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第3章 期末テスト好きな人いる?
期末テスト好きな人いる?③
しおりを挟む光る石に導かれ進んだ先は
巨大な洞窟の入り口だった。
「おー、やっとお出ましだ」
「おそいおそーい!」
「まあまあ、ここは友好的にいきましょ」
サン率いるチーム、モナーヒルの皆さんがお出迎えをしてくれた。
「どもども、優等生です」
「いやニナ、自分で言っちゃダメでしょ」
私とネコもとりあえず挨拶を交わす。
「それで、ヒントも全部解けた、みなさん方はここで何をしていらっしゃるのかしら。ピクニックにしてはビニールシートが見当たらないけど」
「ふっ、分かりきっている事を聞くほど、お互い暇ではないと思うが」
サンがこちらに近づいてくる。
「分かっているとは思うが俺の杖の能力は洗脳。ある程度の知能を持った生命を洗脳できる。獣は大体洗脳できるが、ゾンビや草木かどといったものは操れない」
「へぇ、随分親切に教えてくれるのね」
「まあ、お互い歩み寄らないとテストで良い点とれないだろう」
どんどん近づいてきて、ネコが身構える。
「おっと!そう構えなくても良い。先生から人への洗脳は禁止されているんだ。俺は本当にヒントを解いて、一緒にテストを解きたいだけなんだ」
そう言うとサンは口笛を吹き獣を呼ぶ。
ヒュー オィ オィ オィ オィ
ロトニが4、5体ほど来る。
ロトニとは頭は鳥、体はカエルの獣だ。
「おーヨシヨシ、私の可愛い下僕達よ」
「ロトニなんか集めて何をするんだ?」
「ふっ、君たちはこの森を探しまわったのに、ヒントの1つも見つからなかったのに違和感を感じなかったのかい?」
「な、どう言うことだ」
「ネコさん達はお勉強はできるらしいが、頭は回らないらしい。これをご覧」
そう言うとサンは
ロトニに対し魔法を唱える。
『ルースト』
するとロトニ達は動きを止め歌い出す。
~♪~
美味しい美味しいブドウさん♪
お菓子の家に置いてきた♪
太った生け贄差し出せば♪
ヘビがきっと丸飲みだ♪
最後に噛りつけるのは♪
たった1人の愚か者♪
~♪~
歌い終わるとロトニ達はどこかへ行ってしまった。
「先生もヒントを森の所々に隠すって言ってたけど、まさか獣に隠すとはな。ヒントが解けたのは本当だ。美味しいブドウは今回のお目当て、幻の果実。ヘビもコミューンの事だろう」
まさか獣に隠していたとは
通りで見付からないわけだ。
いやでもしかし
「コミューンも見当たらないし、お菓子の家やそれに最後の愚か者ってどういうこと?」
「それが解れば君達を呼ばないよ。何か授業で習ったことを使うんだろう」
サンが肩をすくめる。
まあ確かにそうか。
「ちょっと考えさせて」
「おっと、別に考えるのはいいが、ここから離れてもらっては困るし、ヒントが解けたら共有して貰わないと困る」
パチン
サンが指を鳴らすと
狂暴そうな獣達が出てくる。
「直接の武力行使は禁止されているが、獣達が勝手にやったとなればルール違反にはなるまい」
洗脳された獣達が唸り声をあげる。
「くっ、汚いぞ!」
「ふっ、作戦と言ってくれたまへ」
するとサンのチームの1人が前に出る。
「まあまあ、別に私達も危害を加えるつもりないし、人数いた方が解きやすいでしょ?一緒に協力しましょ。私はソニア。よろしくね」
「私はリンリンー!鳥と話せるのー!」
茶髪でポニーテールのソニア。
元気いっぱいのリンリン。
どうやらサン以外の二人は
友好的らしい
「とりあえず俺達は俺達で考えるから、そっちも何か解ったら言ってくれ」
一旦サン達と見える範囲で距離をとり
ネコと私は話し合う。
「どう?なんかピンときた?」
「うーん、授業と関係あるのなら、魔法歴史学の魔女の歴史【ヘンゼルとグレーテル】が関係ありそうだよね」
「まあ、お菓子の家とか言ってる位だし、そうなのかもね。でも授業でも軽くしか触れてなくない?みんな知っている物語って事で」
「そうだね、でも逆に平等を期すのならみんな知っているものから出すんじゃないのかな」
「なるほどね」
うーん。しかしあの物語を知っていた所で、今回のヒントが解けるとは思えない。
「そういえば先生はコミューンを操獣しつつ、ヒントを見つけてね、って言ってたけど、先にヒント見付かっちゃったのは何でだろう」
「確かに、、コミューンはいったいどこに居るんだろう」
「きっとサンが私達や仲間を探すために獣を片っ端から洗脳した結果、違和感を感じてこうなったとは思うんだけど、本来ならやり方が違うのかも」
「確かに、みんながみんな、獣にヒントが隠されてるとは思わないもんね、僕達もそうだったし」
「コミューンはヒントの隠し方よりもっと、ずっと簡単な隠し方で隠されているはず。誰にでも解るような、、初歩的なもの」
「うーん、、初歩的、、か」
「そして本来なら協力して解くことは考えられてないはず。コミューンへの妨害はありなんだから。少なくとも2匹はいるはず」
「うんうん」
「あとあの歌、コミューンが生け贄を食べる意味とかはあるのかしら。匂いだけではコミューンはもしかしたら解らないのかも」
「まあ何にせよ、コミューンを見付けないとね」
「ねえネコ、コミューンの好物とか知らないの?それで誘き寄せるとか」
「コミューンの好物はカエルの肉じゃなかった?授業でやった気がするよ」
「カエルか、、そういえばロトニも一応カエルね…よし、捌こう!」
「いやいや、もうどこか行っちゃったし。それにもしヒントがまだあったのなら、殺しちゃったら何も聞けなくなっちゃうよ」
「まあ、でも他に方法が…あっ」
もしかして、、
「コミューン、この森には居ないんじゃない?」
「またまた、もう諦めちゃったの?」
「いや違うわ。最初の試験もそうだったけど、岩を出すところから始めたと思うの。私達は正規のやり方じゃなかったけど、本来なら中級魔法で出してやってたはず」
「じゃあ今回もコミューンを出すのかい?生物を出す魔法なんて聞いたことないけど」
「ふふ、コミューンは出さないわ。そこら辺にいる獣をコミューンにさせるのよ。この森には色んな薬草が生えているのだから」
ハズミ草 チタン鉱石 グルグルの実
これらを取ってきて、混ぜ合わせる。
そして近くにいた獣に飲ませ
私は中級魔法書と杖を取り出し
『ターブ』!
魔法をかける。
するとみるみるうちに姿を変え
ウニッ ウニウニウニッ ウニョニョニョ パーーーン!!
コミューンに変化した。
「変化の魔法、魔法薬学で習ったわ。暗記は嫌いだったけど、グルグルの実って言う語感が良かったから覚えてたの」
「お、おー!ニナすごいじゃないか!ちゃんと勉強した甲斐があったね!」
うっ、本当にたまたま覚えてただけなのだが。
まあともかくこれで1つ目の課題はクリアした。
早速サン達に知らせる。
「なるほど、魔法薬学か。さすが優等生は違うな。ヒントももう知ってるし、あと少しだな!」
ワッハッハッ すごい上機嫌だ。
確かに試験はあと少しだと思う。
でもどこかまだ引っ掛かる所がある。
釜戸の中に入れられて
あとは焼かれて食べられる。
誰かがそう仕向けている
誰かは解らないのだけども。。。
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