67 / 161
マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 男爵令嬢 4
しおりを挟む
私が破いたノートを見て、悲しそうにするフォーレス侯爵令嬢。それを彼女の友人達が励まそうとしている。沢山の友人に囲まれているのだから、これくらい大した事ないじゃない。大袈裟なのよ!
しかしその後、彼女の義兄のフォーレス侯爵令息が放った言葉に、私は狂いそうになる。
「マリーは私が守るから大丈夫だ。そんな悲しそうな顔はしないでくれ。」
優しい言葉を掛けて、彼女を大切そうに抱き寄せるフォーレス侯爵令息。
どうして?彼女は義理とはいえ、ただの兄妹よ。パーティーでは、次期宰相と楽しそうにダンスしてたし、貴方のことなんてそこまで意識してないじゃない。美しいからって騙されないで。彼女が来る前の貴方に戻って!少しは私のことも見て!
彼女を愛しそうに見つめるフォーレス侯爵令息を見るたびに、私はどんどん理性を失い、狂っていくのであった。
そして彼女の机に、私の彼女への正直な気持ちを書きこんだ。
〝学園辞めろ、死ね、いなくなれ〟
もう狂った自分を止めることが出来ず、違う日にはまた教科書を破いていた。
そんなある時、机にメモが入っているのを見つける。メモには〝犯人〟とだけ書いてあったのだ。こんな物、誰が入れたのかしら。もしかしてバレた?慌てるな、落ち着け私。何となく周りを観るが、クラスメイト達は特に普通に見える。大丈夫よ。犯人はあの伯爵令嬢だとみんな思っているのだから。
その時にやめておけばよかったのに、後日、情緒不安定だった私は、またフォーレス侯爵令嬢の机に嫌がらせの落書きをしてしまう。ペンで〝目障り、悪女、死ね〟と書いているその時だった……。
背後から体をグッと拘束される。えっ?何が起こっているの?
「動くな!!」
よく分からないまま、後ろ手に縛られて、学園の警備騎士に連行される。そのまま、簡素な馬車に乗せられる。えっ、どこに連れて行かれるの?怖い!
馬車からは王宮が見えてくる。どうして王宮なの?王宮の人気のない裏口のような所で、降ろされ、暗い地下牢へ連れて行かれる。怖すぎて、言葉が出てこない。
拘束は解かれ、地下牢の中に入れられる。何が起こっているのか分からないでいると、誰かが来る足音が…。あっ!担任のルーベンス先生だわ。
「先生、どうして私はここにいるのでしょうか?助けてください。」
ルーベンス先生は、冷やかな笑顔だ。
「どうして?こっちが、聞きたいですよ。なぜ、あの様な嫌がらせをしたのですか?現行犯で捕まったのですよね?」
「違います!私は脅されて、嫌がらせをするように命令されたのです。」
「それは、本当ですか?嘘はバレますし、許されませんよ。」
「本当です。先生、信じて下さい!」
私は助かりたくて必死だった。
「……と話しておりますが、どういたしましょうか?」
ルーベンス先生が通路の入口の方を見て、誰かに話掛けている。ここからは見えない位置に誰かがいたようだ。すると、数人がスッと現れる。現れたのは、私がずっとお慕いしていた、フォーレス侯爵令息と、王太子殿下夫妻、次期宰相様、そして生徒会長の5人であった。
どうしてこの方たちいるの?
「へぇー、君が私のかわいい従姉妹のマリーベルに危害を加えようとした男爵令嬢?真面目そうに見えるのに、人は見かけによらないね。」
「あら、殿下。男爵令嬢はタチが悪い令嬢が多いではありませんか。ほら、私達が学園に在籍していた時も、身の程を弁えない男爵令嬢がアンに嫌がらせをしてましたでしょ。あの時はマディソン殿が、上手くあの令嬢を消してくれましたけど…。」
何を言っているのだろう…。タチが悪いって何?かわいい従姉妹って?
その時に、生徒会長が口を開いた。
「マリーベル嬢と同じクラスの君が、彼女に嫌がらせをしていたことは、もう調べがついているんだ。ルーベンス先生とアルベルトが、君に影をつけて監視していたからな。初等部まで真面目で成績優秀だったと聞いていたし、とても残念だ。」
…全部見られていたの?まさか!
「私は、ミラー伯爵令嬢に脅されてやっただけなのです。どうか信じてください。」
ルーベンス先生が低い声で言う。
「始めは、ミラー伯爵令嬢を疑って、彼女のことも影をつけて調べたのですが、何もありませんでした。ミラー伯爵令嬢とあなたとの間にも接点は見つかりませんでしたよ。それでも、あなたを信じろと?」
そこで初めてフォーレス侯爵令息が口を開く。
「ははっ。ルーベンス先生、やはり彼女は自分の非を認めたくないらしい。王太子殿下に頼んで、自白剤を用意してもらえて良かったですよ。私達だけの力では、拘束出来ても、自白剤を使ってまで調べるなんて、許されませんでしたから。」
彼の私を見る目は、害虫を見るような目だ。そんな冷たい目で見ないで!
自白剤って、犯罪者に使用される薬品じゃない?そんなのイヤ!
「アルベルトから、マリーベルのことで急ぎの相談があると珍しく接触してきたから、何かあったのだろうと思ったけど…。確かにこういうタイプの令嬢は放っておくと危険だからね。…自白剤持ってきて!」
王太子殿下が声を掛けると、騎士が3名やってきて、体を取り押さえられ強引に自白剤を飲まされてしまった。
自白剤を飲まされて私は、話したくないことまでペラペラと喋っていた。
将来は文官になりたかったので、今まで必死に勉強して、トップ争いをしていたのに、聖女子学園から優秀な令嬢が、沢山編入してきて焦っていたこと。
フォーレス侯爵令息をお慕いしていたのに、義妹のフォーレス侯爵令嬢が編入して来て、彼が義妹を愛しそうに大切にする姿が許せなかったこと。
フォーレス侯爵令嬢は、美しいだけでなく、勉強もダンスも全てが完璧で、自分が惨めになっていたこと。そして、沢山の友人に囲まれていて羨ましかったこと。
フォーレス侯爵令嬢が大嫌いだから、学園に来てほしくない、目障りだし、死ねばいいのにと思ったこと。彼女がいなくなれば、フォーレス侯爵令息は、いつか私を見てくれる日が来るかもしれないと期待していたこと。こんなことまで喋ってしまった…。
私は終わった…。
しかしその後、彼女の義兄のフォーレス侯爵令息が放った言葉に、私は狂いそうになる。
「マリーは私が守るから大丈夫だ。そんな悲しそうな顔はしないでくれ。」
優しい言葉を掛けて、彼女を大切そうに抱き寄せるフォーレス侯爵令息。
どうして?彼女は義理とはいえ、ただの兄妹よ。パーティーでは、次期宰相と楽しそうにダンスしてたし、貴方のことなんてそこまで意識してないじゃない。美しいからって騙されないで。彼女が来る前の貴方に戻って!少しは私のことも見て!
彼女を愛しそうに見つめるフォーレス侯爵令息を見るたびに、私はどんどん理性を失い、狂っていくのであった。
そして彼女の机に、私の彼女への正直な気持ちを書きこんだ。
〝学園辞めろ、死ね、いなくなれ〟
もう狂った自分を止めることが出来ず、違う日にはまた教科書を破いていた。
そんなある時、机にメモが入っているのを見つける。メモには〝犯人〟とだけ書いてあったのだ。こんな物、誰が入れたのかしら。もしかしてバレた?慌てるな、落ち着け私。何となく周りを観るが、クラスメイト達は特に普通に見える。大丈夫よ。犯人はあの伯爵令嬢だとみんな思っているのだから。
その時にやめておけばよかったのに、後日、情緒不安定だった私は、またフォーレス侯爵令嬢の机に嫌がらせの落書きをしてしまう。ペンで〝目障り、悪女、死ね〟と書いているその時だった……。
背後から体をグッと拘束される。えっ?何が起こっているの?
「動くな!!」
よく分からないまま、後ろ手に縛られて、学園の警備騎士に連行される。そのまま、簡素な馬車に乗せられる。えっ、どこに連れて行かれるの?怖い!
馬車からは王宮が見えてくる。どうして王宮なの?王宮の人気のない裏口のような所で、降ろされ、暗い地下牢へ連れて行かれる。怖すぎて、言葉が出てこない。
拘束は解かれ、地下牢の中に入れられる。何が起こっているのか分からないでいると、誰かが来る足音が…。あっ!担任のルーベンス先生だわ。
「先生、どうして私はここにいるのでしょうか?助けてください。」
ルーベンス先生は、冷やかな笑顔だ。
「どうして?こっちが、聞きたいですよ。なぜ、あの様な嫌がらせをしたのですか?現行犯で捕まったのですよね?」
「違います!私は脅されて、嫌がらせをするように命令されたのです。」
「それは、本当ですか?嘘はバレますし、許されませんよ。」
「本当です。先生、信じて下さい!」
私は助かりたくて必死だった。
「……と話しておりますが、どういたしましょうか?」
ルーベンス先生が通路の入口の方を見て、誰かに話掛けている。ここからは見えない位置に誰かがいたようだ。すると、数人がスッと現れる。現れたのは、私がずっとお慕いしていた、フォーレス侯爵令息と、王太子殿下夫妻、次期宰相様、そして生徒会長の5人であった。
どうしてこの方たちいるの?
「へぇー、君が私のかわいい従姉妹のマリーベルに危害を加えようとした男爵令嬢?真面目そうに見えるのに、人は見かけによらないね。」
「あら、殿下。男爵令嬢はタチが悪い令嬢が多いではありませんか。ほら、私達が学園に在籍していた時も、身の程を弁えない男爵令嬢がアンに嫌がらせをしてましたでしょ。あの時はマディソン殿が、上手くあの令嬢を消してくれましたけど…。」
何を言っているのだろう…。タチが悪いって何?かわいい従姉妹って?
その時に、生徒会長が口を開いた。
「マリーベル嬢と同じクラスの君が、彼女に嫌がらせをしていたことは、もう調べがついているんだ。ルーベンス先生とアルベルトが、君に影をつけて監視していたからな。初等部まで真面目で成績優秀だったと聞いていたし、とても残念だ。」
…全部見られていたの?まさか!
「私は、ミラー伯爵令嬢に脅されてやっただけなのです。どうか信じてください。」
ルーベンス先生が低い声で言う。
「始めは、ミラー伯爵令嬢を疑って、彼女のことも影をつけて調べたのですが、何もありませんでした。ミラー伯爵令嬢とあなたとの間にも接点は見つかりませんでしたよ。それでも、あなたを信じろと?」
そこで初めてフォーレス侯爵令息が口を開く。
「ははっ。ルーベンス先生、やはり彼女は自分の非を認めたくないらしい。王太子殿下に頼んで、自白剤を用意してもらえて良かったですよ。私達だけの力では、拘束出来ても、自白剤を使ってまで調べるなんて、許されませんでしたから。」
彼の私を見る目は、害虫を見るような目だ。そんな冷たい目で見ないで!
自白剤って、犯罪者に使用される薬品じゃない?そんなのイヤ!
「アルベルトから、マリーベルのことで急ぎの相談があると珍しく接触してきたから、何かあったのだろうと思ったけど…。確かにこういうタイプの令嬢は放っておくと危険だからね。…自白剤持ってきて!」
王太子殿下が声を掛けると、騎士が3名やってきて、体を取り押さえられ強引に自白剤を飲まされてしまった。
自白剤を飲まされて私は、話したくないことまでペラペラと喋っていた。
将来は文官になりたかったので、今まで必死に勉強して、トップ争いをしていたのに、聖女子学園から優秀な令嬢が、沢山編入してきて焦っていたこと。
フォーレス侯爵令息をお慕いしていたのに、義妹のフォーレス侯爵令嬢が編入して来て、彼が義妹を愛しそうに大切にする姿が許せなかったこと。
フォーレス侯爵令嬢は、美しいだけでなく、勉強もダンスも全てが完璧で、自分が惨めになっていたこと。そして、沢山の友人に囲まれていて羨ましかったこと。
フォーレス侯爵令嬢が大嫌いだから、学園に来てほしくない、目障りだし、死ねばいいのにと思ったこと。彼女がいなくなれば、フォーレス侯爵令息は、いつか私を見てくれる日が来るかもしれないと期待していたこと。こんなことまで喋ってしまった…。
私は終わった…。
161
あなたにおすすめの小説
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
嘘つくつもりはなかったんです!お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
季邑 えり
恋愛
異世界転生した記憶をもつリアリム伯爵令嬢は、自他ともに認めるイザベラ公爵令嬢の腰ぎんちゃく。
今日もイザベラ嬢をよいしょするつもりが、うっかりして「王子様は理想的な結婚相手だ」と言ってしまった。それを偶然に聞いた王子は、早速リアリムを婚約者候補に入れてしまう。
王子様狙いのイザベラ嬢に睨まれたらたまらない。何とかして婚約者になることから逃れたいリアリムと、そんなリアリムにロックオンして何とかして婚約者にしたい王子。
婚約者候補から逃れるために、偽りの恋人役を知り合いの騎士にお願いすることにしたのだけど…なんとこの騎士も一筋縄ではいかなかった!
おとぼけ転生娘と、麗しい王子様の恋愛ラブコメディー…のはず。
イラストはベアしゅう様に描いていただきました。
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる