悪い魔女

底に

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第5章 南の島が呼んでいる~

南の島よ、さようなら~

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「ここ、来たことある」

緑の草原、大きな樹、木漏れ日。

いつも夢で見る光景だ。

しかしそこにはお婆さんも男の子もおらず、ただそよ風のみが吹いている。

「あれ、みんなは…私は…」

ヒュゥゥゥウウウ

ふと隣を見ると真っ赤なドレスを着た女の人が立っていた。

「あなたは、、女神様?」

私の問いに彼女はただ微笑む。

「あのっ、みんなは、どこですか?」

彼女は何も言わない。

「私、夢で見たことあるんです。この光景を。でもその時はお婆さんや男の子が居て、、それでも同じ感じがするんです」

彼女はゆっくりとドレスを揺らしながらこちらを向いた。

〖あなたの望みは何?〗

透き通る様な、それでいて力強い声で私に聞いてきた。

「私の望みは、、ネコやミャー、クライ、ブルスス、チルル、ローラ、それに島のみんなと無事にこの島から出ることです!」

じっっ と目を見つめる。

〖ごめんなさい。それは私にはできないわ〗

彼女は残念そうにした。

〖でもあなた以外の人なら助けられる。あなただけがここに残るの。それでもいいかしら?〗

「わ、私はどうなるんですか?」

〖どうもならないわ。何も為らず、ただこの空間を漂うだけ。それでもいいのなら、あなたの望み、叶えてあげる〗

どうしよう。
そんなの嫌だ。
まだまだやりたいことが沢山ある。

でも…友達やみんなを失うことは…


私は答える。

「なら大丈夫です。あなたの力は借りません。誰かを失いたくないし、自分もそんな風にはなりたくないわ。私は、私の力で何とかする!!」

彼女は少し驚いて
そして段々と怒りに
それが変わっていった。

〖あらそう!じゃあ勝手にしなさい!残念だわ。本当に残念だわ。本当に…〗

彼女の赤いドレスは
みるみるうちに色を失い
それと共に周りの景色も真っ白に染まっていった。


€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€€


気がつくと旅館の前に居た。

「、、あれは何だったのかしら。あっ!そんなことより!津波は!みんなは!」

周りを見渡すが誰も居ない。

仕方がないので
砂浜に一度戻ってみた。

するとみんなが海岸線に向かって魔法をかけていた。

「あ、みんな!どこ行ってたの?」

「ニナ!探してたんだよ!女神像が突然光った後に、ニナは消えちゃったから。でもあの後、国にかかる災難を避ける魔法を教わって、それでとりあえず津波を回避しようってなったんだ」

「そうなのね」

「そう、ちょうどその魔法を唱え終わったんだ。これで津波は島を避けて流れていくはずだ」

他のみんなも私に気付く。

「ニナっち!無事だったんだね!」

「ニナ僕たちが先にやっといたよ~」

「全く、来るのが遅すぎるのだ」

どうやら全て終わったらしい。

「ごめんね。でもこれで本当に終わりだね」

「うん。あ、ほら!向こうに救援の船が!」

ボーーー ボーーー

海から救援の船がやってくる。

私達は船へと乗り込み脱出した。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ ドカーーン!!

ヒューン バーン!! バン!!

地震の影響か、私達が船に乗ってすぐ、山が噴火を始めた。

「もう島に残っている人はいないのよね?」

「うん、全員救助されたみたい」

「そう。ならよかったわ。。あれ、そういえば、、ミャーはどこに行ったの?砂浜には居たのに」

「…ミャーって誰?」

「え?いやいや冗談やめてよ、ずっと一緒に居たじゃない!」

「クライ知ってる?」

「いや、アタイも知らないよ。ニナっち疲れてるんじゃないの?」

「ええ!そんな…砂浜に漂流してきたあの男の子よ!地下王国、15代目の王子よ」

「…さっきから何を言ってるんだ?」

「色々とあったからね。今日はゆっくり休んだら」

「そんな、、みんな覚えてないの…」

噴火で荒れゆく島を見て
愕然とする私であった。

どんどんと島から離れていく

遠くにミャーの青い宝石が付いたブレスレットが揺れたのが

何となく見えた気がした。


こうして私の島でのバカンスは
幕を閉じたのだった。
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