30 / 119
第4章 ヴァイナー杯って何なんだ!?
パール遺跡って何なんだ!?
しおりを挟む「こ、ここは…」
目の前に広がるのは砂漠
そして多くの遺跡だった。
恐い獣の顔をした巨大な石像。
不規則に並べられた大岩。
遺跡の入り口と思われるところが
何ヵ所もある。
「さて、みなさん転移しましたね!ここはパール遺跡、こことは違う大陸にあります。遺跡の中には数多くのカラクリがあるとか無いとか、、とにかく、今回はカクレンボ!隠れて探してみつけちゃってー!!」
みんな遺跡の規模に圧倒されている。
こんなのどこに隠れれば…
「ではでは!早速、第1試合スタートです!!」
ゥイーーーン ガシャン ガシャン カーーーン
巨大な時計が出てきて
タイムリミットを刻む。
【残り1時間10分】
カチッ カチッ カチッ カチッ
「隠れる側のみなさん、じゃんじゃん隠れちゃって下さいねー!ただし、半径3kmのこの円から出たらダメです。赤い線が引いているので越さないように気をつけてくださーい!」
半径3m、、十分だ。
遺跡の中にも隠れるし、
さすがにこれは隠れる側が有利かも。
転移先に並べられた使役獣の中から
ポコみつけ、鉢巻きとなり、乗る。
『トランス』!
ギュゥイ ギュゥイ ギュッギュッ バーン!
「よし、行くよポコ!」
「おっけー!」
ピョーン ピョーン ピョーーーン
みんな一斉に散り散りになる。
私とポコはとりあえず赤い線の
際の所まで行ってみることにした。
ポコなら10分あれば3km先まで行ける。
もし着かなくてもすぐには追い付かれない筈だ。
ポコは軽快にジャンプしながら飛んでいく。
意外に会場は遺跡で入り組んでおり
真っ直ぐには進めないため
半分を少し過ぎた辺りで探す側がスタートを切った。
「よしポコ、ここの遺跡に入ろ!」
「あいよ!」
目の前にあった細長い円筒状の遺跡に入る。
中は狭く、螺旋階段が上まで続いている。
ひとまずてっぺんまで上ってみることにした。
ピョン ピョン ピョン ピョン
結構上まで上がっていく。
「それにしてもよかったね、最初が戦闘形式の試合とかじゃなくて」
「ほんとだよ!オイラ全然戦えないんだから」
「分かってるって。この試合だけは頑張ろ」
ポコと会話しながら円筒の頂上につく。
少し身を屈め、会場全体を見下ろせるような体勢をとった。
「ふむふむ、ここが一番高い遺跡って感じだね。一応みんなの様子がみれるよ」
「探す側30人っていっても、この広い会場だと探すのも大変だろうね」
「まあでも向こうも見つけるだけでいいから、遠くに離れていても、獣の視力なら見つかって危ないと思うよ」
「まあそうかもね、、とりあえず私達はここで待機してましょ」
遠くでは青い鉢巻きを巻いた獣達が
辺りをうろついている。
ナシコの霧で隠れていた人も
獣達の嗅覚によりすぐに見つかっていた。
「どんどん人数が減っていく…」
「みてニナ、時計の下に何か数字が書いてあるよ」
タイムリミットの下に隠れる側の残り人数が表示されている。
【残り時間、30分、残り人数、5人】
、、、えっ?
「も、もうあと5人!?」
「やばいよ!まだ半分以上時間が残っているよ!」
会場のモニターから実況、ドーズが現れる。
「さあ試合開始から30分経過しました!残りあと半分!これは探す側のチームが今のところ優勢ですね。どうですか解説、エミオンさん!」
「うむ!やはり開始前10分の作戦会議が功を奏したのだ!モナーヒルのサン、ラ・スーメルのネコをリーダーに的確な指示の元みな動けておるのだ!」
「では、もう探す側の勝ちが近い、と言うことですかね」
「そうともいえないのだ!あの2人の頭脳、使役獣への高度な魔法を持ってしても見つけられない5人。最後まで分からないのだ!」
「なるほど、両者まだまだ分からず、と言うことですね!それでは残り半分を切りました!皆さま頑張ってくださいねー!!」
プツン モニターが切れた。
「向こうはサンやネコ、他にも強そうな生徒が残っていたね」
「でも逆に言うと、ここで勝てば2試合目には居ないということだから、、今はピンチでもあり、チャンスでもある」
「ニナは相変わらず楽観的だね」
「ふふ、そうかもね」
この広大な地形
奥行きの分からない遺跡
簡単に全員は見つけきれない。
しかし相手は後半になるにつれ
探すところは減るが、人数は減らないので有利になるのは間違いない。
おまけにトランシーバーでの連携で
1度見つかったら逃げ切ることは不可能だろう。
どうしようかな、、
考えているうちに
「ニナ!誰か登ってきてる!」
カッ カッ カッ カッ カッ
ポコがいち早く足音に反応した。
「この音は、、ガバキの爪の音。どんどん近づいてくるよ!」
カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ
「どうしようニナ!ここ逃げるところなんてないし!隠れるところもないよ!」
「誰がこんな所登ろうなんていったの!」
「ニナだよ!」
そういえば私だった。
カッ カッ カッ カッ カッ
カチッ カチッ カチッ カチッ
タイムリミットと足音が共鳴する。
ここに来たのは偶然か
それともネコ達の作戦か
袋の鼠となった私は
ただ怯えることしかできなかったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
