ツインズ・スワップ

田古みゆう

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「ちょっと、何よ? 好きとかって……。そりゃ、わたしたちだって、あなたたちの事は好きだけど……」
「そうよ。でもなんて言うか、その……お友達としてと言うか……いきなりそんな事言われても……」

 他人の関心を惹くことで日々を楽しんでいたお子様の二人には、異性から自分だけに向けられる関心に対しての免疫などあるはずもない。

 二人の慌てぶりに、男の子たちは、これはダメだと言わんばかりに呆れ顔を見合わせる。

「ああ、俺たちが悪かった。驚かせて。いきなり過ぎたな」
「そうだね。ごめんね。でも、これだけは覚えておいて。ぼくたちは、これからもきみたちを間違えたりはしないからね」

 余裕たっぷりな双子の男の子たちに、ミカとミキは揃って顔を赤くした。

 その様子に満足したのか、アッくんは勢いよくミカの手を取る。

「よし! それじゃ、ミカ。クライミングに行くぞ」
「あ、でも、わたしはミキと……」

 イッくんは、スマートにミキの腰に手を当てる。

「ミキちゃんは、僕と一緒に科学館へ」
「あの、ミカと一緒じゃ……」

 その後も男の子たちによってペースを乱されながら、二人は初めて別々の休日を過ごすことになった。

 その日の夜。ミカとミキは、お揃いのパジャマを着て、仲良くベッドに潜り込んだ。

 やっぱり、二人一緒がとても落ち着くと安堵しつつも、日中の男の子たちの言葉が思い出されて、思わずベッドの中でモゾモゾとしてしまう。

「ねぇ。ミキ。月曜日なんだけどさ……」
「うん。月曜日。……別々の格好で学校行ってみようか?」

 どうやら、二人の胸の内には双子の男の子たちの影が住み着いたようだ。

「そうだ。リボンはお揃いにしよっか?」
「そうだね。一緒じゃないと落ち着かないし」

 いつもなんでも一緒から、少しだけ成長した二人はベッドの中でクスクスと笑い合いながら、二人だけの決め事を話し合う。

「でも、お休みの日は、今までみたいにお揃いにしましょ」
「そうだね。別々もいいけど、一緒も大事だよね」
「ね。入れ替わりは、どうする? やめる?」
「それは、やっぱり、時々はやりましょうよ」
「そうよね。特に、アッくんとイッくんには、やってやりましょ」
「いつか、あの二人が間違えるところを見てみたいわ」

 そうして、顔を見合わせまたクスクスと笑い合ったミカとミキだが、自分達のイタズラの目的が、周りのみんなの関心を惹くことから、二人の男の子たちの関心を惹くことへと変わっていることには、まだ気が付かない。





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