元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
10 / 161
アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します

小さな変化と動き

しおりを挟む
 ヒロイン気取りこと、エイミー・ケール男爵令嬢が自宅謹慎し学園を休み始めてから、婚約者の取り巻き令嬢のお姉様方が私に絡んで来ることが無くなった気がする。

 今までは、何も言わない私を下に見てバカにしてたけど、この前のヒロイン気取りとのやり取りを見て、絡むと面倒なヤツと認定されたのだと思う。しかも、ヒロイン気取りは今回のことで、王家・公爵家・侯爵家を怒らせた伝説の男爵令嬢として、学園で有名になっている。私達は何も言ってないのに、一体誰がそんな噂を広めたのやら。

 マディソン侯爵子息とも、あの事件の後から、顔を合わせると話をする仲になった。

 お礼を改めて伝えると、楽しめたから気にしなくていいとのこと。本当に黒いですよね。

 噂を広めたのはもしかして…と聞くと、面白かったから、友人に話しただけなんだが…だって。ワザとですよね、それ。
 マディソン侯爵子息って長いから、シリルでいいよと言われたので、私の事もアンネマリーでと言っておいた。

 少し離れたところで、ニヤニヤするレベッカ達が見えたが、スルーしておくことにした。



 そんな感じで、それなりに楽しい学園生活を送っていた私は、すっかり婚約者の存在を忘れてしまっていたように思う。

 今までは、学園で会わないように、場所や歩く通路まで気を付けて生活していたのに、その事を忘れ、気が緩んでしまっていたことを後悔することになる。

 放課後に図書室に本を返そうと、1人で廊下を歩いている時のこと。少し前を歩く2人の男子生徒。見慣れた後ろ姿に嫌な予感がした時は、すでに遅かった。聞きたくもない会話が聞こえてきたからだ。

「最近、スペンサー嬢、お前の所に全く来なくなったよな。大丈夫なのか?」

 彼の幼馴染の王都騎士団長の子息が彼に尋ねる。

「子供の頃からの政略結婚の婚約者に、今更、何も思わないし、気にならないさ。」

「それでいいのか?」

 王都騎士団長子息がそう口にしたところで、少し後ろを歩く私に気付き、「あっ」と声を上げ、それを見た彼も私に気づき、驚愕の表情で目を見開いて止まる。

 淑女教育について、厳しく指導してくれたお母様や先生方に感謝したいと思った。こんな時に弱い表情を見せずに済んだのだから。

「お互い、同じ気持ちだったようですね。親が決めただけのただの政略結婚。いつ無くなっても困りませんわね。…ご機嫌よう。」


 自分でもびっくりするくらい冷たい声であったと思う。
 私はそのまま、後ろに振り返り、小走りでその場を去って行った。小走りなんて、お母様に見られたら、睨まれそうだけど、とにかくその場を早く離れたかったのだ。

 そのまま小走りしたところで、廊下の角で誰かにぶつかってしまう。痛みより先に、やっちまったと羞恥心がくる。

「申し訳ありません。」

 慌ててぶつかってしまった相手に謝ると、そこには見知った顔が。

「アンネマリー嬢?」

 いつも、隙のない笑顔ばかりであったシリル様が、珍しく驚いた顔をしている。

 すると、後ろからバタバタと誰かが走ってくるような音が。慌てる私を見たシリル様が、「こっち来て」と手を引いて、近くの空き教室の中へ誘導してくれる。
 入り口のドアから死角となる壁の陰で息を潜め、足音が遠ざかったところで、

「何かあった?」

「久しぶりに婚約者の方と話して、ちょっと不愉快な気持ちになっただけですわ。」

 シリル様は、はぁーっと溜め息をつく。

「ちょっと不愉快になったって言うレベルの顔に見えないが。涙…溢れてる。」

 そう言われて、初めて自分が泣いていることに気付く。

「も、申し訳ありません。人前でみっともない顔を見せてしまって。」

「そんなの気にしない。…で?」

「で?」って言った?話せっていう圧力ですよね?







 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

処理中です...