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ヒロインがやって来た
転校生と義兄とその仲間達
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新学期が始まる。みんなで休暇中の話で盛り上がっていると、同じクラスの貴族令息達が、転校生が来るらしいと話をしている、マジか?ついに来た?気になる私達。話し掛けて聞いてみようか。ミッシェルが動く。
「転校生って聞こえたのですが、私達の学年にいらっしゃるのでしょうか?」
「はい。ハッキリ知らされた訳ではないのですが、先生方が深刻に転校生のことを話していたので。」
「深刻そうにですか?」
「クラスを決めるテストの点数がどうこう話していましたが、詳しくは聞き取れなかったのです。」
「そうですか。教えて頂きありがとうございます。」
うちのクラス、退学になった男爵令嬢の席が空いているのが気になるぞ。
ホームルームの時間になり、ルーベンス先生が入ってくるが、転校生らしき人物は連れてない。違うクラスか。何となく安心する。そのまま、1時間目が始まり、その後の休憩時間に事件が起こる。
私達は、席に座ってお喋りをしていたのだが……。その時であった。
「あのー。こちらは、Aクラスですよねぇ?席って空いてますかぁ?」
初めて見る令嬢だった。この子が転校生?ピンクの珍しい髪色が目を引く。ぱっちりの水色の瞳に、可愛らしい顔をしている。ピンクの髪ってー、ヒロインにありがちだよね。しかしいきなり来て、席空いてますかって。腹黒達は、目が笑っている。転校生は、教室入り口付近にいた令息に聞いているようだが、聞かれた本人も何と答えていいのか、分からないようだ。
「すみませーん!席は空いているのか聞いているんですけどぉ。」
この子、なかなか個性的だわね。腹黒達は、面白い人見つけたって顔してるわ。
初対面の令嬢に失礼な物言いをされた、令息は驚いて絶句している。
「ちょっとぉー。私が聞いてるんだから、誰か教えてよ。」
明らかにおかしな人に、誰も声を掛けない。この転校生は、見た感じそこまで爵位は高くなさそうね。言葉も平民に近い感じだし。多分みんなそう感じているから、高位の貴族が多い、このクラスメイト達は、無理に話し掛けないのだろう。クラスはシーンと静まり帰る。私達は、何故か笑いが込み上げて来そうなので、みんな机に座って下を向いていた。その時だった。
「あっ!貴方はアルベルトさま?カッコいいわ!私、今日転校して来たアンジェ・ウッドですわぁ。アンって呼んでください。私はアルって呼びますねぇ。」
義兄が絡まれている。しかし、吹き出してしまいそうなので私は顔を上げられない。しかし、義兄の恐ろしい声でどんな顔をしているのか、すぐに分かった。
「ウッド男爵家?」
この低い声は、恐ろしいわね。空気が一瞬にして、凍りつく。
「私の家名知っていてくれたのですかぁ?嬉しいですぅ。さすがアル様。」
「男爵家が侯爵家の私に、随分と馴れ馴れしいことだ。君とは初対面なのに、勝手に名前で呼ばれるなんて。非常識な君には近寄って欲しくないし、名前も呼ばれたくない。話しかけて来ることもしないでくれ。」
うわー!結構言うのねぇー。転校生は、何も言い返せないでいる。義兄のその対応を見て、友人の令息達も続く。
「ウッド男爵家って、子沢山って有名だよね。」
「ああ、手当たり次第に手を出すみたいだ。」
「へぇー、君はどこのクラス?」
いつも優しく、礼儀正しい令息達の声が冷たい気がする。礼儀を弁えない令嬢を敵認定したのかしら。
「本当はAクラスのはずなのに、手違いでEクラスになってしまったのですぅ。だから、Aクラスに席が空いてないのかと思って、確認しに来たんですぅ。」
「手違いじゃなくて、テストの点数が悪かっただけだね。君の声は騒がしくて耳障りだから、早く出て行ってくれるかな?」
えー、あの優しい伯爵家の令息が、そこまで言うのね!
「そんなぁ、このクラスの人達はみんな冷たいですぅ。私はまだこの学園に来たばかりなのにぃ。」
そんな時、授業開始の時間になり、怖いと評判の先生がやってくる。大奥総取締のような、貫禄のある、マダム先生にガミガミ言われて、その生徒は戻って行ったのだった。いきなりやって来て、義兄の名前と顔を知っていたなんて、義兄の隠れファンなのかしらね?なかなかすごいインパクトだったけど、義兄や他の令息が、見た目は可愛らしいピンクの令嬢に、あんな態度を取るのが、ビックリしたわね。
しかしピンクの令嬢は、なかなかすごい根性だった。あそこまで冷たくされたのに、昼休みには、同じテーブルでご一緒したいと、義兄達のグループに突撃して、撃沈させられていた。義兄の友人達も、侯爵家や有力な伯爵家の友人ばかりだから、仲良くなりたいのかもね。
そして、放課後は馬車で送って欲しいと言いにくる。流石に、私達は吹き出しそうになり、下を向いて、義兄とその友人達の会話に耳を傾けるしか出来なかった。
義兄の友人達は、相当イラっとしたらしい。
「君さ、私達に付き纏う理由を教えてくれない?迷惑なんだけど。」
「私はぁ、皆様と仲良くなりたいのです。ふふっ。」
「私達は仲良くなりたくないんだが。」
「君、わざわざAクラスに来ないで、同じクラスの人と仲良くなったら。」
「私はぁ、レベルの低いEクラスの人達とは合わないみたいですぅ。」
「私達も君とは合わないから、近づかないでくれるか?Aクラスにも来ないでくれ!目障りだからさ。」
「君のその行動は何だ?不気味なんだけど。もしかして、ウッド男爵に言われて来たの?高位の貴族令息を捕まえて来いって?」
「私はぁ、ただ皆様と仲良しになりたいだけなのに、酷いですぅ。」
「そうなんだよ!私達は酷い男だから、近づかないでくれ。」
これを近くで聞くのは、なかなか大変なのだ。腹黒達は、みんな涙目だ。しかし、全く相手にされないピンクの令嬢は、少し焦って来たようだ。
「アル様!私は知っているのですよぉ。アル様の義理の両親は、病気で亡くなったアル様の義妹のことをいつまでも忘れられずにいて、全然アル様を相手にしてくれてないって。アル様は、実の両親を事故で亡くして、心に傷があるのに、かわいそうだわぁ。私はアル様の味方ですからねぇ。」
この子、何を言ってるの?その瞬間、その場の空気が凍りつくのが分かる。
「へぇー、君は王弟である、私の義父をそんな風に言うんだな。しかも、義妹が死んでいるって?ホラ吹きを通り越して、君は精神の病気か?ウッド男爵家にはフォーレス侯爵家から正式に抗議させて頂く。」
義兄が本気で怒っているわね。それでも、傍観者という立場を楽しむ私達、腹黒。しかし、義兄の友人達は、みんないい人みたいね。
「ムーア侯爵家からも、正式に抗議させてもらう。君の失礼な物言いに、我慢ならない。」
「ウィリアムズ伯爵家も抗議する。君は勉学の邪魔をし過ぎだし、友人を侮辱するなんて許さない。」
「デービス伯爵家も抗議させてもらおう。こんな非常識な令嬢がいるなんてありえない。」
その時、クラスメイトの令息が気を利かして、先生方を呼んでくれたようだ。
「あなたは、私のクラスで何をしているのです?今すぐ出てください。」
ルーベンス先生が本気で怒っている。そして、一緒に連れて来た警備騎士に、連れて行かれてしまった。この後、お説教かしら?
いやー!転校初日からすごい、やらかしたわね。見た目だけは、ヒロインっぽいのに。しかし、よく分からない事ばかり言っていたわね。しかも、やたら義兄に絡んでいたし。怪しいわ!
彼女は、謹慎処分になり、しばらく学園から姿を消したのだった。
「転校生って聞こえたのですが、私達の学年にいらっしゃるのでしょうか?」
「はい。ハッキリ知らされた訳ではないのですが、先生方が深刻に転校生のことを話していたので。」
「深刻そうにですか?」
「クラスを決めるテストの点数がどうこう話していましたが、詳しくは聞き取れなかったのです。」
「そうですか。教えて頂きありがとうございます。」
うちのクラス、退学になった男爵令嬢の席が空いているのが気になるぞ。
ホームルームの時間になり、ルーベンス先生が入ってくるが、転校生らしき人物は連れてない。違うクラスか。何となく安心する。そのまま、1時間目が始まり、その後の休憩時間に事件が起こる。
私達は、席に座ってお喋りをしていたのだが……。その時であった。
「あのー。こちらは、Aクラスですよねぇ?席って空いてますかぁ?」
初めて見る令嬢だった。この子が転校生?ピンクの珍しい髪色が目を引く。ぱっちりの水色の瞳に、可愛らしい顔をしている。ピンクの髪ってー、ヒロインにありがちだよね。しかしいきなり来て、席空いてますかって。腹黒達は、目が笑っている。転校生は、教室入り口付近にいた令息に聞いているようだが、聞かれた本人も何と答えていいのか、分からないようだ。
「すみませーん!席は空いているのか聞いているんですけどぉ。」
この子、なかなか個性的だわね。腹黒達は、面白い人見つけたって顔してるわ。
初対面の令嬢に失礼な物言いをされた、令息は驚いて絶句している。
「ちょっとぉー。私が聞いてるんだから、誰か教えてよ。」
明らかにおかしな人に、誰も声を掛けない。この転校生は、見た感じそこまで爵位は高くなさそうね。言葉も平民に近い感じだし。多分みんなそう感じているから、高位の貴族が多い、このクラスメイト達は、無理に話し掛けないのだろう。クラスはシーンと静まり帰る。私達は、何故か笑いが込み上げて来そうなので、みんな机に座って下を向いていた。その時だった。
「あっ!貴方はアルベルトさま?カッコいいわ!私、今日転校して来たアンジェ・ウッドですわぁ。アンって呼んでください。私はアルって呼びますねぇ。」
義兄が絡まれている。しかし、吹き出してしまいそうなので私は顔を上げられない。しかし、義兄の恐ろしい声でどんな顔をしているのか、すぐに分かった。
「ウッド男爵家?」
この低い声は、恐ろしいわね。空気が一瞬にして、凍りつく。
「私の家名知っていてくれたのですかぁ?嬉しいですぅ。さすがアル様。」
「男爵家が侯爵家の私に、随分と馴れ馴れしいことだ。君とは初対面なのに、勝手に名前で呼ばれるなんて。非常識な君には近寄って欲しくないし、名前も呼ばれたくない。話しかけて来ることもしないでくれ。」
うわー!結構言うのねぇー。転校生は、何も言い返せないでいる。義兄のその対応を見て、友人の令息達も続く。
「ウッド男爵家って、子沢山って有名だよね。」
「ああ、手当たり次第に手を出すみたいだ。」
「へぇー、君はどこのクラス?」
いつも優しく、礼儀正しい令息達の声が冷たい気がする。礼儀を弁えない令嬢を敵認定したのかしら。
「本当はAクラスのはずなのに、手違いでEクラスになってしまったのですぅ。だから、Aクラスに席が空いてないのかと思って、確認しに来たんですぅ。」
「手違いじゃなくて、テストの点数が悪かっただけだね。君の声は騒がしくて耳障りだから、早く出て行ってくれるかな?」
えー、あの優しい伯爵家の令息が、そこまで言うのね!
「そんなぁ、このクラスの人達はみんな冷たいですぅ。私はまだこの学園に来たばかりなのにぃ。」
そんな時、授業開始の時間になり、怖いと評判の先生がやってくる。大奥総取締のような、貫禄のある、マダム先生にガミガミ言われて、その生徒は戻って行ったのだった。いきなりやって来て、義兄の名前と顔を知っていたなんて、義兄の隠れファンなのかしらね?なかなかすごいインパクトだったけど、義兄や他の令息が、見た目は可愛らしいピンクの令嬢に、あんな態度を取るのが、ビックリしたわね。
しかしピンクの令嬢は、なかなかすごい根性だった。あそこまで冷たくされたのに、昼休みには、同じテーブルでご一緒したいと、義兄達のグループに突撃して、撃沈させられていた。義兄の友人達も、侯爵家や有力な伯爵家の友人ばかりだから、仲良くなりたいのかもね。
そして、放課後は馬車で送って欲しいと言いにくる。流石に、私達は吹き出しそうになり、下を向いて、義兄とその友人達の会話に耳を傾けるしか出来なかった。
義兄の友人達は、相当イラっとしたらしい。
「君さ、私達に付き纏う理由を教えてくれない?迷惑なんだけど。」
「私はぁ、皆様と仲良くなりたいのです。ふふっ。」
「私達は仲良くなりたくないんだが。」
「君、わざわざAクラスに来ないで、同じクラスの人と仲良くなったら。」
「私はぁ、レベルの低いEクラスの人達とは合わないみたいですぅ。」
「私達も君とは合わないから、近づかないでくれるか?Aクラスにも来ないでくれ!目障りだからさ。」
「君のその行動は何だ?不気味なんだけど。もしかして、ウッド男爵に言われて来たの?高位の貴族令息を捕まえて来いって?」
「私はぁ、ただ皆様と仲良しになりたいだけなのに、酷いですぅ。」
「そうなんだよ!私達は酷い男だから、近づかないでくれ。」
これを近くで聞くのは、なかなか大変なのだ。腹黒達は、みんな涙目だ。しかし、全く相手にされないピンクの令嬢は、少し焦って来たようだ。
「アル様!私は知っているのですよぉ。アル様の義理の両親は、病気で亡くなったアル様の義妹のことをいつまでも忘れられずにいて、全然アル様を相手にしてくれてないって。アル様は、実の両親を事故で亡くして、心に傷があるのに、かわいそうだわぁ。私はアル様の味方ですからねぇ。」
この子、何を言ってるの?その瞬間、その場の空気が凍りつくのが分かる。
「へぇー、君は王弟である、私の義父をそんな風に言うんだな。しかも、義妹が死んでいるって?ホラ吹きを通り越して、君は精神の病気か?ウッド男爵家にはフォーレス侯爵家から正式に抗議させて頂く。」
義兄が本気で怒っているわね。それでも、傍観者という立場を楽しむ私達、腹黒。しかし、義兄の友人達は、みんないい人みたいね。
「ムーア侯爵家からも、正式に抗議させてもらう。君の失礼な物言いに、我慢ならない。」
「ウィリアムズ伯爵家も抗議する。君は勉学の邪魔をし過ぎだし、友人を侮辱するなんて許さない。」
「デービス伯爵家も抗議させてもらおう。こんな非常識な令嬢がいるなんてありえない。」
その時、クラスメイトの令息が気を利かして、先生方を呼んでくれたようだ。
「あなたは、私のクラスで何をしているのです?今すぐ出てください。」
ルーベンス先生が本気で怒っている。そして、一緒に連れて来た警備騎士に、連れて行かれてしまった。この後、お説教かしら?
いやー!転校初日からすごい、やらかしたわね。見た目だけは、ヒロインっぽいのに。しかし、よく分からない事ばかり言っていたわね。しかも、やたら義兄に絡んでいたし。怪しいわ!
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