悪い魔女

底に

文字の大きさ
20 / 119
第3章 期末テスト好きな人いる?

期末テスト好きな人いる?③

しおりを挟む

光る石に導かれ進んだ先は
巨大な洞窟の入り口だった。

「おー、やっとお出ましだ」

「おそいおそーい!」

「まあまあ、ここは友好的にいきましょ」

サン率いるチーム、モナーヒルの皆さんがお出迎えをしてくれた。

「どもども、優等生です」

「いやニナ、自分で言っちゃダメでしょ」

私とネコもとりあえず挨拶を交わす。

「それで、ヒントも全部解けた、みなさん方はここで何をしていらっしゃるのかしら。ピクニックにしてはビニールシートが見当たらないけど」

「ふっ、分かりきっている事を聞くほど、お互い暇ではないと思うが」

サンがこちらに近づいてくる。

「分かっているとは思うが俺の杖の能力は洗脳。ある程度の知能を持った生命を洗脳できる。獣は大体洗脳できるが、ゾンビや草木かどといったものは操れない」

「へぇ、随分親切に教えてくれるのね」

「まあ、お互い歩み寄らないとテストで良い点とれないだろう」

どんどん近づいてきて、ネコが身構える。

「おっと!そう構えなくても良い。先生から人への洗脳は禁止されているんだ。俺は本当にヒントを解いて、一緒にテストを解きたいだけなんだ」

そう言うとサンは口笛を吹き獣を呼ぶ。

ヒュー オィ オィ オィ オィ

ロトニが4、5体ほど来る。

ロトニとは頭は鳥、体はカエルの獣だ。

「おーヨシヨシ、私の可愛い下僕達よ」

「ロトニなんか集めて何をするんだ?」

「ふっ、君たちはこの森を探しまわったのに、ヒントの1つも見つからなかったのに違和感を感じなかったのかい?」

「な、どう言うことだ」

「ネコさん達はお勉強はできるらしいが、頭は回らないらしい。これをご覧」

そう言うとサンは
ロトニに対し魔法を唱える。

『ルースト』

するとロトニ達は動きを止め歌い出す。

~♪~

美味しい美味しいブドウさん♪

お菓子の家に置いてきた♪

太った生け贄差し出せば♪

ヘビがきっと丸飲みだ♪

最後にかじりつけるのは♪

たった1人の愚か者♪

~♪~

歌い終わるとロトニ達はどこかへ行ってしまった。

「先生もヒントを森の所々に隠すって言ってたけど、まさか獣に隠すとはな。ヒントが解けたのは本当だ。美味しいブドウは今回のお目当て、幻の果実。ヘビもコミューンの事だろう」

まさか獣に隠していたとは
通りで見付からないわけだ。
いやでもしかし

「コミューンも見当たらないし、お菓子の家やそれに最後の愚か者ってどういうこと?」

「それが解れば君達を呼ばないよ。何か授業で習ったことを使うんだろう」

サンが肩をすくめる。

まあ確かにそうか。

「ちょっと考えさせて」

「おっと、別に考えるのはいいが、ここから離れてもらっては困るし、ヒントが解けたら共有して貰わないと困る」

パチン 
サンが指を鳴らすと
狂暴そうな獣達が出てくる。

「直接の武力行使は禁止されているが、獣達が勝手にやったとなればルール違反にはなるまい」

洗脳された獣達が唸り声をあげる。

「くっ、汚いぞ!」

「ふっ、作戦と言ってくれたまへ」

するとサンのチームの1人が前に出る。

「まあまあ、別に私達も危害を加えるつもりないし、人数いた方が解きやすいでしょ?一緒に協力しましょ。私はソニア。よろしくね」

「私はリンリンー!鳥と話せるのー!」

茶髪でポニーテールのソニア。
元気いっぱいのリンリン。

どうやらサン以外の二人は
友好的らしい

「とりあえず俺達は俺達で考えるから、そっちも何か解ったら言ってくれ」

一旦サン達と見える範囲で距離をとり
ネコと私は話し合う。

「どう?なんかピンときた?」

「うーん、授業と関係あるのなら、魔法歴史学の魔女の歴史【ヘンゼルとグレーテル】が関係ありそうだよね」

「まあ、お菓子の家とか言ってる位だし、そうなのかもね。でも授業でも軽くしか触れてなくない?みんな知っている物語って事で」

「そうだね、でも逆に平等を期すのならみんな知っているものから出すんじゃないのかな」

「なるほどね」

うーん。しかしあの物語を知っていた所で、今回のヒントが解けるとは思えない。

「そういえば先生はコミューンを操獣しつつ、ヒントを見つけてね、って言ってたけど、先にヒント見付かっちゃったのは何でだろう」

「確かに、、コミューンはいったいどこに居るんだろう」

「きっとサンが私達や仲間を探すために獣を片っ端から洗脳した結果、違和感を感じてこうなったとは思うんだけど、本来ならやり方が違うのかも」

「確かに、みんながみんな、獣にヒントが隠されてるとは思わないもんね、僕達もそうだったし」

「コミューンはヒントの隠し方よりもっと、ずっと簡単な隠し方で隠されているはず。誰にでも解るような、、初歩的なもの」

「うーん、、初歩的、、か」

「そして本来なら協力して解くことは考えられてないはず。コミューンへの妨害はありなんだから。少なくとも2匹はいるはず」

「うんうん」

「あとあの歌、コミューンが生け贄を食べる意味とかはあるのかしら。匂いだけではコミューンはもしかしたら解らないのかも」

「まあ何にせよ、コミューンを見付けないとね」

「ねえネコ、コミューンの好物とか知らないの?それでおびき寄せるとか」

「コミューンの好物はカエルの肉じゃなかった?授業でやった気がするよ」

「カエルか、、そういえばロトニも一応カエルね…よし、捌こう!」

「いやいや、もうどこか行っちゃったし。それにもしヒントがまだあったのなら、殺しちゃったら何も聞けなくなっちゃうよ」

「まあ、でも他に方法が…あっ」

もしかして、、

「コミューン、この森には居ないんじゃない?」

「またまた、もう諦めちゃったの?」

「いや違うわ。最初の試験もそうだったけど、岩を出すところから始めたと思うの。私達は正規のやり方じゃなかったけど、本来なら中級魔法で出してやってたはず」

「じゃあ今回もコミューンを出すのかい?生物を出す魔法なんて聞いたことないけど」

「ふふ、コミューンは出さないわ。そこら辺にいる獣をコミューンにさせるのよ。この森には色んな薬草が生えているのだから」

ハズミ草 チタン鉱石 グルグルの実
これらを取ってきて、混ぜ合わせる。

そして近くにいた獣に飲ませ

私は中級魔法書と杖を取り出し

『ターブ』!

魔法をかける。

するとみるみるうちに姿を変え

ウニッ ウニウニウニッ ウニョニョニョ パーーーン!!

コミューンに変化した。

「変化の魔法、魔法薬学で習ったわ。暗記は嫌いだったけど、グルグルの実って言う語感が良かったから覚えてたの」

「お、おー!ニナすごいじゃないか!ちゃんと勉強した甲斐があったね!」

うっ、本当にたまたま覚えてただけなのだが。

まあともかくこれで1つ目の課題はクリアした。

早速サン達に知らせる。

「なるほど、魔法薬学か。さすが優等生は違うな。ヒントももう知ってるし、あと少しだな!」

ワッハッハッ すごい上機嫌だ。

確かに試験はあと少しだと思う。
でもどこかまだ引っ掛かる所がある。

釜戸かまどの中に入れられて
あとは焼かれて食べられる。

誰かがそう仕向けている
誰かは解らないのだけども。。。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...