考えていると、また廊下からバタバタと足音が。
「アン!目覚めたのね。良かった。」
勢い良く駆けつけ、父から私を横取りするようにして抱き締める、私のお母様。涙を流す姿も綺麗な母です。ああ、お母様からいい香りが。そして、汗臭い私でごめんなさい。
お母様はこの国の元第二王女で父との結婚で今は侯爵夫人をしているお方です。艶やかなプラチナブロンドの髪に吸い込まれそうな水色の大きな瞳。お母様の実家の王家の色ですね。シミのない白いお肌にプルンとした唇。アラフォーとは思えないこの美貌は、正直羨ましいです。うちのボス(母)は美魔女ですよー。
私、アンことアンネマリー16歳は髪も瞳も顔立ちも母に似ていると言われていましたが、うーん。私はこんなに綺麗じゃないぞ。
ん!よく見ると、綺麗なお母様の目元にクマが!そんなお母様は、私のベタベタでボサボサの髪を撫でながら、
「アン、あなたは一週間も高熱で意識がなかったのよ。お医者様は、このまま意識が戻らないと、危険だって話されるし。お父様もお母様も気がおかしくなりそうだったわ。お父様なんて、職場放棄して王宮をずっとお休みして、みんなを困らせたのよ。」
お父様の部下の皆さん、ごめんなさい。これは体が回復したら、差し入れを持ってお詫びに行かなければ。
お父様はバツが悪そうに、窓の外を眺めている。王宮では財務大臣をしている切れ者と言われる父の背中が、どことなく小さく見えるのは気のせいですよね。
お母様の美貌に見惚れつつ、カーラに水を貰い、喉を潤す。ふーっ、柑橘系の香りがして美味しい。もう一杯!と言おうとしたところで、また廊下が騒がしい事に気付く。今度は誰でしょう?
「姉上っ!!ごめんなさい。」
10歳になる私の溺愛する弟が登場です。
お父様譲りのサラサラの銀髪に青い瞳、かっこいいというよりは、かわいい天使のような弟です。
我が天使である弟、フィルことフィリップは、くりくりの青い瞳をウルウルさせ
「姉上が、無理をして僕の看病をしてくれたから、姉上にも病気がうつってしまったんだよね。ごめんなさい。」
ああ、神様!弟は安定の可愛さです。
「いいのよ。私はかわいいフィルが苦しそうに寝込んでいるのを見て、どうしても側についていたかっただけなの。わたしこそ、みんなに心配かけてごめんなさい。」
フィルは私の微笑みを見て安心したような表情をする。
この高熱を伴う流行病は元々はフィルが発病し、3日位くらい寝込んでしまった。子供から10代の若者が罹りやすく、私もうつらないように接触しないよう言われていたが、熱にうなされ、私を呼ぶフィルの姿をドアの隙間から見てしまった私は、もう我慢が出来なかった。この天使の看病は私がしなければと。
今まで健康第一で体力にも自信のあった私は、周りが止めるのも聞かず、フィルの部屋に入り浸って看病をしたものの、フィルが回復してきたある日のこと、今度は私が倒れてしまった。フィルよりも症状が重く、結果的には、私が一番家族に心配と迷惑を掛けてしまったらしい。
「フィルったら、アンが早く治るようにって毎日、教会にお祈りに行っていたのよ。アルまで一緒にね。」
お母様がうふふっと笑う。
神社に願掛けならぬ、教会にお祈りですか。こんなにかわいい弟に大切に思われ、姉は幸せです。
「フィル、ありがとう。あなたのおかげで元気になれたのね。大好きよ。」
これが世間で言うブラコンなのでしょうね。
しかし、アルまで一緒に教会に行くとは…。アル、あなたは私の護衛騎士兼、従者なのに、フィルと教会に行くとは。しかも、お母様もそれを許したのですか!
廊下に控えているアルを部屋に呼んでもらう。
「失礼します。」
ブラウンの短髪と綺麗な緑色の瞳を持つ、優男風イケメンの護衛騎士のアルこと、アルフォンス。
「アル、心配掛けちゃってごめんね。いつもありがとう。」
護衛騎士という職業柄、ムダに笑顔を見せないアルが、目を細めて微笑む。
「お嬢様、元気になられて良かったです。しかし、あまり無理はしないでくださいね。」
ハイ、分かっておりますとも。お父様やお母様がいるから、猫を被ってますよ。この男は。
二人きりになったらまた小言を貰いそうだわ。
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