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第4章 ヴァイナー杯って何なんだ!?
304号室には何がある!?
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突然の悲鳴、また隣の部屋からだ。
「ベガ……大丈夫よね」
スピーカーでドーズから今回減った部屋の番号が知らされる。
「2回目の減少時間です。今回無くなったのは、202、205、301、909、910、1001~1005号室の10部屋です!そしてプラム君は909号室に居た為、プラム君はここで敗退となります!お疲れ様でした!」
プラム君、、たしか敗者復活で上がってきた中の1人だ。
ということはベガは無事らしい。
私は急いで隣の部屋へ向かう。
ガチャッ
「大丈夫!?ベガ!」
「う、うん何とかね」
ネコも遅れて来る。
「ベガ、大丈夫か?」
「ありがとうネコ、見ての通り平気さ」
「あの悲鳴は何だったの?」
「あー、ちょっと机の角に小指をぶつけてしまったんだ。あまりにも痛くてね。紛らわしくてごめん」
「そ、そう。まあ無事でなによりだわ」
「それよりこれを見てくれ!机の引き出しの底の板を外したら、これがあったんだ!」
ベガは古い紙束を取り出した。
ъ DIARY ENDOR ъ
「エンドルの日記?」
「何か変だなと思ってよくよく調べたらこれがでてきたんだ」
「やっぱり!私も変に感じたのよね!」
「ベガ、中身は読んだのかい?」
「いや、まだだよ。ロビーに行ってみんなで見よう」
私とネコとベガはロビーへと向かう。
「あ、ベガっち!大丈夫だったんだね!」
「うん、ありがとう」
「ベガがこれを見つけたのよ」
日記をみんなの中央に置く。
「エンドルの日記、、、」
「早速開いていこう」
紙はボロボロで所々破けているが
ギリギリ読めることは読める。
大体こんな内容だった。
⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿
4月1日 新しい季節が来た。心機一転、私はこの日記を書くことにします。いつか運命的な出会いがありますように
~~~~~~~~~~~~~~~~~
5月6日 紙袋に入ったリンゴを大量に落としてしまった。でも優しい彼が助けてくれた。とても親切な人だった。また会いたいな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
5月13日 たまたま立ち寄ったレストランで、再び彼と出会った!先日のお礼に一緒にご飯を食べ、とても濃厚な時間を過ごした。ああ、もしかしてこれが運命なのかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
6月2日 彼との初デート。少しぎこちなかったけど、すごく楽しかった。お付き合いの返事はもちろんOK。今私、とても幸せだわ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
6月24日 福引きで2泊3日ホテルのチケットが当たった。有名なあのホテルに泊まれるなんて!最近は幸せ続きだわ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~
7月4日 ついにホテル宿泊1日目、彼とは別の部屋になってしまったけれども、明日は朝から観光するから全然問題ない!早く明日にならないかな。
7月5日 信じられない!彼が私の事を裏切っていた!許せない。許せない。許せない。絶対に許せない…許さない。
⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿
日記はここで終わっていた。
7月5日、エンドルが亡くなっていた日。日記を書いた後に何があったのだろうか。
「うわぁ、、痴情のもつれ?ってやつ?」
「エンドルの彼氏が殺しちゃったのかな?」
「もしかしたらそうかもね…」
ズーーン 私達は暗い空気に包まれる。
「はいはーい!落ち込んでもしょうがないと思うの!何とかして部屋の法則を解かないと!」
クライが元気よく私達に言った。
「うん、、うん!そうだね!」
「でも、部屋の号数に何か規則性があるとは思えないよね?完全にランダムっぽい」
「だがドーズは法則に従って減ってると言っていた」
「むむむむ」
みんな頭を抱える。
数字以外に何か法則があるのかも。
「ピリア難しい話よくわかんないー。ベガ暇だから遊ぼうよー」
「ダーメ!試験が終わってからね」
「えーー!あーあ、早く脱落したいな。次になくなる部屋はどこなのー?」
「それが分かれば苦労しないよ」
相変わらずピリアはマイペースだ。
無くなる部屋、、そういえば…
「…そういえばお客様リスト、あったよね?無くなった部屋と名簿を照らし合わせてみると、何か分かるかも」
「お、確かに。見てみよう」
お客様リストを広げる。
「えーっと、マスカル、ホーサスにジンネ…グラトにモティーニ、サウル、、、ダメだ。全然分からない」
「特に関係ないのかも。エンドルの彼氏の名前さえ分かればその部屋に何かあるかもしれないのに」
「でも恐らくまだ残っているはずだよ。エンドルに関する法則なのは間違いない。ヒントとなる部屋は残るはずだ」
「よし、各部屋をみんなで分担してもう一度探してみよう!」
手がかりが少ない為、私達は当てずっぽうで調べることにした。
私も残っている部屋を調べに行こうとした。でもその前に【陽気な厠の住人】シャルガフに会いに行くことにした。
トン キィィィィィ
「シャルガフさーん、いますかー」
シーーン
「あれー、、居ないのかな」
私は1つずつトイレの個室のドアを開けていく。
キィィィィィ …いない
キィィィィィ …ここもいない
そして最後のドアを開けようとする。
キィィィィィ …
誰もいない。
ホッ と息をついたの束の間
「ハーイ!お呼びかなお嬢さん」
隣の個室のドアからまた ニョッキ
頭だけ出してきた。
「うわああ!!!びっくりした!」
「ハッハッハ!ナイス表情!亡霊冥利に尽きるね!」
「…◯す」
「おやおや、女の子がそんな汚い言葉使ってはいけませんよ~」
「ふん!そんなことより、エンドルの事なんだけど」
「ああ、だからワシには答えられる事などないと言っていいるんだ」
「エンドルの彼氏の名前は?」
「知らない」
「あの日、エンドルが亡くなって日、何があったの?」
「知らない」
「もう!絶対に知ってるでしょ!」
「知らないもんは知らない。諦めて運だけで試験を乗り切るんだな。エンドルの呪いにかかりたくなければ、、もう2人も被害が出ている」
「2人?シロナはともかく、プラムは″304号室″にいなかったわ」
「いいや、プラムというやつも確実にエンドルの呪いにかけられておる。そうだな、、仕方ない、トイレ姿を見てしまったということもあるし、彼氏の名前だけでも言ってやるか」
「ほんと!ありがとう!」
「ただし、もうエンドルには関わるな。また誰かやられるぞ。いいかい」
「うん、わかったから早く!」
「絶対わかってないやつじゃん、、まあいい。エンドルの彼氏の名前は【サウル】だ」
「え、【サウル】って…」
「ハッハッハ!頑張るのだよ、お嬢さん。最後にこの言葉を送ろう」
~真実の追求は、誰かが以前に信じていた全ての“真実”の疑いから始まる。~
そう言い残し、シャルガフはまた消えていった。
「真実の追及…」
私はとりあえずロビーに向かった。
しかし時間になっても誰も来なかった。
選択時間終了まで残り5分。
私は仕方なく″303号室″へと向かう。
「みんなどうしたんだろう」
選択時間終了1分前、再び隣から悲鳴があがる。
キャァァァァァア!!!
女の子の声だ!
「ソニア!クライ!!」
まさかまたエンドルの呪いが…
シャルガフが言った言葉を反芻しながら、私はまた、次の選択時間まで待つしか出来なかったのだった。
「ベガ……大丈夫よね」
スピーカーでドーズから今回減った部屋の番号が知らされる。
「2回目の減少時間です。今回無くなったのは、202、205、301、909、910、1001~1005号室の10部屋です!そしてプラム君は909号室に居た為、プラム君はここで敗退となります!お疲れ様でした!」
プラム君、、たしか敗者復活で上がってきた中の1人だ。
ということはベガは無事らしい。
私は急いで隣の部屋へ向かう。
ガチャッ
「大丈夫!?ベガ!」
「う、うん何とかね」
ネコも遅れて来る。
「ベガ、大丈夫か?」
「ありがとうネコ、見ての通り平気さ」
「あの悲鳴は何だったの?」
「あー、ちょっと机の角に小指をぶつけてしまったんだ。あまりにも痛くてね。紛らわしくてごめん」
「そ、そう。まあ無事でなによりだわ」
「それよりこれを見てくれ!机の引き出しの底の板を外したら、これがあったんだ!」
ベガは古い紙束を取り出した。
ъ DIARY ENDOR ъ
「エンドルの日記?」
「何か変だなと思ってよくよく調べたらこれがでてきたんだ」
「やっぱり!私も変に感じたのよね!」
「ベガ、中身は読んだのかい?」
「いや、まだだよ。ロビーに行ってみんなで見よう」
私とネコとベガはロビーへと向かう。
「あ、ベガっち!大丈夫だったんだね!」
「うん、ありがとう」
「ベガがこれを見つけたのよ」
日記をみんなの中央に置く。
「エンドルの日記、、、」
「早速開いていこう」
紙はボロボロで所々破けているが
ギリギリ読めることは読める。
大体こんな内容だった。
⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿
4月1日 新しい季節が来た。心機一転、私はこの日記を書くことにします。いつか運命的な出会いがありますように
~~~~~~~~~~~~~~~~~
5月6日 紙袋に入ったリンゴを大量に落としてしまった。でも優しい彼が助けてくれた。とても親切な人だった。また会いたいな。
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5月13日 たまたま立ち寄ったレストランで、再び彼と出会った!先日のお礼に一緒にご飯を食べ、とても濃厚な時間を過ごした。ああ、もしかしてこれが運命なのかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
6月2日 彼との初デート。少しぎこちなかったけど、すごく楽しかった。お付き合いの返事はもちろんOK。今私、とても幸せだわ。
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6月24日 福引きで2泊3日ホテルのチケットが当たった。有名なあのホテルに泊まれるなんて!最近は幸せ続きだわ!
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7月4日 ついにホテル宿泊1日目、彼とは別の部屋になってしまったけれども、明日は朝から観光するから全然問題ない!早く明日にならないかな。
7月5日 信じられない!彼が私の事を裏切っていた!許せない。許せない。許せない。絶対に許せない…許さない。
⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿⊿
日記はここで終わっていた。
7月5日、エンドルが亡くなっていた日。日記を書いた後に何があったのだろうか。
「うわぁ、、痴情のもつれ?ってやつ?」
「エンドルの彼氏が殺しちゃったのかな?」
「もしかしたらそうかもね…」
ズーーン 私達は暗い空気に包まれる。
「はいはーい!落ち込んでもしょうがないと思うの!何とかして部屋の法則を解かないと!」
クライが元気よく私達に言った。
「うん、、うん!そうだね!」
「でも、部屋の号数に何か規則性があるとは思えないよね?完全にランダムっぽい」
「だがドーズは法則に従って減ってると言っていた」
「むむむむ」
みんな頭を抱える。
数字以外に何か法則があるのかも。
「ピリア難しい話よくわかんないー。ベガ暇だから遊ぼうよー」
「ダーメ!試験が終わってからね」
「えーー!あーあ、早く脱落したいな。次になくなる部屋はどこなのー?」
「それが分かれば苦労しないよ」
相変わらずピリアはマイペースだ。
無くなる部屋、、そういえば…
「…そういえばお客様リスト、あったよね?無くなった部屋と名簿を照らし合わせてみると、何か分かるかも」
「お、確かに。見てみよう」
お客様リストを広げる。
「えーっと、マスカル、ホーサスにジンネ…グラトにモティーニ、サウル、、、ダメだ。全然分からない」
「特に関係ないのかも。エンドルの彼氏の名前さえ分かればその部屋に何かあるかもしれないのに」
「でも恐らくまだ残っているはずだよ。エンドルに関する法則なのは間違いない。ヒントとなる部屋は残るはずだ」
「よし、各部屋をみんなで分担してもう一度探してみよう!」
手がかりが少ない為、私達は当てずっぽうで調べることにした。
私も残っている部屋を調べに行こうとした。でもその前に【陽気な厠の住人】シャルガフに会いに行くことにした。
トン キィィィィィ
「シャルガフさーん、いますかー」
シーーン
「あれー、、居ないのかな」
私は1つずつトイレの個室のドアを開けていく。
キィィィィィ …いない
キィィィィィ …ここもいない
そして最後のドアを開けようとする。
キィィィィィ …
誰もいない。
ホッ と息をついたの束の間
「ハーイ!お呼びかなお嬢さん」
隣の個室のドアからまた ニョッキ
頭だけ出してきた。
「うわああ!!!びっくりした!」
「ハッハッハ!ナイス表情!亡霊冥利に尽きるね!」
「…◯す」
「おやおや、女の子がそんな汚い言葉使ってはいけませんよ~」
「ふん!そんなことより、エンドルの事なんだけど」
「ああ、だからワシには答えられる事などないと言っていいるんだ」
「エンドルの彼氏の名前は?」
「知らない」
「あの日、エンドルが亡くなって日、何があったの?」
「知らない」
「もう!絶対に知ってるでしょ!」
「知らないもんは知らない。諦めて運だけで試験を乗り切るんだな。エンドルの呪いにかかりたくなければ、、もう2人も被害が出ている」
「2人?シロナはともかく、プラムは″304号室″にいなかったわ」
「いいや、プラムというやつも確実にエンドルの呪いにかけられておる。そうだな、、仕方ない、トイレ姿を見てしまったということもあるし、彼氏の名前だけでも言ってやるか」
「ほんと!ありがとう!」
「ただし、もうエンドルには関わるな。また誰かやられるぞ。いいかい」
「うん、わかったから早く!」
「絶対わかってないやつじゃん、、まあいい。エンドルの彼氏の名前は【サウル】だ」
「え、【サウル】って…」
「ハッハッハ!頑張るのだよ、お嬢さん。最後にこの言葉を送ろう」
~真実の追求は、誰かが以前に信じていた全ての“真実”の疑いから始まる。~
そう言い残し、シャルガフはまた消えていった。
「真実の追及…」
私はとりあえずロビーに向かった。
しかし時間になっても誰も来なかった。
選択時間終了まで残り5分。
私は仕方なく″303号室″へと向かう。
「みんなどうしたんだろう」
選択時間終了1分前、再び隣から悲鳴があがる。
キャァァァァァア!!!
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