悪い魔女

底に

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第3章 期末テスト好きな人いる?

洞窟の中好きな人いる?②

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「1匹ー2匹ー3匹ーよー」

「リンリン数えなくても分かるよ」

「ああ、答えはいっぱい、だ」

「これってやばくない?」

「と、とりあえず逃げよう!」

サン達は来た道を戻ろうとする。

しかし乗っていたコミューン達も
興奮して言うことを聞かない。

『キャリー』!『キャリー』!!

シャァァア ズズズズ ブゥン ブゥン

「だめだ!言うことを聞かない!」

操獣に手間取っていたら
いつの間にか
来た道も塞がれて閉まっていた。

「コミューンくらいの洗脳なら余裕でしょ?特待生さん」

「勿論、俺の杖は全ての洗脳系の杖の上位互換に位置する。それくらいは簡単さ。でも魔力がまだ足りないから洗脳できる数も限られているんだ」

「へぇー、具体的にはどれくらい?」

「まあ出来て5匹くらいかな。大きさやその個体の強さによっても魔力は前後するんだ。これ教えたのはお前だけだよ」

「それは大変貴重なお話ありがとうございます!」

『ロイス・ファッセ』!

ネコは炎の呪文を唱えて牽制していく。

「俺らもやるぞ!」

『ネウマリ』!
サンの洗脳魔法 
コミューン同士を戦わせる。

『サンドウィッチ』!
リンリンの得意魔法
転がっている岩と岩を選び
コミューンを挟む。

『コーデ』!
ソニアの得意魔法
コミューンを毒の衣で包む。

キシャァァ デンデン!バシィーン! フワフワフワ

「だめだ!数が多すぎる!」

倒せど倒せど
コミューンはどんどんでてくる。

「こんな時、ニナなら、、」

これは試験なのか
どんなにピンチになっても
先生はやってこない。

助けを呼ぶ声も
コミューンの鳴き声に
搔き消されたのだった。


~そのころニナは~

「やっほー!」

ヤッホー

遊んでいた。

「響くねー、、暇だなあー」

もしかして、みんなもう
葡萄ぶどうを手に入れちゃっているのかな。

隠れんぼをしていて
1人だけ置いてけぼりで
みんな帰っちゃう時の気分だ。

分かる人には分かる。

「でもあのままコミューンで葡萄見付けちゃったらヒント全然解かずに終わっちゃう事になるし、、まだ何かあるはず」

太った生け贄、、
たった1人の愚か者、、

「うーん!全然分からないー!」

私はその辺にあった石を
腹いせに投げる。

ヒョイ シューー カコン! ガラッ ガラガラガラ

ゴゴゴゴゴゴゴ ガシーン

石を投げた拍子に
当たった所から銅像が出てきた。

「な、何これ」

左手には食べかけのパン
普通の中年の男性の銅像。

下のプレートには名前が彫られており

「んー、何々【常にお腹をすかせている男】?どういうことだろう」

右手は手のひらを広げ
こちらに手を差し伸べている。

「…お手、、違うか。ネコでもあるまいし」

私は疲れていたので
ちょっと銅像に寄りかかり
休もうとする。

ハァーツカレタ トン ズズズズ エエッ!

少し寄りかかっただけで
銅像は動いてしまった。

「意外と軽いなこの銅像、、でもこれじゃあ休めないや。はぁ、、仕方ない、先に進もう」

何となく私は銅像を押しながら
洞窟の奥へ進んでいった。


~そしてサン達は~

コミューンに囲まれている。

「もうだめだー!」

コミューンが襲いかかるその時

「リンリン良い方法思い付いちゃった」

リンリンが杖を取り出す。

『バイキング』!!

ゴゴゴゴ ドン! ドン! バーーン!

大きな船があらわれ、船の上には
大量のハチミツがある。

するとコミューン達は我先に船に乗り
ハチミツを食べていく。

「えへへ~コミューンはヘビだから蛙が好きだけど、蝶でもあるからハチミツも好きかなって。これで注意は逸らせたね」

「リンリン、、すごいね」

「わーい!もっとほめてほめてー!」

コミューン達は一通り食べ終わると
船の上で眠ってしまった。

「おいネコ見ろ!コミューン達がいたところの奥に、扉があるぞ!行ってみよう!」

「おう!」

サン達はコミューンが起きないように
扉へそーっと向かい、開ける。

ガチャ キィィィィ 

「こ、ここは」

「すごーい!お菓子がいっぱい!」

「そうね、ここはどうやらお菓子の家みたいだわ」

「ということはここに幻の果実、【グルジアの葡萄】があるのか?」

「そうかもしれない、、おい、あの宝箱怪しくないか?」

部屋の奥には小さな宝箱が
サン達は恐る恐る開けてみる。

パカッ デーン!

中には普通の葡萄が置いてあった。

「こ、これがグルジアの葡萄?」

「そうらしい、、僕も普通の葡萄にしか見えないよ」

「私もさわりたーい!」

「こらっ、リンリン我慢しなさい」

「あれ、、ちょっと待て、、何か揺れてないか?」

「地震かなー?」

「いやこれは、、家が崩れ出している!急いでここから出ないと!」

崩れ落ちてくる板チョコ(屋根)
倒れるクッキー(壁)

サン達は何とか無事に
お菓子の家から出れた。

「ふー、危なかった。これで期末テスト終わりか、、色々とあったけど意外と簡単だったなー」

「おいおい、そんなフラグを立てていくなって」

ハハハハハ アーハッハッハッ シュルル ハッハッ ハ?

ゆっくりと後ろを振り返る。

先程のお菓子の家の崩壊の音で
コミューン達が起きてしまっていた。

「「「「ギャァーー!!!」」」」

「リンリン!もう一回さっきの魔法!」

「もう魔力残ってないよー」

「食べるならネコの方が身があるよ!」

「おい!僕を売るな!」

揉めるサン達
もうリンリンの魔法は使えない。

先生が来るかどうかはわからないが
多分あのままでは食べられていた。

私が来なかった場合は

『キャリー』!!

大勢のコミューンを前に私は言った。

通常ならコミューンの鳴き声で
搔き消され魔法も効かない。

しかし私の魔法はそもそも
コミューンには聞かずに怒らせる。

興奮状態だったコミューンは
さらに興奮し暴れだす。

私を襲おうとするが
お互いに頭をぶつけ合い気絶する。

「今のうちにこっちに来て!」

サン達は一斉に私の方に駆け寄る。

暴れ狂うコミューン
それに当たって飛び散る岩の破片

それでも走るしかなかった。

「早く!あとちょっと!」

ネコ、リンリン、ソニアが無事に着く

しかしサンは手こずっていた。

「お、俺は自分で動くのは苦手なんだよぉぉーー!あっ!!」

石につまずき転ぶ。
転んだ拍子に手に持っていた
グルジアの葡萄が宙へ舞う。

「あー!グルジアの葡萄が!!」

クルクルクルクル トン

葡萄は回転し
持ってきていた銅像の右手に乗った。

すると銅像は突然動きだし
葡萄を ムシャリ ひとかじ

「銅像が、動いた」

ゴゴゴゴゴゴゴ カーーン! カーーン!

[~試験終了!試験終了!生徒は銅像にしがみついてください~]

銅像から音がなり
終了の合図が出された。

「みんな!しがみついて!」

腕や肩、足にしがみつく。

銅像はみるみる大きくなり
洞窟を突き破ろうとしていく。

「ま、待ってくれー!」

サンがまだ転んだ状態になっている。

「どうしよう!サンが!」

「ちょっとネコ、あなたを借りるよ」

「え?」

私は杖を取り出し

『キャリー』!!

ネコは四つん這いになり
私はその上にまたがる。

タッタッタッタッ バッ!

「サン!手を出して!」

ガシッ ダッダッダッ ハッ! ピョーーーン!!

何とか銅像の足元にジャンプできた。

「た、助かったー。ありがとうニナ」

「お礼ならネコにね」

「やれやれ、ネコ使いが荒い人だ」

はぁ、、これでやっと、、

「あっ!あれ!杖がない!」

サンが騒ぎだす。

「転んだ拍子に落としちゃったんだ!」

「あ、あそこにある!」

杖がちょうどクッキー破片の上に落ちてある。

しかし地面はどんどん離れていく。

「誰か杖を取ってくれ!頼む!特待生用でこの世に1本しかないんだ!」

「無理だ!危険すぎる!」

「そ、そんな、、俺の存在意義が…」

泣き崩れるサン

はぁ…

「しょうがないわね」

トゥ!

私は飛び、地面に転がり落ち
杖を拾う

「ネコ!葡萄を投げて!」

「え、どうして?」

「いいから早く!」

ネコは右手に登り、葡萄を持ち

「いくよニナ!」

ブン! ヒューー ガシッ

私は無事に受け取った。

浮遊の魔法はまだ習っていない。

「あーあ、もっと勉強してればな」

こんなギャンブルしなくていいのに

私は葡萄をひと噛り

ムクムクムクムクムクムク 

私は大きくなり銅像と同様
洞窟を突き破り地上へ出る。

「ふー、、これ元に戻るのかしら」

やれやれ、魔法で何とかしてもらいよ

「まあ1時間もあれば戻るよ」

バッサバッサ 

鳥に掴まりながら先生が空を飛び
私にそう伝える。

「試験は終わりだった。杖のため、しかも他クラスの人の杖だ。全く、、君は愚かな事をした」

先生はゆっくりと話す。

「しかし、どうやら最後に葡萄を手にしたのはラ・スーメルのクラスらしい」

バッサ バッサ

「よって、今回の勝者はラ・スーメル!!」

本当にこれで終わりらしい。

私は安心からか
立ったまま気を失った。

大きくなった身体で倒れた為
森を大きく破壊していく。

ズゴゴゴゴゴ ドシィーーン!!!

倒れながら
ネコやサン達の喜びと疲労の顔が見れ

(またあとでね)

心の中で再会を約束した。


こうして長かった期末テストは
幕を閉じたのだった。
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