悪い魔女

底に

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第6章 確率は50%

箱の中は51%

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[それでは第三回開始、リンゴン、ザックロチーム引いてください]

アルスの箱の合図でリンゴンが引き始める。

ガサガサ ゴソゴソ

《お、月の模型や。色々と使えそうやな》

[続きまして、ニナかネコ、どうぞ]

「ちょっとタイム!」

私とネコは作戦会議のため
少しみんなから距離を置く。

「ニナどうする?このままだと次も負けそうだよ」

「そうね、、何か手を打たないと」

「あっ!そうだ!僕達も何か物に変身して絵画に入ればいいんじゃないのかな?」

「それも考えたけど、何に変身したらいいかも分からないし、第一それが通用するのか…ちょっとギャンブルが過ぎるわ」

「うーん、でも第一回と第二回を見る感じ、芸術センスは同じくらいか、向こうが少し上かなんだよね」

「何とかしてせめて対等に勝負を挑ませないと、、ん?待てよ、変身の魔法…ねぇ、ちょっと耳を貸して」

ゴニョゴニョゴニョ

私はネコに耳打ちをした。

「えっ!ニナでもそれって…」

ネコが言いかけたが
アルスの箱がしびれを切らし
警告の知らせをだす。

[ニナ、ネコチーム、早くしてください、時間切れで負けと見なしますよ]

「あ、分かりました!すぐ引きまーす。って、時間切れとかあるんですか?」

[はい、物を引く時間は5分、絵画に配置、及び題名を決め箱に入れる時間は10分となっております。過ぎたら負けとなります]

「そんなルールがあったのね」

[さあ、早く引いてください]

「はーい」

ガサガサ

「…これは、木で出来た箱?」

「当たりではなさそうだね」

〈あら残念♪次は私が引くわね♪〉

ザックロの番になる。

スッ

〈あら、棍棒だわ。少し組み合わせが難しいかもね♪〉

《いや、ウチにいい考えがあるで》

向こうも作戦会議を始めた。

[さあ、最後にネコ、引いてください]

「よし、引くよ」

ネコがアルスの箱から引こうとしたその時

「えい!!」

私は魔法で木箱を大きくし
アルスの箱とネコを丸ごと包んだ。

そして

「それっ!」

南京錠で鍵を掛け開かないようにした。

《ニナ、一体何をやっているんや?》

〈あらあら、ついに自暴自棄になっちゃったのかしら♪大事なをそんな風に使ってしまうなんて〉

リンゴンとザックロが異変に気付き、私に近づいてくる。

「別に自暴自棄になったわけでも、なんの意味もなしにやったわけでは無いわ。これであなた達の勝ち目は無くなったわ」

《何を言ってるんや!時間切れにさせようたって、そうはいかんわ!こんな鍵、簡単にあけたるわ!》

ガチャガチャガチャガチャ

どこにそんな力があるのだろうか
簡単に南京錠が破られてしまう。

《全く、無駄な時間稼ぎやで!次同じようなことやったら、ルール無用で体乗っ取ってやるからなっ!》
 
「申し訳ないわ。でも、、

《なんやと?》

「開けなかったら、勝ちか負けか分からないのに。開けたらそれが分かってしまう。それでいいのかなって」

《はん!要するに負けたくないから時間稼ぎしとるんやろ!ウチらには通じひんで!》

ガチャ

リンゴンは木の箱を開ける。

「あーあ、開けちゃった」

中にはアルスの箱のみがあった。

[第三回勝者リンゴン、ザックロチーム。よって試合の勝者はリンゴン、ザックロチーム!!]

「えっ、、そんなっ!!」

アルスの箱による試合終了が告げられる。

《な、なんや、脅かしおって!結局ニナの時間稼ぎが味方の時間切れに繋がってしまったんや!策士策に溺れるとはこのことやで!》

「うっ、負け、、なのね」

《何が『開けない方がいいわよ』や。結局は全部ハッタリ!ニナの負けや!さあ!体をよこせ!》

「っ!いやだ!いやだああああああ!!!」

私はその場から逃げ出す。

《あっ!コラ!待たんかい!ザックロも追いかけろ!》

〈往生際が悪いですよ~♪でも、元気があっていいわ♪やっぱり貰うのなら若い体よね♪〉

私は必死に逃げた。

5分くらいだろうか
私は逃げ回っていたが
追い付かれ囲まれてしまう。

《ここの絵画の事をウチら知りつくしとるんや!何十年も前からおるんやで!》

〈さあ観念してください~♪〉

「くっ、、」

私は俯く。

ダメだ。ダメだダメだダメだ。
もう耐えられない。

私は体の震えを抑えるのを
我慢できなかったのだった。
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