新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!

田古みゆう

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新人魔女を巻き込んだ師匠の思惑(5)

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「大使の仰る通り、これまで我が国で魔女が大賢者の称号を授かったという話は聞いたことがありません。ですが、だからと言って女性に能力がないと言うことにはならないでしょう?」

 リゼの指摘に使者が一瞬言葉に詰まる。しかし、すぐに「いやいや」と首を横に振った。

「しかしですな。やはり、貴国のみならず、我が国然り、他の国々でも女性の要人と言うのは数えるほどしかおりますまい。我が国などは王妃様以外に女性の要職などありませんし、貴国でも国王陛下以外で要職に就いている女性はいないのではありませんか? それは、つまりそう言うことなのでは?」

 使者がしたり顔で言う。しかし、そんな使者にリゼは全く動じる様子もない。それどころか「なるほど」と頷いた。

「女性が要職を担うことは珍しい、その点については認めます。ですが、だからと言って女性に能力がないかと言えばそれは違うのではありませんか? きっとこれまでにも、貴国にも我が国にも優れた才を持った女性はいたはずです。ただ、それが表に出てこなかっただけのこと。そんな女性の存在に気付けなかった、あるいは認めようとしなかったことが、国に於いて損益であると私は考えているのですよ」

 リゼはそう言うと使者をじっと見つめた。そんなリゼの視線を正面から受け止めた使者が、ゴクリと唾を飲み込む。それは不思議な光景だった。リゼは決して威圧するような態度でも目つきでもないと言うのに、まるで使者は言葉を奪われてしまったかのように、口をパクパクとするだけで言葉を発することが出来ないでいる。それどころかその場にいる誰もが、まるで時間が止まったかのように身動き一つ出来ずにいた。

 リゼの放つ不可視の圧力。それは、生まれ持った王族としての才能なのか。それとも日々修練に励み自己研鑽を積んだからこその自信によるものなのか。リッカには分からない。だが、少なくともこの舌戦においてはリゼが勝者であるようにリッカには見えた。そんなことを思いながらリッカは他の者同様に、息を詰めて事の成り行きを見守る。

 ピンと張りつめた空気の中、パンッと手を打ち鳴らす音がした。

 すると、まるで呪縛から解き放たれたかのように皆が我に返った。皆一斉に呼吸を再開したのかと思うほど大きな深呼吸の音があちらこちらから聞こえてくる。

 手を打ち鳴らしたのは、国王マリアンヌだった。国王は穏やかな笑みを称え、まるで軽口でも話すかのような口調で話し始める。
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