悪い魔女

底に

文字の大きさ
42 / 119
第4章 ヴァイナー杯って何なんだ!?

304号室には何がある!?

しおりを挟む
突然の悲鳴、また隣の部屋からだ。

「ベガ……大丈夫よね」

スピーカーでドーズから今回減った部屋の番号が知らされる。

「2回目の減少時間です。今回無くなったのは、202、205、301、909、910、1001~1005号室の10部屋です!そしてプラム君は909号室に居た為、プラム君はここで敗退となります!お疲れ様でした!」

プラム君、、たしか敗者復活で上がってきた中の1人だ。

ということはベガは無事らしい。

私は急いで隣の部屋へ向かう。

ガチャッ

「大丈夫!?ベガ!」

「う、うん何とかね」

ネコも遅れて来る。

「ベガ、大丈夫か?」

「ありがとうネコ、見ての通り平気さ」

「あの悲鳴は何だったの?」

「あー、ちょっと机の角に小指をぶつけてしまったんだ。あまりにも痛くてね。紛らわしくてごめん」

「そ、そう。まあ無事でなによりだわ」

「それよりこれを見てくれ!机の引き出しの底の板を外したら、これがあったんだ!」

ベガは古い紙束を取り出した。

 ъ DIARY ENDOR ъ

「エンドルの日記?」

「何か変だなと思ってよくよく調べたらこれがでてきたんだ」

「やっぱり!私も変に感じたのよね!」

「ベガ、中身は読んだのかい?」

「いや、まだだよ。ロビーに行ってみんなで見よう」

私とネコとベガはロビーへと向かう。

「あ、ベガっち!大丈夫だったんだね!」

「うん、ありがとう」

「ベガがこれを見つけたのよ」

日記をみんなの中央に置く。

「エンドルの日記、、、」

「早速開いていこう」

紙はボロボロで所々破けているが
ギリギリ読めることは読める。

大体こんな内容だった。

⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿

4月1日 新しい季節が来た。心機一転、私はこの日記を書くことにします。いつか運命的な出会いがありますように

~~~~~~~~~~~~~~~~~

5月6日 紙袋に入ったリンゴを大量に落としてしまった。でも優しい彼が助けてくれた。とても親切な人だった。また会いたいな。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

5月13日 たまたま立ち寄ったレストランで、再び彼と出会った!先日のお礼に一緒にご飯を食べ、とても濃厚な時間を過ごした。ああ、もしかしてこれが運命なのかもしれない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

6月2日 彼との初デート。少しぎこちなかったけど、すごく楽しかった。お付き合いの返事はもちろんOK。今私、とても幸せだわ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

6月24日 福引きで2泊3日ホテルのチケットが当たった。有名なあのホテルに泊まれるなんて!最近は幸せ続きだわ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~

7月4日 ついにホテル宿泊1日目、彼とは別の部屋になってしまったけれども、明日は朝から観光するから全然問題ない!早く明日にならないかな。

7月5日 信じられない!彼が私の事を裏切っていた!許せない。許せない。許せない。絶対に許せない…許さない。

⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿

日記はここで終わっていた。

7月5日、エンドルが亡くなっていた日。日記を書いた後に何があったのだろうか。

「うわぁ、、痴情のもつれ?ってやつ?」

「エンドルの彼氏が殺しちゃったのかな?」

「もしかしたらそうかもね…」

ズーーン 私達は暗い空気に包まれる。

「はいはーい!落ち込んでもしょうがないと思うの!何とかして部屋の法則を解かないと!」

クライが元気よく私達に言った。

「うん、、うん!そうだね!」

「でも、部屋の号数に何か規則性があるとは思えないよね?完全にランダムっぽい」

「だがドーズは法則に従って減ってると言っていた」

「むむむむ」

みんな頭を抱える。
数字以外に何か法則があるのかも。

「ピリア難しい話よくわかんないー。ベガ暇だから遊ぼうよー」

「ダーメ!試験が終わってからね」

「えーー!あーあ、早く脱落したいな。次になくなる部屋はどこなのー?」

「それが分かれば苦労しないよ」

相変わらずピリアはマイペースだ。

無くなる部屋、、そういえば…

「…そういえばお客様リスト、あったよね?無くなった部屋と名簿を照らし合わせてみると、何か分かるかも」

「お、確かに。見てみよう」

お客様リストを広げる。

「えーっと、マスカル、ホーサスにジンネ…グラトにモティーニ、サウル、、、ダメだ。全然分からない」

「特に関係ないのかも。エンドルの彼氏の名前さえ分かればその部屋に何かあるかもしれないのに」

「でも恐らくまだ残っているはずだよ。エンドルに関する法則なのは間違いない。ヒントとなる部屋は残るはずだ」

「よし、各部屋をみんなで分担してもう一度探してみよう!」

手がかりが少ない為、私達は当てずっぽうで調べることにした。

私も残っている部屋を調べに行こうとした。でもその前に【陽気な厠の住人】シャルガフに会いに行くことにした。

トン キィィィィィ 

「シャルガフさーん、いますかー」

シーーン

「あれー、、居ないのかな」

私は1つずつトイレの個室のドアを開けていく。

キィィィィィ …いない

キィィィィィ …ここもいない

そして最後のドアを開けようとする。

キィィィィィ …























誰もいない。

ホッ と息をついたの束の間

「ハーイ!お呼びかなお嬢さん」

隣の個室のドアからまた ニョッキ
頭だけ出してきた。

「うわああ!!!びっくりした!」

「ハッハッハ!ナイス表情!亡霊冥利に尽きるね!」

「…◯す」

「おやおや、女の子がそんな汚い言葉使ってはいけませんよ~」

「ふん!そんなことより、エンドルの事なんだけど」

「ああ、だからワシには答えられる事などないと言っていいるんだ」

「エンドルの彼氏の名前は?」

「知らない」

「あの日、エンドルが亡くなって日、何があったの?」

「知らない」

「もう!絶対に知ってるでしょ!」

「知らないもんは知らない。諦めて運だけで試験を乗り切るんだな。エンドルの呪いにかかりたくなければ、、もう2人も被害が出ている」

「2人?シロナはともかく、プラムは″304号室″にいなかったわ」

「いいや、プラムというやつも確実にエンドルの呪いにかけられておる。そうだな、、仕方ない、トイレ姿を見てしまったということもあるし、彼氏の名前だけでも言ってやるか」

「ほんと!ありがとう!」

「ただし、もうエンドルには関わるな。また誰かやられるぞ。いいかい」

「うん、わかったから早く!」

「絶対わかってないやつじゃん、、まあいい。エンドルの彼氏の名前は【サウル】だ」

「え、【サウル】って…」

「ハッハッハ!頑張るのだよ、お嬢さん。最後にこの言葉を送ろう」

~真実の追求は、誰かが以前に信じていた全ての“真実”の疑いから始まる。~

そう言い残し、シャルガフはまた消えていった。

「真実の追及…」

私はとりあえずロビーに向かった。

しかし時間になっても誰も来なかった。

選択時間終了まで残り5分。

私は仕方なく″303号室″へと向かう。

「みんなどうしたんだろう」

選択時間終了1分前、再び隣から悲鳴があがる。

キャァァァァァア!!!

女の子の声だ!

「ソニア!クライ!!」

まさかまたエンドルの呪いが…

シャルガフが言った言葉を反芻はんすうしながら、私はまた、次の選択時間まで待つしか出来なかったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...