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まずは犯人探し
ニコッと私に微笑んでくれたバード男爵令嬢に、微笑み返す鬼嫁。
「男爵様、素晴らしいですわ!」
「夫人もそう思ってくれたなら嬉しい。アランも喜ぶと思うんだ」
バカですか? 私の稼ぎを当てにして、娘を嫁に寄越すなんて。私が小娘だからって侮ってるよね。うちは形だけの夫婦だし、サイフは別なんだよ!
確かバード男爵家も裕福とは言えない家門だったような……
ハァー。顔だけ男の伯爵様だけでなく、金にがめつい親族まで大嫌いになりそうだわ。
「しかし、男爵様。その話し合いの前に確認したいことがありますわ」
「……何だろうか?」
「先程、私のことを〝新婚なのに、一家の主人よりも仕事を優先している〟と言っていたのは誰でしょうか?
伯爵夫人である私や、私を育ててくれたベネット家の両親を侮辱する発言ですわ。教えて下さいませ」
「……それは、噂で聞いたな」
「噂話でしたか。どちらで聞いたのでしょう?
夜会ですか? それとも男爵様の知り合いの方の茶会とか?」
「それは忘れてしまったな……」
困ってるわ。ふふっ!
実家のベネット家を出されたら、バード男爵家では太刀打ち出来ないもんね。
困っているバード男爵が面白いから、しつこく聞いてやろうじゃないの。
「男爵様、そうはいきませんわ。うちの両親の耳に入ったら、きっと大金を投じても調べるはずです。
実家は商売をしていますから、身内に良からぬ噂が立つことを最も嫌うのです。信用問題に関わってくることですから。
男爵様が思い出せないとなると、うちの両親なら、男爵様の交友範囲全てを調べることくらいはすると思いますわ」
「いや、それは……」
本気で困ってる! いい気味だ、ふふっ……
男爵も、仕事を優先する至らない正妻だからと娘を第二夫人にしろだなんて言ってくるなんて、私をハッキリと侮辱してくるなんて許せないわ。
「お父様、それは使用人達が話をしていたのを偶然耳にしたと言ってましたよね?」
ここで今まで無言を貫いていたバード男爵令嬢が父親を庇い出す。
使用人ね……。確かにそんな噂話を立てることが出来るのは、伯爵様本人かその周りの側近、この邸の使用人しかいないだろう。この邸の誰かが男爵と繋がっているとか?
「そうだったな……」
「まあ! バード男爵令嬢、教えてくださってありがとうございます」
令嬢にニコッと微笑んであげる私。
「メイド長、使用人を今すぐに広間に集めてもらえるかしら?」
「畏まりました」
メイド長はすぐに動き出す。金貨5枚分の仕事を頼んだわよ!
「夫人、使用人を集めるとは?」
「男爵様、私を侮辱する噂話を流した犯人探しをしようかと思います。
この伯爵家の女主人である私を侮辱するなんて許せませんから」
「そこまでしなくてもいいんじゃないか?」
それは犯人探しされたくないってバレバレの反応だった。
「男爵様、これはうちの伯爵家の問題ですわ!
私は許せませんので、きちんと対処したいと思っていますの。私はこの伯爵家の女主人ですから」
数分後、メイド長が集まりましたと知らせに来てくれる。
男爵と令嬢と一緒に広間に移動する鬼嫁。男爵は嫌そうにしていたが、噂話を教えてくれた男爵様もぜひ同席して欲しいと言い、おばちゃん根性を出し切って、ほぼ強引に連れて来た。
広間には伯爵様と側近意外は全員揃ったようだ。
もしこの中で犯人が特定できないようなら、伯爵様の執務室に怒鳴り込みに行こうと思う。
伯爵様の初夜の日の言動も酷かったけど、伯爵家のがめつい親戚達も酷すぎて、最近の私はイライラしているからね。
しかし、犯人はあっさりと見つかるのである。
「男爵様、素晴らしいですわ!」
「夫人もそう思ってくれたなら嬉しい。アランも喜ぶと思うんだ」
バカですか? 私の稼ぎを当てにして、娘を嫁に寄越すなんて。私が小娘だからって侮ってるよね。うちは形だけの夫婦だし、サイフは別なんだよ!
確かバード男爵家も裕福とは言えない家門だったような……
ハァー。顔だけ男の伯爵様だけでなく、金にがめつい親族まで大嫌いになりそうだわ。
「しかし、男爵様。その話し合いの前に確認したいことがありますわ」
「……何だろうか?」
「先程、私のことを〝新婚なのに、一家の主人よりも仕事を優先している〟と言っていたのは誰でしょうか?
伯爵夫人である私や、私を育ててくれたベネット家の両親を侮辱する発言ですわ。教えて下さいませ」
「……それは、噂で聞いたな」
「噂話でしたか。どちらで聞いたのでしょう?
夜会ですか? それとも男爵様の知り合いの方の茶会とか?」
「それは忘れてしまったな……」
困ってるわ。ふふっ!
実家のベネット家を出されたら、バード男爵家では太刀打ち出来ないもんね。
困っているバード男爵が面白いから、しつこく聞いてやろうじゃないの。
「男爵様、そうはいきませんわ。うちの両親の耳に入ったら、きっと大金を投じても調べるはずです。
実家は商売をしていますから、身内に良からぬ噂が立つことを最も嫌うのです。信用問題に関わってくることですから。
男爵様が思い出せないとなると、うちの両親なら、男爵様の交友範囲全てを調べることくらいはすると思いますわ」
「いや、それは……」
本気で困ってる! いい気味だ、ふふっ……
男爵も、仕事を優先する至らない正妻だからと娘を第二夫人にしろだなんて言ってくるなんて、私をハッキリと侮辱してくるなんて許せないわ。
「お父様、それは使用人達が話をしていたのを偶然耳にしたと言ってましたよね?」
ここで今まで無言を貫いていたバード男爵令嬢が父親を庇い出す。
使用人ね……。確かにそんな噂話を立てることが出来るのは、伯爵様本人かその周りの側近、この邸の使用人しかいないだろう。この邸の誰かが男爵と繋がっているとか?
「そうだったな……」
「まあ! バード男爵令嬢、教えてくださってありがとうございます」
令嬢にニコッと微笑んであげる私。
「メイド長、使用人を今すぐに広間に集めてもらえるかしら?」
「畏まりました」
メイド長はすぐに動き出す。金貨5枚分の仕事を頼んだわよ!
「夫人、使用人を集めるとは?」
「男爵様、私を侮辱する噂話を流した犯人探しをしようかと思います。
この伯爵家の女主人である私を侮辱するなんて許せませんから」
「そこまでしなくてもいいんじゃないか?」
それは犯人探しされたくないってバレバレの反応だった。
「男爵様、これはうちの伯爵家の問題ですわ!
私は許せませんので、きちんと対処したいと思っていますの。私はこの伯爵家の女主人ですから」
数分後、メイド長が集まりましたと知らせに来てくれる。
男爵と令嬢と一緒に広間に移動する鬼嫁。男爵は嫌そうにしていたが、噂話を教えてくれた男爵様もぜひ同席して欲しいと言い、おばちゃん根性を出し切って、ほぼ強引に連れて来た。
広間には伯爵様と側近意外は全員揃ったようだ。
もしこの中で犯人が特定できないようなら、伯爵様の執務室に怒鳴り込みに行こうと思う。
伯爵様の初夜の日の言動も酷かったけど、伯爵家のがめつい親戚達も酷すぎて、最近の私はイライラしているからね。
しかし、犯人はあっさりと見つかるのである。
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