ツインズ・スワップ

田古みゆう

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 待ち合わせ場所に着くと、アッくんとイッくんは既に待っていた。

「おはよう」
「お待たせ」

 二人がモジモジとしながら声をかければ、二人の男の子は、一瞬だけ目をまん丸に見開いた。あまり似ていない双子だが、この時の顔は、実にそっくりだった。

 そんな男の子たちの反応に、ミカとミキは、さらにモジモジとする。

「何よ。別々の服で来いって言ったのは、あなたたちでしょ」
「そうよ。わたしたちだって違和感があって気になるのよ。あんまり見ないでちょうだい」

 恥ずかしがるミカとミキの姿に、アッくんとイッくんはニヤリと笑う。

「ああ。ごめん。やっぱり、そっちの方が良いなと思ってさ」
「うん。二人とも良く似合っている。可愛いよ」

 ママにも、近所のおばさんにも褒められたけれど、それ以上に、アッくんとイッくんの言葉は、二人をゆでだこにした。

「それで、今日は何をするの?」
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」

 頬を紅潮させながらも、それを誤魔化すかのように、ミカとミキは声を張り上げた。テレを誤魔化すそんな二人をクスクスと笑いながら、アッくんとイッくんは頷いた。

「俺はクライミングに行く」
「僕は科学館に行く」
「ちょっと待って、どっちに行くのよ?」
「クライミングと科学館って、なんだかバラバラじゃない?」

 アッくんとイッくんの提案に、ミカとミキは思わず声をあげる。そんな二人の反応は想定内とでもいうように男の子二人は、いがみ合うこともなく、シレっとした涼しい顔をしている。

「お前たち、お互いの服装をよく見たか?」

 アッくんの突然の指摘に二人は、パチパチと瞬きをしながら、互いの格好を確認した。それから、アッくんに向かって、二人そろって首を縦に振る。

「もちろん。一緒に服を選んだのだから、見ているわ」
「ええ。朝から一緒に支度をしたのだもの」
「じゃあ、それぞれ、お互いの格好をどう思う?」

 次は、イッくんに質問をされて、二人はもう一度互いをまじまじと見つめあった。

「ミキは、おっとり系の格好をしていて、とてもかわいいわ。でも、動きやすい格好ではないわね」
「ミカは、元気溌剌という感じで、とてもかっこいいわ。でも、ゆったりとした場所では、ちょっと場違いかしら」

 二人それぞれの言葉を、男の子たちは満足そうに聞いていた。

「そう。それでいいと俺は思う。何も、双子だからって一緒にすることないんだ」
「一緒もいいけど、別々でもいいよね。だって、それが個性だもん」
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