悪い魔女

底に

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第5章 南の島が呼んでいる~

波の虹を駆けろ~

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海流は真っ直ぐ上へと進んでいた。

私とブルススはその頂上に達し
波から顔を出した。

「あれ、ここって、、もしかして津波のてっぺん?」

「ああ、それもかなりの高さだ」

「とにかくネコ達を見つけないと、、あ!砂浜にいた!」

どんどん近づく津波。

「こんな時、、ニナなら…」  

混乱に渦巻く地上。

この状況下でただ一人
ユピテルだけが
高笑いしていた。

「ネコー!!!諦めないで!顔をあげて!!」

私は津波の上から叫んだ。

「に、ニナ?どうしてそんなところに」

「いいから!これのおっきいやつが山の頂上にあるから!それを空高く打ち上げて」

私は青い宝石をネコへ転移させた。

「こ、これは、、」

「早く!」

「…うん、分かった」

ネコはすぐに向かった。

〖人間とドラゴン、そして猫なんかに今さら何が出来る〗

ユピテルは笑いながらこちらを向いた。

〖もうすぐ津波が全てを無に帰す。全てが1つになるのだ〗

「あなたの目的は何なの?この島の王にでもなりたいわけ?」

〖私はただ、全てを破壊するのみ〗

「そうなのね、、それは申し訳ないことをしたわ」

私は赤い宝石を掲げる。

「それが叶うことは無いわ」

その瞬間、津波は一直線に山の頂上へと向かって渦巻いて行った。

ゴゴゴゴゴゴゴ バシャバジャバジャャ

グルグルグルグルグルグルグルグル

〖何だ?何が起こっている〗

津波は山の頂上を通り、島をまたぐ形で反対側の海へと降りていった。

バサッバサッバサッ

ブォォォォオオオオオオン

ブルススは私を掴み
私はジェットエンジンに変身し
何とか私達は空へ飛んでいた。

そして津波が完全に無くなると
私は変身を止め、ブルススと共に
静かに海岸へと降り立った。

スゥーーーーー

ユピテルも降りてきた。

〖何をした。一体、なぜ津波はあんな事に、、〗

私は息を整えながら喋り始めた。

「地下王国の結界、海でも息が出来るようにしていたもの。それを応用したのよ」

〖結界は特殊な魔法で出来ている。お前達に扱えるわけがない〗

「そう、だけどその過程で生じるは真似できる」

〖現象?〗

「地下王国へと繋がる洞窟、その入り口は鬼のような形をしていた。でもそこにあったのは、赤い宝石と青い宝石。それらがにあったの」

私は話を続ける。

「青い宝石は海水を吸い込む、赤い宝石は海水を追い出す。磁石のようなその関係は凄まじい海流を生み、そのエネルギーによって地下王国の結界は保っていたわ」

〖まさかその宝石を持ち出したのか?でもどうやってあんな巨大なものを…〗

「海流はもの凄い勢いだわ。赤い宝石だけを岩にぶつけながら進んだのよ。波のなかにはそれらが散布されているわ」

〖なんだと?じゃあ、青い宝石は一体…〗

「青い宝石はあらかじめ山の頂上へ転移したの、それでタイミングをみて打ち上げてもらう。そうすると大量の赤い宝石を含んだ波は一直線に青い宝石、つまり山の頂上のさらに上を通ってそのいきおいのまま、島の反対側に落ちていくのよ」

町の人々は安堵し
喜びの声をあげるものもいた。

〖ふ"ざけ"る"な"よ"!!〗

ユピテル怒鳴り声をあげ
再び空高く飛び上がる。

〖たかが一回程度防いだところで何が変わる!!もう一度津波をおこしてやる!次はもっと大きなものを!!〗

ゴロゴロゴロゴロ バシーーーン!! バシン!!

空が曇り始め、雷も打ち始める。

「まずいよニナっち!次もう一度同じのこられた!」

そう、この技は一度しか使えない。
ここでユピテルを止めなければ。

「ブルスス、クライ、チルル、ローラ。力を貸して」

作戦を立てたり、話し合ったりする時間と無い。

私達は考えるよりも先に
動いていたのだった。
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