拾われ子だって、姫なのです。

田古みゆう

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青眼の姫様(10)

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 正道の返答で途端に志乃の眼が釣り上がる。

「旦那様! 幼い子をそのように連れ回すとは、一体どういうおつもりですか!」

 正道は思わずたじろいだ。ぷりぷりと怒る志乃を宥めながら正道は妻に言う。

「そう怒るな。寺に行ったんだが誰もいなくてな」
「寺など明るくなってから行けば良いのです。まずは温かくしなくては。お二人とも、その子らを連れてきてくださいませ」

 それからは志乃の陣頭指揮のもと、女中たちが男たちの夕餉の支度をし、赤子たちの着替えの世話をする。正道と高山が夕餉を食べ始めてしばらく経った頃、新しい手ぬぐいにくるまれた二人の赤子を抱いた女中を連れて志乃がやって来た。一人は相変わらずすやすやと眠り、もう一人は火が付いたように泣いている。そんな赤子たちを火鉢のそばの温かい場所へ置くと女中は下がっていった。

「こちらの子は、ずっと泣いているのです。どこか具合が悪いのでしょうか? 明日にでも町医者に見せた方が宜しいかもしれません」

 心配顔で子をあやす志乃に、酒が入って赤ら顔になった正道が答える。

「それを小十郎に渡してみろ。きっと泣き止む」
「小十郎さんに?」

 正道の言葉に首を傾げつつも、志乃は高山に赤子をそっと渡してみた。すると、あれほど泣いていた赤子が途端に泣き止んだ。その様子を目を丸くして見ていた志乃だったが、やがて嬉しそうに微笑むと柔らかな手つきで赤子の頭を撫でた。

「あなたは小十郎さんがいいのですね」

 志乃の言葉に、高山は困ったように笑う。

「奥方様。何を仰るのですか」
「あら? でも、この子は安心しているようですわよ」

 志乃は、高山に抱かれて安心しきった顔で眠る赤子を指し示す。

「先ほどまで、あれほどに泣いていましたのに」
「……たまたまですよ、奥方様」

 志乃の言葉に高山は何ともばつの悪そうな顔で答えた。そんな二人の様子を正道は笑いながら見ていた。そして、ふと何かを思いついたように手を打つ。

「寺へ引き渡すつもりでいたが、どうだ、小十郎? そいつを引き取らんか? こっちは我が家で引き取ろう」
「はい?」
「まぁ!」

 正道の言葉に、高山と志乃は揃って驚いた声を上げた。そして互いに顔を見合わせる。

「旦那様? 本気で仰っているのですか?」
「そうですよ。こいつは……!?」

 二人の反応に正道は肩をすくめる。

「この赤子は小十郎が気に入ったらしいし、それだって片割れが近くにいた方が良かろう」

 そう言うと正道は酒の入ったお猪口をぐいと呷った。
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