3 / 19
婚約解消に至るまで 1
しおりを挟む
私達貴族は15歳になると、王都にある貴族学園に入学して学ぶことが義務付けられている。
アリスより2つ学年が上の私は、先に学園に入学していた。
2年生になった時だった。学園の創立記念のパーティーの日。私はドレスにジュースをかけられて、虐められている女生徒を目撃してしまった。
「貴女!婚約者のいる殿方に付き纏って、はしたないと思わないのかしら?みんな迷惑しているのよ。立場を弁えなさい!」
数人の令嬢に囲まれて震える女生徒。あんな大人数で1人を虐めるとは…。
「大勢で1人を虐めるなんて見苦しいぞ!」
気付くと私は、令嬢達に声を掛けていた。私の顔を見て、令嬢達は面倒くさそうに去っていった。
「あ、あの!ありがとうございました。」
小柄で可愛らしい令嬢は、涙目で私にお礼を伝えてくる。
「いや。気にしないでくれ。ドレスが濡れてしまっているな…。これで拭いてくれ。じゃあ!」
ハンカチを渡してその場を去ろうとすると、
「あの!名前を教えてください。」
「ルイス・オルセンだ。…失礼する。」
これが、私を地獄に突き落とした女との出会いだった。
新学期が始まった日。
「ルイス様!!」
私を名前で呼ぶ人物は、アリーだけなはず。誰だ?
振り向いた先にいたのは、あのパーティーの時に助けた令嬢だった。
「ああ。君か。」
私を待っていたのか、嬉しそうに駆け寄ってくる。
令嬢があんな風に走るなんて、私を勝手に名前呼びしたり、常識のない令嬢なのか?
「ルイス様。パーティーの時は助けて下さってありがとうございました。
ハンカチを洗って持って来ました。それと…、私が手作りで作ったクッキーです。一生懸命作ったんですよ!食べて下さいね。」
ほぼ初対面なのに、何が入っているのか分からないクッキーを食べてくれだって?あり得ない。
「結構だ!気持ちだけ頂く。それと、知り合いでもないのに、馴れ馴れしく名前で呼ばないでくれ。」
「…そんな。…グスッ、グスッ…。」
令嬢は泣き出してしまった。私が悪者みたいになってしまっている。
はあー。面倒だな。
「受け取ればいいのか…?」
「受け取ってくれるのですか?」
「今回だけだ…。誰なのかも知らない人物からは、普通なら食べ物を受け取ろうとは思わないから、気を付けろ。」
「あっ!私の名前を教えていませんでしたね。
私はリリーナ・ウッディです。よろしくお願いします。」
ウッディ男爵家の令嬢か。
その女は、私に会うと馴れ馴れしく話しかけてくるようになるのだった。
初めは鬱陶しいと思っていたはずだった。それなのに、気づくと感情豊かなリリーナに惹かれてしまっていたのだ。
アリスより2つ学年が上の私は、先に学園に入学していた。
2年生になった時だった。学園の創立記念のパーティーの日。私はドレスにジュースをかけられて、虐められている女生徒を目撃してしまった。
「貴女!婚約者のいる殿方に付き纏って、はしたないと思わないのかしら?みんな迷惑しているのよ。立場を弁えなさい!」
数人の令嬢に囲まれて震える女生徒。あんな大人数で1人を虐めるとは…。
「大勢で1人を虐めるなんて見苦しいぞ!」
気付くと私は、令嬢達に声を掛けていた。私の顔を見て、令嬢達は面倒くさそうに去っていった。
「あ、あの!ありがとうございました。」
小柄で可愛らしい令嬢は、涙目で私にお礼を伝えてくる。
「いや。気にしないでくれ。ドレスが濡れてしまっているな…。これで拭いてくれ。じゃあ!」
ハンカチを渡してその場を去ろうとすると、
「あの!名前を教えてください。」
「ルイス・オルセンだ。…失礼する。」
これが、私を地獄に突き落とした女との出会いだった。
新学期が始まった日。
「ルイス様!!」
私を名前で呼ぶ人物は、アリーだけなはず。誰だ?
振り向いた先にいたのは、あのパーティーの時に助けた令嬢だった。
「ああ。君か。」
私を待っていたのか、嬉しそうに駆け寄ってくる。
令嬢があんな風に走るなんて、私を勝手に名前呼びしたり、常識のない令嬢なのか?
「ルイス様。パーティーの時は助けて下さってありがとうございました。
ハンカチを洗って持って来ました。それと…、私が手作りで作ったクッキーです。一生懸命作ったんですよ!食べて下さいね。」
ほぼ初対面なのに、何が入っているのか分からないクッキーを食べてくれだって?あり得ない。
「結構だ!気持ちだけ頂く。それと、知り合いでもないのに、馴れ馴れしく名前で呼ばないでくれ。」
「…そんな。…グスッ、グスッ…。」
令嬢は泣き出してしまった。私が悪者みたいになってしまっている。
はあー。面倒だな。
「受け取ればいいのか…?」
「受け取ってくれるのですか?」
「今回だけだ…。誰なのかも知らない人物からは、普通なら食べ物を受け取ろうとは思わないから、気を付けろ。」
「あっ!私の名前を教えていませんでしたね。
私はリリーナ・ウッディです。よろしくお願いします。」
ウッディ男爵家の令嬢か。
その女は、私に会うと馴れ馴れしく話しかけてくるようになるのだった。
初めは鬱陶しいと思っていたはずだった。それなのに、気づくと感情豊かなリリーナに惹かれてしまっていたのだ。
650
あなたにおすすめの小説
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。
しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。
だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。
○○sideあり
全20話
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
今夜で忘れる。
豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」
そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。
黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。
今はお互いに別の方と婚約しています。
「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」
なろう様でも公開中です。
あなたへの想いを終わりにします
四折 柊
恋愛
シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?
わらびもち
恋愛
王女様と結婚したいからと私に離婚を迫る旦那様。
分かりました、お望み通り離婚してさしあげます。
真実の愛を選んだ貴方の未来は明るくありませんけど、精々頑張ってくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる