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第3章 期末テスト好きな人いる?
期末テスト好きな人いる?②
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「一旦整理しよう。今僕たちに残された道は3つ、残りの仲間を探すか、ヒントを探してポイントを稼ぐそして…」
「相手の進路を妨害して、幻の果実を目指すか、だね」
「ただ向こうは学年1位のサンがいる、人数的にも不利だし妨害は現実的じゃなさそう。仲間もどこにいるかわからないし」
「うーん、とりあえずヒントを探しましょう。敵チームは開始10分で仲間もヒントも全部見つけて解いたみたいだし。何かやり方があるはずよ」
私とネコはヒントを探すことにした。
といってもどこにあるかは皆目検討がつかないのだが。
さっきまで心地良かった森の演奏も
どんどん私達を焦らせる。
敵チームと別れてちょっとしか時間が経って無いはずだが、見つからない不安と相手の事が気になって仕方がない。
私は足を止めネコに話しかける。
「ねえネコ、ちょっといい?」
「どうしたの?もう疲れた?」
「ううん、そういえばさっき、サンは【ヒントは全部解いた】って言ってたよね?」
「うん」
「でも先生は【この森の所々にヒントを隠した】って言っていた」
「そうだけど、それが?」
「モナーヒルであるサン達は獣を扱うのが上手いから、もしかして最初に獣に頼んで仲間やヒントを全て見つけたのかも」
「ふむふむ」
「でもまだサン達はコミューンは操って居なかった。きっとヒントはコミューンの居場所を示唆するものだったと思うの」
「なるほど…」
「でもここで疑問が出てくる。サンや他の2人は誰が仲間か分からないから、人を見つけたら知らせるようにしたとしても、私達にもそれは当てはまるはず」
私はぶつぶつと続ける。
「でも私もネコもそんな獣はみなかったし、ましてやヒントもまだ見つかっていない。でもサン達は10分で見つけている」
「サンの杖で何かやったんじゃないの?学年1位だし、凄い能力のはずだよ」
「そう、もの凄い能力」
これが正しくないことを祈るが。
「サンの能力は洗脳。それも獣や人を含め複数可能なもの。理由は2つ。前回の試験の時もサンが圧倒的にAPを稼いでいたのにも関わらず、クラス合計は私達の方が上、つまり他は余り稼げてなかったこと」
でもそうとか考えられない。
「2つ、期末テスト開始前にクラス全員を洗脳していればどこに仲間がいることやヒントを見つけることは簡単だと思うの。勿論獣も操れる」
「それ、僕は考えたくないな」
ネコも私も汗がにじむ。
「うん、どんな風に洗脳するかは分からないけど、少なくともサンには気付かれないように行動しないと、、私達も簡単に洗脳されて何も出来なくなっちゃう」
「…じゃあ仲間を見つけてもあんまり見込みは無いね」
「え、どうして?」
「もしかしたらもう洗脳されてるかもしれないじゃないか。それにこんなに探しているのにサンも僕達も見付けられてないなんておかしいし」
「あ、確かに」
「あと、さっき言ったことが本当なら、獣達もみんな向こうの味方ってことだ。僕達の動きや情報も全部バレていて、泳がされているかも」
「この森には、私達以外、全員敵しか居ないってことなのね…」
サァァーーーー ヒュゥゥーーハァァァーーー
明るい暖かい森の筈なのに
暗く冷たい風が私達の間を通る。
全て仮説だが、筋が通りすぎている。
「と、とりあえず認識阻害の魔法をかけよう!」
『ナファレンス』!!
「これでとりあえずは監視されずにすみそうだ」
「ありがとうネコ。でもそう考えてみると、私達の前を偶然通りすぎたとは思えないね」
「うん、何かアピールしたくて通りすぎたんだと思う。その気になれば僕達を洗脳できたかもしれない。でも敢えて無理をせず泳がせた」
「ひょっとして敵チームへの武力行使に当たると思ってやめたとか?」
「うーん、でも暴力は振るわないし、ルール違反にはならなさう」
「確かにね…あっもしかして」
またさらに仮説が浮かぶ。
「モナーヒルの人たちって頭は余り良くはないのかも。獣を扱うのが得意な人たちが集まっているけど、頭が良いのはラ・スーメルに集まっているはず」
「まあ確かにもしかしかたらそうかも」
「そしたらヒントもそう簡単には解けないはず。仮にも期末テストのヒント。学園側も難しいのを出しているはず。それこそ魔法歴史学などを絡めたヒントとか」
「それじゃあ本当はヒントは解けてないかもってこと?」
「かもしれないわ。じゃないと今回の試験、モナーヒルの生徒に有利すぎる。公平性を考えたらこっちにも何か有利な点がないと」
「でもサン達は演技をしているようには見えなかったよ」
「そう?ピクニックとかはちょっとくさかったわよ」
「まあ言われてみれば…うーん、色々と考えたけど結局どうすればいいかってのは見つからなかったね」
「私は1つあるわ」
結局、何も結論はでなかったけど。
「サン達に交渉を持ちかけるのよ。ヒントを見せてもらう代わりに私達が解く。どのみちサン達も困っているはずだし」
「でも、洗脳されちゃうんじゃ」
「まあその時はその時よ。少なくともさっきはされなかったんだし。それに担任のゴルテマ先生も、私達は良きライバル、良き仲間であって欲しいって言ってたわ。クラスは違えどそれは変わらないと思うの」
「確かに…。このままじっとしているよりかはましかも。よしサン達を探そう」
「あっでも、もしもの時に一応作戦は立てておきましょ」
その後ゴニョゴニョと話し合い、私達はサン達を探すことにした。
さっきまでサン達を避けて行動していたので分からなかったが、よくよく周りを見てみると、光っている石がある方向に置かれているのがわかる。
サン達が蒔いた罠かもしれないが、私達はそれに従って進むしかなかった。
行き先は両親が待つ家か
それとも魔女が住むお菓子の家か。
ヘンゼルとグレーテルのお話を思い出しながら、私達は森の奥へと進むのであった。
「相手の進路を妨害して、幻の果実を目指すか、だね」
「ただ向こうは学年1位のサンがいる、人数的にも不利だし妨害は現実的じゃなさそう。仲間もどこにいるかわからないし」
「うーん、とりあえずヒントを探しましょう。敵チームは開始10分で仲間もヒントも全部見つけて解いたみたいだし。何かやり方があるはずよ」
私とネコはヒントを探すことにした。
といってもどこにあるかは皆目検討がつかないのだが。
さっきまで心地良かった森の演奏も
どんどん私達を焦らせる。
敵チームと別れてちょっとしか時間が経って無いはずだが、見つからない不安と相手の事が気になって仕方がない。
私は足を止めネコに話しかける。
「ねえネコ、ちょっといい?」
「どうしたの?もう疲れた?」
「ううん、そういえばさっき、サンは【ヒントは全部解いた】って言ってたよね?」
「うん」
「でも先生は【この森の所々にヒントを隠した】って言っていた」
「そうだけど、それが?」
「モナーヒルであるサン達は獣を扱うのが上手いから、もしかして最初に獣に頼んで仲間やヒントを全て見つけたのかも」
「ふむふむ」
「でもまだサン達はコミューンは操って居なかった。きっとヒントはコミューンの居場所を示唆するものだったと思うの」
「なるほど…」
「でもここで疑問が出てくる。サンや他の2人は誰が仲間か分からないから、人を見つけたら知らせるようにしたとしても、私達にもそれは当てはまるはず」
私はぶつぶつと続ける。
「でも私もネコもそんな獣はみなかったし、ましてやヒントもまだ見つかっていない。でもサン達は10分で見つけている」
「サンの杖で何かやったんじゃないの?学年1位だし、凄い能力のはずだよ」
「そう、もの凄い能力」
これが正しくないことを祈るが。
「サンの能力は洗脳。それも獣や人を含め複数可能なもの。理由は2つ。前回の試験の時もサンが圧倒的にAPを稼いでいたのにも関わらず、クラス合計は私達の方が上、つまり他は余り稼げてなかったこと」
でもそうとか考えられない。
「2つ、期末テスト開始前にクラス全員を洗脳していればどこに仲間がいることやヒントを見つけることは簡単だと思うの。勿論獣も操れる」
「それ、僕は考えたくないな」
ネコも私も汗がにじむ。
「うん、どんな風に洗脳するかは分からないけど、少なくともサンには気付かれないように行動しないと、、私達も簡単に洗脳されて何も出来なくなっちゃう」
「…じゃあ仲間を見つけてもあんまり見込みは無いね」
「え、どうして?」
「もしかしたらもう洗脳されてるかもしれないじゃないか。それにこんなに探しているのにサンも僕達も見付けられてないなんておかしいし」
「あ、確かに」
「あと、さっき言ったことが本当なら、獣達もみんな向こうの味方ってことだ。僕達の動きや情報も全部バレていて、泳がされているかも」
「この森には、私達以外、全員敵しか居ないってことなのね…」
サァァーーーー ヒュゥゥーーハァァァーーー
明るい暖かい森の筈なのに
暗く冷たい風が私達の間を通る。
全て仮説だが、筋が通りすぎている。
「と、とりあえず認識阻害の魔法をかけよう!」
『ナファレンス』!!
「これでとりあえずは監視されずにすみそうだ」
「ありがとうネコ。でもそう考えてみると、私達の前を偶然通りすぎたとは思えないね」
「うん、何かアピールしたくて通りすぎたんだと思う。その気になれば僕達を洗脳できたかもしれない。でも敢えて無理をせず泳がせた」
「ひょっとして敵チームへの武力行使に当たると思ってやめたとか?」
「うーん、でも暴力は振るわないし、ルール違反にはならなさう」
「確かにね…あっもしかして」
またさらに仮説が浮かぶ。
「モナーヒルの人たちって頭は余り良くはないのかも。獣を扱うのが得意な人たちが集まっているけど、頭が良いのはラ・スーメルに集まっているはず」
「まあ確かにもしかしかたらそうかも」
「そしたらヒントもそう簡単には解けないはず。仮にも期末テストのヒント。学園側も難しいのを出しているはず。それこそ魔法歴史学などを絡めたヒントとか」
「それじゃあ本当はヒントは解けてないかもってこと?」
「かもしれないわ。じゃないと今回の試験、モナーヒルの生徒に有利すぎる。公平性を考えたらこっちにも何か有利な点がないと」
「でもサン達は演技をしているようには見えなかったよ」
「そう?ピクニックとかはちょっとくさかったわよ」
「まあ言われてみれば…うーん、色々と考えたけど結局どうすればいいかってのは見つからなかったね」
「私は1つあるわ」
結局、何も結論はでなかったけど。
「サン達に交渉を持ちかけるのよ。ヒントを見せてもらう代わりに私達が解く。どのみちサン達も困っているはずだし」
「でも、洗脳されちゃうんじゃ」
「まあその時はその時よ。少なくともさっきはされなかったんだし。それに担任のゴルテマ先生も、私達は良きライバル、良き仲間であって欲しいって言ってたわ。クラスは違えどそれは変わらないと思うの」
「確かに…。このままじっとしているよりかはましかも。よしサン達を探そう」
「あっでも、もしもの時に一応作戦は立てておきましょ」
その後ゴニョゴニョと話し合い、私達はサン達を探すことにした。
さっきまでサン達を避けて行動していたので分からなかったが、よくよく周りを見てみると、光っている石がある方向に置かれているのがわかる。
サン達が蒔いた罠かもしれないが、私達はそれに従って進むしかなかった。
行き先は両親が待つ家か
それとも魔女が住むお菓子の家か。
ヘンゼルとグレーテルのお話を思い出しながら、私達は森の奥へと進むのであった。
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